「使命を果たす会社」
本日(2020年8月9日)の日本経済新聞朝刊に、
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「人・自然重視の資本主義に」
フランスが2019年に新法を制定し、利益以外の目標を達成する責任を負う「使命を果たす会社」を新たな会社形態に取り入れた。上場企業で第1号となったのが仏食品大手ダノンだ。
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という記事が出ていました。
「利益法人である企業が、利益だけでなく社会や環境の改善を目的とすることを明記できるようにしたもの。」と解説にありました。
お金を中心にした企業活動ではなく、人や自然を中心にした経営を行うということです。
昨今のESG投資(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)を重視した経営を行う企業の株式や債券などを対象とした長期目線の 投資)やSDGsの流れを、法律で明確にしたものです。
株主は、利益責任のみを追及するのではなく、社会的貢献度も重視し、持続可能な社会の実現も求めるようになります。ただし、投資家は長期目線といっても、短期の利益の目減りをどの程度許容するのかが焦点になります。
ファベール会長兼CEOは、目指す会社像を一言でいうと、
「サーブ・ライフ(生命に尽くす)だ。社会があり、経済活動をした結果、お金が回るという考え方ではない。まず自然があり、経済を回すときには中心にお金ではなく人間がいる。製品を作るには植物や土、水などの自然が必要だ。ここに製品を買ってくれる消費者のほか、製品を作る人、運ぶ人、販売する人がいる。すべての生命を支え、尽くす会社になる。」(原文ママ)
とコメントされています。
具体的取り組みの例として、
「大量生産のための食品サプライチェーン(供給網)ではなく、循環型の『食品サイクル』に変えることが重要で、パッケージを再利用して次につなげる。配送業者やパッケージ企業、農家などを巻き込んで、再生可能なプラスティックを使うなど、循環型に変える。」
としています。
パラダイムシフトですね。
私は7年ほど再生紙屋さんのコンサルをさせて頂きました。
「環境保護」や「CSRの一環」として、「少し割高になるが、自分たちで集めた不用コピー用紙を再生して使いませんか」という提案を企業様に行う事業のお手伝いでした。
当初のキャッチコピーが、これです。
*〇〇〇〇はブランド名です。
6~7年前は、どこの企業様も「環境保護の取り組みは良いことですが、今よりもコストアップになるのは絶対ダメ。」ということで、「では、CSRの一環として、広告費扱いではいかがでしょうか?」などとご提案してきました。
しかし、再生紙なので品質が一定ではなく(不用コピー用紙のインクの量や色めで紙の色目・見た目がばらつく。)、手作業でコピー用紙以外を分別したりするため、どうしてもかなりのコストアップになるのです。最初の頃は、この点がネックで顧客開拓がうまく進みませんでした。
「環境」ではビジネスにならなかったのが6年くらい前までのお話です。
ところが次第に「持続可能社会」「SDGs」「ESG投資」が新聞やTV、セミナーなどで言われ始め、大企業様を中心に興味を持ってもらるようになりました。
そして、いつの間にか、申し合わせたように大手企業様、中堅企業様、業界全体に資材を供給する企業様などが、オリジナル再生紙を求められるようになっていきました。ほんの5~6年の間に世の中がすっかり変わったことを実感しました。
今日の日経新聞の記事は、効率重視の時代から、「人・自然重視」「自然との共存共栄」の時代に本格的に入っていったことを確信した記事でした。
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