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韓日翻訳練習:500円のコーヒーの量をごまかしてクビになった日本の校長

タイトルの中の「日」が目についたので訳すことにしました。

同じ内容の日本語版も出ていましたので、私が作った訳と比較して見ていこうと思います。

初見で訳せなかった部分については太字にしてあり、わからなかった単語もリストアップしています。


和訳

500円のコーヒーの量をごまかしてクビになった日本の校長

  • 속이다:騙す、欺く、ごまかす

  • 파면되다:罷免される


日本人の読者を想定して「4천원」は「500円」としました。また、「파면 된」=「罷免される」という言葉は少し硬いので、タイトル用により親しみのある「クビになった」という表現にしてみました。


日本のある中学校の校長が、コンビニで「レギュラー」サイズのカップに「ラージ」の分量のコーヒーを注いで飲んでいたことがばれて、罷免された。「レギュラー」と「ラージ」カップの金額の差はたった70円(630ウォン)で、7の犯行を行って490円(4410ウォン)の得をした。その罪のために30年奉職した教壇から追い出され、1000万円単位の退職金も受け取ることができない。過酷な懲戒だという批判もあったが、日本社会では「犯罪は犯罪」という反応が主流だ。数年前には廃棄対象の学校給食を家に持ち帰った教師が懲戒処分を受けた。4年間でパン100個と牛乳4200個を持ち帰ったこの教師は「どうせ捨てられるのがもったいなくて」と言ったが、教育当局は「学生の給食に教師がなぜ手を付けるのか」と言って減給処分にした。

  • 내려받다:ダウンロードする

  • 들통나다:ばれる

  • 금액:金額

  • 고작:わずか、たかだか、せいぜい

  • 총:総、すべての、合計、全体

  • 차례:順番、番

  • 득을 보다:得をする

  • 봉직하다:奉職する

  • 쫓겨나다:追い出される

  • 억대:億台、億の単位で数えるくらいのもの

  • 가혹하다:過酷だ、ひどい

  • 징계:懲戒

  • 주류:主流、メインストリーム

  • 폐기:廃棄

  • 대상:対象

  • 어차피:どうせ、どのみち、結局

  • 버리다:捨てる

  • 당국:当局

  • 손대다:手を付ける、触る、始める、着手する、手を触れる


「내려받다」は意味を調べると「ダウンロードする」と出てくるのですが、コンビニのコーヒーを入手する文脈だったので「注いで」としました。「ダウンロード」という言葉が一般的でなかった時代の韓日辞書などにはどのような訳で載っていたのでしょうか、気になります。

「봉직」の訳として出てきた「奉職」という日本語は知りませんでした。公の職につくという意味なんですね。日本語としてあまりなじみのある表現ではないので、何か別の言い方に変えた方がわかりやすかったかもしれません。日本語版では「身をささげた」という表現になっていました。

教員が廃棄対象の給食を持ち帰って処分された件はネット上で議論になっていたようですね。

HuffPostの記事によるとこの教員が持ち帰ったパンは4年で100個ではなく1000個(!)だったようです。こんなにたくさん持ち帰ったのもすごいですが数が判明しているのもすごいですよね。覚えていたんでしょうか…?


日本ではその職業に直接関連する義務に違反したとき、より重く処罰する。罷免された校長は刑事不起訴処分になったが、「教育者がしてはいけない行為だった」として教育当局が重懲戒した。ある判事は殺人事件の被害者が経験した不幸をソーシャルメディアに詳しく投稿して遺族を傷つけたという理由で罷免された。この判事は「犯罪ではないのではないか」と抗弁したが、日本の最高裁判所は「裁判を安定的・持続的に遂行するためには裁判についての国民の信頼が絶対的であり、判事は人格と品位を損なう行為をしてはいけない」として法服を脱がせた。

  • 관련되다:関連する、関わる

  • 징벌하다:懲罰する

  • 아/어서는 안 되다:~してはいけない

  • 겪다:経験する

  • 자세히:詳しく、詳細に

  • 올리다:上げる、載せる、アップする

  • -(으)려면:~するには、~しようとすれば

  • 해치다:害する、傷つける、損なう

  • 벗기다:脱がせる


ちなみにSNSへの書き込みをめぐって判事が罷免されたというのは以下の件のようですね。(全然知りませんでした)

上の段落で出てきた休職を持ち帰って処分された教諭の話といい、日本のニュースについてかなり詳しい方が記事を書かれているようです。


このような事例を見て、私たち韓国人のことを振り返る。数年前、バス運転手が小銭を2回別に取っておいたことがばれて、解雇された。裁判所は「運転士の収益金着服は金額を問わず解任を原則とする」という労使合意書により解任処分がふさわしいと判決した。当然の判決だったが、街にこの判決を出した判事を批判するプラカードが貼り出され、バス会社には薄情だという非難が殺到した。

  • 되돌아보다:振り返る

  • 잔돈:小銭

  • 챙기다:取りまとめる、用意する、準備する、取りそろえる、面倒をみる

  • 해고:解雇

  • 수익금:収益金

  • 착복:着服

  • 불문하다:問わない

  • 해임:解任

  • 원칙:原則

  • 정당하다:正当だ

  • 나붙다:張り出される、張られる

  • 몰인정:薄情

  • 쇄도하다:殺到する


冒頭の文章は原文では、

이를 보며 우리를 되돌아보게 된다.

