『バッタを倒すぜ アフリカで』
前野ウルド浩太郎の『バッタを倒すぜ アフリカで』
前作『バッタを倒しにアフリカへ』を読んだのは7年くらい前のこと。
タイトルと表紙写真のインパクトがすごくて、気になって読んだ。
バッタに興味は全然なく、虫は基本的に嫌い。
でも何か自分の好きなことに全力を注いでいる人の話を聞いたり読んだりするのはおもしろい。
著者はバッタが好き過ぎて研究者になり、研究のためにバッタを触りすぎてバッタアレルギーになり、アフリカでのフィールドワークが認められて現地の人からウルドのミドルネームをもらい…もうそれだけでなんだかすごい。
新聞で『バッタを倒すぜ アフリカで』の広告を見て、続編出てる!!と思って図書館で借りようとして、600ページもあることに気づいてちょっと怯んだけど、今回もきっとおもしろいだろうと思って借りてきた。
学術的な要素も盛り込まれていてちょっと難しい部分もあるけど、サハラ砂漠での過酷なフィールドワークの様子や、モーリタニアの文化、人々とのかかわりなど、軽快な口調で語られていておもしろい。
表紙写真で一緒にコスプレをしている相棒のティジャ二のことは、1章使って語られていて、思わず笑ってしまうようなエピソードも盛りだくさん。
著者の、「何が何でも、どうなっているのか知りたいのだ。今後の人生、うわの空で歩んでいくのは耐え難いものがある」というくらいのバッタへの情熱があふれている本。
京大昆虫研での経験として、
「私なんかはバッタ、せいぜい昆虫の論文しか読んだことがなかったが、見よう見まねでほ乳類、爬虫類、鳥類、魚類などの論文を読むようになった。そうしたら、急に物事の捉え方が頭の中で変化し始めた。狭い分野の中で溺れていたことに気がついた。」
ということが書かれていた。
その後の研究では、似たようなシチュエーションでも見える景色が変わってきたりと、考える頭を鍛えることができたということだった。
これって色々なことに通じるものだなと思う。
「なんとなく昆虫学者を夢に設定したところ、その後、思いのほか気分良く努力でき、いつのまにやら夢中になれたおかげで、夢が叶った。(中略)夢を叶えるための努力も大変は大変だが、全力を尽くすに値する夢をどうやって見つけるのかが一番難しい気がしている。」
という言葉が印象的だった。