虎に翼 第15週
7月13日土曜日に、明治大学生田キャンパスで、トークイベント「寅子を支える女性たち」に参加してきました。女性スタッフ4人による撮影現場のいろんな裏話を聞く時間、楽しかった!
名場面を振り返るコーナーで、出征する優三さんとの変顔の別れ→川のほとりのイマジナリー優三さんと連続で流され、場内に響くすすり泣きの音。あれは無理、泣く。
で、久しぶりに優三さんの出征シーンを見て思い出したんですが、あの時彼は、直人と直治に、優未のことを頼んでるんですよね。優三おじさんの最後の願いを守って、ふたりは優未を「姫」として大切にしている。いい子たちだなあ…でもそれは、このまま進んだら結構あやうかったと思うんですよ。ゲームで優未が負けそうになってもおまけしたり、低いテストの点を改ざんしたり。元々は純粋な愛でしかなかったその扱い方は、彼女を少しずつゆがませていたのではないかと。
花江ちゃんは、寅子の前の「いい子の優未」を「本当の優未じゃないの」と泣いたけれども、点数をよく書き換えたり、ゲームで負けてないことにしてもらってごまかしている優未も、やっぱり「本当の優未」じゃないですよね。
「本当の優未」は、勉強ができなくて、ゲームでもなかなか勝てない子。
彼女に必要なのは、いい子ではない「本当の優未」を見せても大丈夫と安心できる場所。そして「間違ったところを一緒にもう一回やってみよう」と、失敗と挑戦を見守ってくれるおとな。
寅子と一緒に行く新潟が、優未にとってそんな場所なのか、寅子が優未を見守る時間を持てるのか。正直なところ不安しかないですが、もしどうしてもダメなら、見守ってくれる人は親じゃなくてもいいと、このドラマでは何度も描いてるので。きっと、なんとかなる。なんとかなれー。
寅子が優未の様子に気が付かないでいるのを見るとついイラッとしてしまうけれど、たとえば「らんまん」で万太郎が何ヶ月も家を留守にしても、なんとなく私は「しょうがないなあ」と許していたような気がする。それなのに寅子が仕事に夢中になっていると許せないのは、自分の中になんか変なバイアスがあるような気がしてこわくなる。
華やかなワンピースとサングラス姿でアメリカ視察から帰り、ラジオ出演もして大人気な寅子。姑のおさがりの着物の花江ちゃんは、ごはんにお漬物というシンプルな昼食をひとりでとり、寅子が理想を語るラジオをそっと消す。
この対比、きつかったなあ。
不満をぶつける花江ちゃんに「なに、その言い方?」と言ってしまう寅子、かつていろんな人に「続けて」と話を聞いてもらっていたことを、忘れてしまったんでしょうか。
花江ちゃんは家のことをするのが何より好きではあるけれど、寅子がその大変さをわかってくれてないのはつらいよね。寅子、料理は作って終わりじゃなくて、献立を考えて買い物をして最後の後片付けまででワンセットなんだぞ。
だけど花江ちゃんも、寅子の仕事の大変さをわかってない。
直明が働き始めたとはいえ、今でも寅子はこの家の大黒柱。みんなの生活費をひとりで稼がなくてはいけない。はるさんが残した「寅子ならこのくらいは稼ぐはず」というノート、あれは遺していく娘への期待と希望ではあったけれど、そうであれという寅子への呪いにもなったかもしれないと、今は思います。
そして家族には話してないけど、寅子は仕事場で襲われたんだよね。そのくらい、命懸けのことをしている。だけどみんなは、ラジオに出たり雑誌に取材されている、寅子の仕事の華やかな部分しか知らない。
寅子だけが悪いわけじゃない。花江ちゃんが悪いわけでもない。
誰も悪くないのに、うまくいかない。
なんでこんなことに。
ふたりがそれぞれ抱え込まなくて済むように、優三さんがいてくれたら。直道さんがいてくれたら。言っても仕方がないことなんだけど。
どうしたらいいのかわからないけど、とにかく新潟編。愛で、なんとかなれー、