조선일보/[만물상] 4천원 커피 양 속여 파면 된 日 교장

となっています。「これを見て私たちを振り返ることになる」というような意味合いだと思いますが、ここも日本人の読者を想定して「私たち」の後に「韓国人」を補いました。

この段落で訳すのに苦労した部分があります。

数年前、バス運転手が小銭を2回別に取っておいたことがばれて、解雇された。

とした部分で、元の文章では以下のようになっています。

몇 해 전 버스 기사가 잔돈을 두 차례 따로 챙긴 게 들통나 해고됐다.

このバス運転手の解雇の原因になった行動は後の部分で「収益金着服」であると書かれているので、太字の部分は「不当に自分のものにした」というような意味になるのだろうと予想できるのですが、「따로 챙기다」に「盗む/ネコババする/くすねる」のような意味があるという情報を見つけることができず… なぜここで「따로 챙기다」という表現が使われているのかまだよくわかっていません。


韓国では、公職者が法人のカードを個人的に使用しても、大学教授が書類を偽造して入試不正を犯しても、市民運動家が不法な貸し付けで江南に高価なマンションを買っても、ありえない性関連の詭弁をしても国民が彼らを支持して国会議員にしてあげる。インターネットでは「恥ずかしい」という反応も出てきたが、少数だ。

  • 위조하다:偽造する

  • 저지르다:犯す、仕出かす、おこなう、やらかす、引き起こす

  • 대출:貸し付け

  • 턱이 없다:ありえない

  • 궤변:詭弁

  • 지지하다:支持する

  • 국회의원:国会議員


同じ部分の、日本語版での文章は以下のようになっています。(太字は筆者がつけたもの)

韓国では、公職者が公務用クレジットカード(法人カード)を個人的に使っても、大学教授が書類を偽造して入試不正を働いても、市民運動家が違法なローンでソウル江南に高級マンションを購入しても、性関連でとんでもない詭弁を弄しても、国民は彼らを支持し、国会議員の座に据える。インターネットでは「恥ずかしい」という反応も見られるが、それは少数だ。

朝鮮日報日本語版/コンビニのコーヒーで490円分ごまかして懲戒免職になった日本の校長【萬物相】

「不正を働く」「詭弁を弄する」「国会議員の座に据える」といった動詞の選び方に知性を感じますね。私が作った訳文でも最低限意味は通じると思いますが、日本語版の文章は日本語としてすごくきれいな文章になっていて、「意味が通じる」というところよりもっと上の段階にある文章だと感じました。よりよい翻訳をするためには韓国語力だけでなく日本語の力も磨いていく必要があると痛感しました。


19世紀のイギリスの小説『ジキル博士とハイド氏』は、一人の人間の内面に宿る善と悪というテーマを取り上げたが、それと同じくらい「善良だったジキルがどのようにして悪党のハイドに変わっていくのか」も念入りに描いた。ジキルは初め悪の誘惑を感じたとき、ハイドになるために変身用の薬をたくさん使った。ハイドになるとき、大きな苦痛も経験する。しかし、悪行を重ねるほど変身に必要な薬は少なくなり、変身に伴う苦痛も減った。過ちに目をつぶるそれなりの理由はあると思う。しかしこのように過ちと逸脱が日常になる。

  • 깃들다:宿る、巣を作る

  • 못지않게:劣らず、同じように、負けないぐらい、負けず劣らず

  • 악당:悪党

  • 공들이다:力を注ぐ、精一杯やる、念を入れる

  • 거듭하다:重ねる

  • (으)ㄹ수록:~するほど

  • 잘못:過ち、間違い

  • 눈감아 주다:目をつぶる、見逃す、大目に見る

  • 나름:次第、なり

  • 일탈:逸脱

  • 일상:日常

「잘못하다」は「間違う、誤る」という意味の動詞で、「잘 못하다(うまくできない、下手だ、苦手だ)」とは別だということを初めて知りました。書くときにも気をつけないといけないですね。

余談

7月にTOPIKIIを受けてきました!2年くらい前に2級を取ってから久しぶりのTOPIK挑戦、TOPIKIIは初めての受験になりました。
4級を取りたいな~と思っていたのですが、手ごたえはなく…(涙)せめて3級に受かっているといいなと思っています…
試験を受けてみて、

  • 文章を読むスピード

  • 単語数

  • 作文

が課題だと感じました。
とにかく文章を読むのに時間がかかりすぎて全然問題が解き終わらなかったので、特に読解のスピードアップは必須だと痛感しました。
そのためにはよく知っている単語を増やして、文章を読みながら意味を推測する時間を減らすことが大事だと思います。単語の学習をコツコツやるのが本当に苦手なのですが、そうも言っていられないですね…
書き取り問題では、書きたいけれどどう書いたらいいかわからない表現がたくさんありました。グラフや表などを読み取って情報をまとめる文章では頻出の表現があると思うので、TOPIKの作文でよく使えそうな表現から優先的に身につけていく必要があるなと思っています。

今年はもう受験予定はないですが、またTOPIKIIにチャレンジする機会があると思うので、今回の悔しさと反省点を忘れずにまた勉強頑張っていこうと思います。

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