ワインが苦手な人でも楽しめるアロマティック品種
香りが非常に豊かで、フルーツや花のような香りを強く感じるワインをアロマティックワインと言います。またそういったアロマ(香り)が特徴的なブドウ品種のことを、総称して『アロマティック品種』と言います。この記事ではこのアロマティック品種について解説していきます!
アロマティック品種とは?
ワインにした時に、ブドウ由来の香りが強く感じられるブドウ品種のことを『アロマティック品種』と言います。白ブドウ品種に使われることがほとんどで、明確な定義はなく、そういったブドウ品種を総称してアロマティック品種と呼んでいます。
アロマティック品種とは反対に、ぶどう本来の香りが控え気味な品種はニュートラル品種と言います。
香りが特徴的なため、飲んでみて気に入ったアロマティックワインがあれば、なんの品種なのかを覚えておくのがオススメです。自分でワインを選ぶときも、好きなワインを見つけやすくなります。
代表的なアロマティック品種とその香り
ゲヴュルツトラミネール … ライチやバラ
主にアルザス(フランス)、ドイツ、オーストリア、ニュージーランドで栽培されている品種。ライチやバラ、パイナップルやマンゴーといったトロピカルフルーツ、さらにシナモンやクローブといったスパイスのニュアンスが特徴。
リースリング … 白い花や柑橘
主にドイツやアルザス(フランス)、オーストラリア、アメリカなどで生産されている品種。青リンゴやレモン、ライムといったシトラスの香りに、白い花や白桃、ハチミツなどの甘い香り、熟成すると石油のニュアンスも感じられる。
ヴィオニエ … 桃やあんず
フランスのローヌ地方(コンドリューが最も有名)、アメリカ、オーストラリアで主に栽培されている品種。アプリコットやピーチの香りに、バラやオレンジブロッサム、さらにはマーマレードのような花や密の香りが強く感じられる。
ミュスカ … マスカット
フランス(アルザス、南フランス)、イタリア、スペイン、ギリシャなどで広く栽培されている品種。香りはマスカットやオレンジブロッサム、ハチミツ、スパイスの香りが特徴。
ソーヴィニヨン・ブラン … パッションフルーツや芝
フランス(ロワール、ボルドー)、ニュージーランド、チリ、南アフリカ、アメリカなどで世界中で広く生産されている品種。グーズベリーやグレープフルーツ、レモンなどのシトラス系の香り、ネトルや青草といったハーブ、そしてパッションフルーツなどのトロピカルフルーツの香りが特徴。
トロンテス … マスカットや柑橘
アルゼンチンを代表する白ワイン用ブドウ品種。マスカットを片親に持つことから、マスカットやライチ、ピーチなどのトロピカルフルーツの香り、バラやジャスミンなどのフローラルでフルーティな香りが特徴。またムスク(麝香)の香りも感じられる。
アルバリーニョ … 桃やグレープフルーツ
スペインやポルトガルで主に栽培されている品種。レモンやオレンジといったシトラス系の香り、グリーンアップル、ピーチ、ミネラル、そしてオレンジブロッサムのフローラルな香りが特徴。
ワインのアロマについて
ワインの最大の魅力の1つは何と言っても香りです。ワインの世界では香りのことをアロマと表現します。実は1杯のグラスには200種類以上の香り成分が含まれていると言われています。
ワインのアロマは、それぞれ何に由来するものかによって大まかに三つに分類されています。
第1アロマ:ブドウそのものの香り
第2アロマ:発酵や醸造に由来した香り
第3アロマ=ブーケ:熟成に由来する香り
アロマティック品種は主に第1アロマ:ブドウそのものの香りが強く、ワインにしたときにアロマに色濃く反映されやすいです。
第1アロマ (Primary Aroma)
ブドウそのもののに由来する香り。品種の特徴がよく現れるアロマのため、ワインの最初の印象を形作り、以下のような香りが含まれる。
フルーツの香り:赤ワインではベリー系(ラズベリー、ストロベリー)、黒系果実(ブラックベリー、ブラックカラント)、白ワインではシトラス(レモン、ライム)、トロピカルフルーツ(パイナップル、マンゴー)など。
フローラルの香り:バラ、ジャスミン、アカシアなど。
ハーブの香り:ネトル、ミント、タイムなど。
スパイスの香り:特にアロマティック品種でシナモン、クローブなど。
第2アロマ (Secondary Aroma)
ワインの発酵および熟成過程で生じる香り。ワイン醸造に使用される酵母や乳酸菌によって生成され、以下のような香りが含まれる。
酵母由来の香り:パンの焼きたての香り、ビスケット、トースト。
乳酸発酵由来の香り:バター、クリーム、ヨーグルト。
樽熟成由来の香り:バニラ、ココナッツ、トーストしたオーク、スモーク、チョコレート、コーヒー。
第3アロマ (Tertiary Aroma)
ワインが瓶内で熟成する過程で発展する香り。木樽で熟成されたことで加わった香りや第1アロマが熟成することで変化した複雑な香りのことを指す。この熟成香は『ブーケ』と呼ばれ、ワインに深みを持たせて、より複雑味のあるものへと進化させる。具体的には以下のような香りが含まれる。
熟成由来の香り:ドライフルーツ(プルーン、フィグ)、ナッツ、シェリーのような酸化したニュアンス。
第1アロマ由来の香り:タバコ、革、土、キノコ、トリュフ、香木、湿った落ち葉、カラメル。
これらのアロマは、ワインの複雑さや成熟度を示し、飲む際に味わい深さを加える要素となります。それぞれのアロマを識別し楽しむことで、ワインの奥深さをより一層理解することができます。
ワインのアロマの種類(アロマチャート)
ワインには実に多種多様なアロマが含まれています。一般的なワインの香りを視覚的に表現したものをワインアロマチャートと呼びます。
ワインチャートを見ながら、感じ取ったアロマを自分なりに表現してみると記憶に定着しやすくなるので、試してみてください!
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