デザイナーのぼくが、「デザイン」を捨てて島原の「めかぶとろろ」をブランディングする話。
かつあきの紹介
こんにちは。熊本で「クリエイティブ全般」を、お仕事にしているかつあきです。熊本城の近くに小さな事務所があります。
住まいは天草という海の近くです。事務所まで車で1時間30分かかります。毎日通勤しています。
お仕事は
こういうもの(ロボリーマン/ACC CMフェスティバル 地域ファイナリスト入賞)を作ったり、
こういうもの(ブルーシードバッグ®/グッドデザイン賞特別賞+BEST100)を作ったり、
こういうもの(おかえりの箸:ヤマチク/イギリスPentaward Silver受賞)を作ったりしています。
ほかにも、映像やウェブサイト作ったり、イベントを企画したり、いろんなことを優秀なクリエイターたちと一緒に「デザイン」するのが仕事です。
島原の「めかぶとろろ」
ある日、知人から
「島原のわかめ養殖業の娘さんがウェブサイト作りたいと言ってるんで、かつあきさん紹介してもいいですか?」
とメッセージが来ました。もちろん良いですよ!というわけで、カメラマンといっしょに島原に行きました。
熊本から車も載っけてフェリーで1時間。あっという間に到着します。
お迎えしてくれたのは、中田水産の娘さんの莉香さん。福岡でバスガイドさんをしていたのですが、ご結婚を機に地元の島原に帰郷されたそうです。実家のわかめ養殖業を継ぐつもりはないけど、お父さんが体調崩していることもあり、お手伝いしているとのこと。でも、子どもの頃からお手伝いしているので、当たり前の感覚のようでした。
昨年、設備投資して作業場を広くしたり機械を導入して、市場の取引も拡大してきた矢先のコロナショック。一気に受注も減ってしまったそうです。
作業場を見学して、いろいろお話を伺いました。そこで気づいたことが。
ご依頼:ウェブサイトを作りたい。
なぜ?:自社新商品の「めかぶとろろ」を売りたいから。
依頼は「ウェブサイト制作」なのですが、本当の目的は「商品を売りたい」だったのです。よくある話なのですが、こういう時に立派な「ウェブサイト」だけ作っても目的の「売りたい」は達成できないと思っています。
予算的にも「プロモーション施策」と「ウェブサイト制作」を同時にはできそうにありませんでした。どうしようかなと思い、改めてこの新商品「めかぶとろろ」について考えました。
代々と「わかめ」一筋でやって来た中田水産。雄大な雲仙のミネラルをふんだんに含んだ有明海の新鮮な採れたて「わかめ」の根本の部分、栄養がたっぷり詰まった「めかぶ」を、茹でてミキサーにかけた「だけ」のシンプルな「めかぶとろろ」。無添加ゆえに消費期限が短い。それをクリアするために充填機でパック状にして冷凍し長期保存を可能にした中田水産オリジナルの新商品「めかぶとろろ」。自立式パッケージも新しいし、何よりチューブ状で本当に使いやすい。これはコロンブスの卵だと思いました。最近、「きざみらっきょう」「きざみ福神漬け」も話題ですが、そういう使い勝手の良さがあります。
ぼくは、この土地ならではの真っ直ぐで素朴なこの商品に惹かれました。思えば、熊本南関の「竹の、箸だけ」のメーカー「ヤマチク」さんのモノづくりもそうでした。
デザインはいらない。
「ラベルも変えたいんです」と莉香さんは言いましたが、ぼくは「このままでいきましょう」と即答。表面上のデザインだけを変えることが、初動の最善手では無いように直感しました。ウェブサイトもテンプレで良いし、販売は、いま一番勢いのある生産者直売ECプラットフォーム「食べチョク」と、自社直販は「BASE」で十分だと考えました。表面的な「デザイン」にかけるコストを下げる。目的はあくまで「売ること」だから。タイトルにある「デザイン」を捨てたとは、こういう意味です。「デザイン」をしなくてもやることはたくさんあります。むしろ「デザイン」だけする方がよっぽど楽なんじゃないかなと思います。
ちなみに「食べチョク」さんは仕事で使ったことないので、イチから勉強中です笑。こんな経験もない人間の話を聞いて、お任せしてくれる莉香さんに感謝するとともに、頑張ろうと気合も入ります。
「めかぶとろろ」を万能ソースとして再定義する。
そんなわけで、「めかぶとろろ」の魅力を伝えるべく、まずはフードコーディネーターさんに家庭でできる「めかぶとろろ」の料理をいくつか考えてもらいました。今度は莉香さんを熊本に呼んで、フードコーディネーターさんのスタジオでの撮影に立ち会ってもらいました。
シンプルな「めかぶとろろ」をかけた、ごはんと味噌汁。味噌汁にはこのまま投入でも良いのですが、ごはんには、無添加の「めかぶとろろ」をそのまま乗せては味が薄いので「ポン酢2:めんつゆ1」の割合で混ぜ合わせた、最高の「めかぶとろろソース」をかけます。フードコーディネーターさんはこれに「余裕があれば、昆布茶小さじ2杯を追加して!」と言っていました。
この「めかぶとろろ」のソースめちゃめちゃ万能でした。
冷奴にかけても激ウマ。シラス乗っけてどうぞ。
「正直、食べ飽きてる笑」という莉香さんも、この笑顔。
まだまだ、ネタは尽きないのですが、この辺で一旦終了します。ぼく自身これまでやってきたことのないアプローチで、結果がどうなるのか不安でもあり、楽しみでもあります。良い結果を出すために、こんなウラ話をツイートしたり、noteで公開して自分にプレッシャーをかけています。
撮影を終えて莉香さんを港まで送ったあとのツイートです。
Twitterに援軍あらわる。
そんなこんなでTwitterでワンワン吠えてたら、思わぬ援軍が。
え!大物混じってる笑!あのウェアブランド「ALL YOURS」の木村さん!?マジか!!
Twitter最高です😭!
コロナショックに立ち向かい、新たな販路に挑む、ぼくと中田水産さんの挑戦を見守ってください!続報も余裕ができたら書きます!
(カッコいい写真すべて:橋本大)