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【インサイトから、どう具体策に落とすか?】こども服「アルトタスカル」編
こんにちは、ブルーパドルの佐藤ねじと申します。プランナー&デザイナーとして、企業のPRや、商品企画などの仕事をしています。最近は特にインサイト起点を重視して考えることが多く、その企画プロセスをnoteで紹介しています。
そんな「企画書ちら見せシリーズ」2回目は、こども服「アルトタスカル」です。
1:アルトタスカルとは
あると助かるこども服「アルトタスカル」。
子育てをする皆様からの「あると助かる〜」の声を聞いて、それを実現していくこども服ブランドです。医療的ケアが必要なお子様も含め、子育てにおけるちょっとした不都合を解決しつつ、手に取りやすい価格でかわいい服を作っています。
「ぜんぶおもて」の服や
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「ひかるふく」や
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「医療的ケア児のための服」など
実はまだ、医療ケアが必要な子の服には「キャラクターもの」がありませんでした。
— 佐藤ねじ / ブルーパドル (@sato_nezi) October 5, 2022
ふつうに、その選択肢がないっておかしくない?ということで、ハローキティ、ドラえもんのバリアフリー服が実現しました👏
スナップボタン仕様の前あき服。サイズ130まで。https://t.co/7w8eLGgOwk pic.twitter.com/5k0MVCfyBB
いろんな「あると助かる」を作っています。
今回はこのアルトタスカルが、どういう考え方/経緯/企画書で生まれたのかをご紹介します。
2:ゴール/ターゲット
元々、このプロジェクトは、こども服の「chil2」から、自社ブランドを作りたいという相談を頂きました。ターゲットは小学生以下。主には6歳以下の子が中心となります。
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3:考える上でのヒント
自社ブランド。でもたくさん良いこども服ブランドはあります。ふつうに、こども服ブランドをつくっても埋没してしまいそうです。
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しかも今回、広告をうつ予算もありません。だからプロダクトそのものの良さで認知をとっていくしかありません。ではどう差をつけるか?
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こども服は「かわいさ」「キャラクター」などで決めることは多い。でも今回のチームで、他社とデザインで差別化するのは難しい…。
でも、こども服って必ずしも「デザイン/かわいさ」だけで買ってるわけではないかもしれません。何を着てもこどもはかわいいし。
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それであれば「デザイン性」とは別のインサイトをついたこども服はないでしょうか…?
4:インサイト
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うちにも2人の子がいるので、こども服に関する「困りごと」や、思うことはたくさんあります。いろんなものを出していきました。
●毎朝着替えさせるの大変、めんどい
●寝てるとすぐお腹が出る
●保湿でワセリン塗って、服がベタベタする
●買ってもすぐ服が小さくなる
●夏服、蚊に刺されて面倒
●すぐ泥だらけ、水びたしになる
●塾に行く子が、暗い夜道歩くを1人で歩くの心配
●乾燥機すぐ縮む
●くつ下、片っぽすぐ無くなる
●医療的ケア児の服は選択肢が少ない
こういった「小さな不便」は無数にあります。
これの課題を解決するこども服をつくることで、「この服…神か!」という感謝を生み出せないでしょうか。
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そこで提案!
5:IDEA
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役立つこども服シリーズ。その名も・・・
「フタンヘラス」!!!
こども服にまつわる困りごとを解決する服に特化した、ブランドです。
デザイン的な差別化ではなく、ユニクロのヒートテックのように、機能的な差別化で存在価値をだすブランドです。
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実は、提案当初は「負担を減らす、やさしいこども服『フタンヘラス』」という名前でした。
でもこどもの着替えや服に関すること・育児を「負担」と表現するのは、ちょっとマイナスなイメージあるというフィードバックをクライアントから頂き、いろいろ出した末に「アルトタスカル」となりました。
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(デザイン:佐藤ねじ/イラスト:あけたらしろめ)
今思えば、「フタンヘラス」と「アルトタスカル」では大違い。そのまま決まらなくて、本当に良かったです。
6:具体的な服のアイデア
ここで、アルトタスカルの服は「絵本のようなタイトル」にしていこうと提案しました。全部ひらがなで、かわいくて、すぐわかる名前。
最終的に製品化された「ひかるふく」「ぜんぶおもて」「はだぎでぬ」などはその流れを汲んでいます。
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そして商品説明も、絵本みたいな感じで、短いことばでわかるように。
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実現化はしませんでしたが、服のカタログを、実際に絵本のようにつくろうというプランもありました。
今はこのプロジェクトから外れていますが、また機会があれば実現したいなと思っています。
商品化しなかったけど、あると助かるな案
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他にもいろいろ提案をしました。
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7:結果
そして、最初はクラファンからスタートし、毎回商品を出すたびに、SNSで話題をつくり、認知をあげていきました。
こんなのあると助かる!の声を実現する、こども服ブランド「アルトタスカル」が誕生しました。
— 佐藤ねじ / ブルーパドル (@sato_nezi) January 13, 2021
ひとまず「どっちもおもて」「おなかでぬ」の2商品が、makuakeで応募開始です。https://t.co/oyHduyYQTv pic.twitter.com/PmkwTI6qcQ
前・後・裏・表、どこからでも履けるサルエルパンツ「ぜんぶおもて」ができました。(超らくちん!)
— 佐藤ねじ / ブルーパドル (@sato_nezi) September 2, 2021
あると助かるこども服「アルトタスカル」https://t.co/sOY6kKTVuN pic.twitter.com/9lNQZU0pF6
学校や塾帰りの、暗い夜道。こども歩かせるのけっこう怖いですよね…
— 佐藤ねじ / ブルーパドル (@sato_nezi) October 5, 2021
そこで、アルトタスカル から、再帰性反射材をつかった「ひかるふく」が発売されました!https://t.co/WWnAO4rkYy pic.twitter.com/h30kjg2YWF
Amazonのボーイズパンツで1位になったりも。
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その後も、1発の花火では終わらず、定期的に露出して、新商品を出したりしていきました。
その後、私は2年ほどアドバイザー的に関わり、契約終了で離れました。今もアルトタスカルチームが運用してくれていますが、医療的ケア児の服などが特に人気のようです。
最近は各社から、表裏で履けるパンツが増えてきました。2021年発売のアルトタスカルを見て参入したのか、たまたまかぶったのかは分かりませんが、何にせよ競合も増えてきて、頑張りどころ。陰ながら応援しています。
さいごに
このnoteでは、今後もインサイト視点でどう考えて、それをどうHOW(具体策)に落としていくか話をまとめていきます。ちなみに前回はボードゲームホテルの企画経緯をまとめました。
これらの事例詳細は、ブルーパドルサイトの資料集(PDF)にまとまってます。「PR、商品企画、お店、WEB制作」の4種あります。よかったらご覧ください。
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