虎に翼 第26週、その1。前夜祭的な。
NHK横浜放送局で、「虎に翼」体感ミュージアムとして、あの竹もとのセットの中を見学したり、法服で記念撮影ができます。10/2まで。他のSNSにも載せましたが、あらためて写真を。楽しかったな。
とうとう明日の朝が最終回。という夜に、思うことを、特にまとめず書いてみます。前夜祭です。
穂高先生
このドラマでとても印象的・そして多くの人がそれぞれ違う感想を持っていそうな、穂高先生。
何度も「穂高イズム」という言葉で語られる、法律の世界で大きな功績を残した人。女子のために法の世界への入り口を作った人。無実の罪で裁判にかけられた寅子の父・直言を助けた恩人。尊属殺人罪は憲法違反だと、主張した人。
けれど妊娠した寅子から、仕事をする場を優しさで奪った人。
許さない寅子を責める声もあったけれど、私は、寅子が花束を渡す役目を拒否したの、すごくよかったと思ってる。だってやっぱり、寅子へのあの仕打ちはひどかったもん。
尊敬する偉大な恩師だけど、この行動は許すことができない。それはその人のすべてを否定することじゃない、やったことを受け入れられないだけ。人と行動を切り離すのって、むずかしいけど、大事なんじゃないかなあ。
寅子たち女子への考え方・接し方はずっと間違っていたけど、やっぱり穂高先生は素晴らしい人なんですよ。でも行動については、ずっと怒っていてもいいんですよ。
残ること残すこと
みんなが直道さんの「俺にはわかる!」を真似して笑顔になる。亡くなって何年も経つけれど、彼の、相手をわかろうとする優しさと受け入れるおおらかさは、家族の中に残っている。
寅子の周りの人たちの多くが、もうそばにはいない。だけど、みんな、ちゃんといる。
物語の中では何人もが「イマジナリー」として出てきたけど、本当にあんなふうに、この世からいなくなっても、みんな残ってるし、残しているものがあるなあって、思ってる。
寅子が優未たち若い人たちに語りかける時、後ろから優三さんが見ている。穂高先生がやり残した尊属殺人罪は憲法違反だという主張は、よねさんと轟が引き継ぎ、桂場が判決を出した。桂場の背後にはきっと多岐川さんも花岡もいた。多岐川さんは小橋や稲垣、寅子にも「愛」を残した。
誰1人、雨垂れになって消えたりしない。みんなの気持ちは続いていく。
ふたつの灯台、船、航海
「今、私は、法とは船のようなものなのかなと思っています。
人が人らしくあるための尊厳や権利を運ぶ船。社会という激流にのみ込まれないための船。船の使い方は乗り手次第。人らしさを失い沈むことも誰かを沈めることも、間違うこともある。
人生という船旅を快適に幸せに終えるために、乗り手の私たちは船を改造したり修繕したりしながら進む」
なぜマスターの店は「灯台」だったのか、なぜそれをほぼ改装もせずによねと轟が法律事務所として引き継いだのか。なぜ涼子さまはそこから店名をもらって喫茶を「ライトハウス」としたのか。寅子が桂場に語る言葉で、すべて私の中でかちりとはまる音がしました。法律の船に乗りつつも海で迷う人々を、無事に進ませるために光を発する灯台。よねさんと轟、涼子さまと玉ちゃん。まさに灯台にふさわしい。
罪の意識に苦しむ美位子を、山田轟法律事務所の壁に残された灯台の光が照らすシーン、美しかった。灯台からライトハウスへと移っていく美位子、きっといつか彼女も自分自身の船旅を始めることができる。
まだいろいろ考えているけど、それはまた、最終回のあとで。
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