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01.御輿

オリンピック直前6月に行われた三重県の合宿の際。
見延さんと部屋でお酒を飲んでいると、見延さんは奇妙なことを言った。
「俺たちは今御輿に乗ってて、それを担いでもらってる」

急にそんな話をしだしたもんだから「少し酔ってるのかな」と思ったけど、
見延さんの顔を見るとマジな目をしていたので、すぐに違うと分かった。

「俺たちの御輿は皆んなに担がれながら
オリンピック前の大会という山々を越えて、
今さらに大きいオリンピックという山の頂点を目指してる。

御輿の上に乗ることができるやつは厳選されたオリンピックメンバー。
でも上に乗っているだけでは山の頂上を目指すことはできない。
担いでくれる人、つまり応援してくれる人との間に、常にガッチリとした連帯感、信頼感がないとこの戦いには勝てない、
だから上に乗る俺たちは常に感謝を忘れてはいけないんだ」

なるほど、と思った。
その話を聞いて僕に何ができるのだろうと考えた。
2021年3月に行われたロシアワールドカップで結果を残せなかった僕は御輿の上から振り落とされた。
見延さんの話に深く共感したものの、
振り落とされてすぐに担ぐ側にはまわることができないし、そもそも僕は重たいものを持つのは苦手だ。

でも大好きなエペジーーンのみんなとオリンピックの頂点は見たいし、祭りは大好き。
どうしたら自分の力を、エペジーーンのために使うことが出来るのだろうか?

考えた結果、僕は御輿の前で賑やかに笛を吹いて踊ってやろうと思った。
みんなが同じ方向を見れるよう、楽しい音頭がとれるように。


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