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なぜワインは資産価値が上がるのか?

そもそもなぜワインは資産価値が上がるのでしょうか?
嗜好品となるアルコール飲料はワイン以外にも、日本酒やウィスキーなどがありますが、ワインの資産性は中でも群を抜いています。
ここではワインが、資産性が高く価値が上がるのかについて解説していきます。


ワインの生産量が増やせないのはなぜか?

実は世界のワインの生産量は、過去30年まで遡ってもさほど変化をしていません。
増えていないのではなく、増やすことができないと言ったほうが正しい表現になります。

ワインの生産に最適な地域は限られた地域

ワインの生産量が増やせない理由はいくつかあります。まず、ワインの原料であるブドウの栽培には適した気候と土壌が必要です。
ワイン用のブドウは『ワインベルト』と呼ばれる緯度帯の国や地域で栽培されています。
北緯30~50度、南緯30~50度のエリアをワインベルトと呼び、その中でもワインの品質や特徴に大きな影響を与える気候条件が整っている地域で生産がされています。

▼ 適した気候条件
🌡 温暖な気候:年間平均気温10~20℃
ワイン用ブドウは適度な温度が必要です。過度に暑すぎたり寒すぎたりすると、ブドウの成長や品質に悪影響を与えてしまいます。
💧 適度な降水量:年間降雨量500~900mm
ブドウは適度な水分を必要が必要です。過度の降水はカビや病気の原因となります。一方、乾燥しすぎるとブドウがストレスを受けて味が劣化します。
🌤 日照量:ブドウの花の開花から収穫までの時期の日照時間が年間1250~1500時間
ブドウは十分な日照を必要とし、これにより糖分が蓄えられ、アルコール度数の高いワインが作られます。

▼ 土壌条件
多様な土壌

ワインベルトには、石灰岩、砂利、粘土、火山灰など、多様な土壌があり、これがワインのテロワール(風土)に大きな影響を与えます。

ワインを美味しく作るために、必然的に生産量は下がる

ワインは美味しく作るためには、あえて水撒きや肥料散布をせずにブドウにとって過酷な環境で栽培する必要があったり、ぶどうの房もあえて減らして、収量を下げる必要性があります。

水撒きや肥料散布をしない
水撒きや肥料散布をしないことで、ぶどうの根は水分や栄養を求め、より深く土壌に根を伸ばそうとします。 ワインは地中深くのミネラルなどを吸い上げることで、土地の個性(テロワール)がぶどうに反映され、美味しくなる。一部のワイン生産地域では、ワインの品質を維持するために、灌漑(かんがい)や肥料の使用が法律で制限されているほどです。

ブドウの木の植樹密度を上げる
ブドウの木の植樹密度を上げると、根域が競合するため根が下に伸びやすくなります。土壌のミネラル分を吸い上げるため、土地の個性(テロワール)が反映されやすいと言われています。実際にブルゴーニュなどの地域ではかなり植樹密度を上げて生産してるワイナリーも多く存在しています。

ブドウの房を減らし、収量を下げる
ブドウの房を減らすことで、1つの房に栄養が集中し果実がより濃縮され、風味が豊かになります。

なぜ高級ワインは希少性や価値が高くなるのか?

銘柄によって、名乗れる条件も厳密に制限される

また特定の銘柄のワインは、名乗っていい条件がかなり厳しく制限されています。

例えばブルゴーニュの有名なワインのひとつに『エシェゾー』という銘柄があります。 『エシェゾー』とは畑の名前のことで、ブルゴーニュにおいて最高峰と格付けされている特級畑のひとつです。

フランス ブルゴーニュ地方の →コート・ド・ニュイ地区にある →フラジェ・エシェゾー村の →エシェゾーという畑で作られたワインだけが名乗ることを許されているのが『エシェゾー』です。

ロマネ・コンティで有名な『ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(通称DRC)』が所有するエシェゾー区画は約4.67ha。これは東京ドーム1個分の広さとほぼ同じ面積です。世界的に有名で需要があるワインの生産するエリアとしては、東京ドーム1個分の面積は非常に少ないですよね。

こういった制限があるため、いくら人気のある銘柄だからといっても、生産量を増やすことが不可能になっていて、希少性や価値が高くなる要因になっています。

ワイン特有の『ヴィンテージ』という概念

上記のような背景もあり、ワインは基本的に人の手を加えずに、その年の気候の赴くままに出来たブドウでワインを生産することになります。実りが良かった年もあれば、悪い年もあります。生産年によってブドウの出来具合が異なり、それがワインの品質にも直結するため、ワインにはビンテージという概念が存在します。

「ヴィンテージ」とは一般的には「年代物」「古くて価値があるもの」を指しますが、ワインの世界では意味合いが異なり、ぶどうの収穫年のことを指す言葉となります。

天候に恵まれ完熟したブドウが収穫できた素晴らしい年を『グレートヴィンテージ』といいます。完熟したブドウにはタンニン(渋味成分)が多く含まれます。タンニンには酸化による劣化を防ぐ効果がありますので、『グレートヴィンテージ』のワインは長期熟成に向いていると言われています。

一方で天候に恵まれなかった年は『オフヴィンテージ』と言われます。『オフヴィンテージ』のワインは早熟と言われ、早い段階で飲み頃が来るように作られる傾向にあるため、長期熟成は向いていません。

特定銘柄は価値がどんどん上がる

世界経済の成長により、中国などアジアを筆頭に世界中で富裕層が増え、ワイン人口も増えてきています。そのため人気のある特定銘柄のワイン需要は年々増えていきますが、飲まれて供給量は年々減っていきます。
この需要と供給のバランスにより、特定のワインは時間が経つに連れて希少性が増し、価値が上がっていきます。

時間経過に伴うワインの相関図

ワインは時間経過とともに供給量が減り、需要はましていくため、価値は必然的に上がっていきます。
ワインには飲み頃という概念があるため、時間をかければ美味しくなるわけではありません。ただし希少性は増していくことに変わりはないため、需要が無くなるわけではありません。
※グレートヴィンテージのほうが長期熟成に耐えうるため、需要は高くなりやすいです。

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