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|影山多栄子の小部屋|

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人形作家・影山多栄子が物語世界を旅しながら、共に時を刻んでゆく人形たちを発表します。
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#創作人形

二人展《空はシトリン》|巻頭エッセイ|森 大那|曲がり角へと歩いてゆくだけ

 宮沢賢治は鈍い。それは彼の武器だった。  これまで宮沢賢治は、その作品群が無数の観点から読解されてきた。のみならず、遺された膨大なテクストは後世の人々の創造の源泉となり、あらゆる芸術ジャンルで派生作品が創られている。  彼に匹敵するほどのフォロワーを生み出せた作家は世界規模でも例がほぼ見当たらず、わずかにアメリカのエドガー・アラン・ポーが思い浮かぶだけだ。  しかしそれは、彼が時代のなかで先進的であろうとしたからではなかった。反対に古くあろうとしたのでもなかった。  宮沢

二人展《空はシトリン》|永井健一&影山多栄子|春から生まれしもの

 初夏は幻のように過ぎ去り——まるで生きとし生けるものすべてがじっとわたしたちを見つめているような暑さのなか、本展は幕を上げる。  この熱暑はまぎれもなく、今は遠き〈春〉が産み落としたものである。春は、冬の間ねむっていた生命がいちどきに噴出する季節であって、そこで生まれた命は一直線に、だが静かに夏へと向かってゆく。  本展メインヴィジュアルのひとつ《私の知らない林》に描かれている、煙る記憶のなかに通り過ぎる子どもたち。その幻想は、汽車の窓から眺める景色のように、あっという

二人展《空はシトリン》|DAY 1

本記事はオンライン展覧会《空はシトリン》DAY 1の配信記録です。 Text|霧とリボン  コントラストの強い陰影が空気を刻む盛夏の頃、翻って菫色の小部屋には、霧けぶる淡やかな色彩世界が広がっています。  私たちの夏フェス、影山多栄子 & 永井健一 二人展「空はシトリン〜宮沢賢治『春と修羅』に寄せて」が本日開幕致しました。初日の今日、オンライン・ギャラリーを訪れて下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。  霧とリボンで長くご活躍頂いてきた二人のアーティストが『春と修羅』

二人展《空はシトリン》|影山多栄子&永井健一|誰もが一人の

 本記事では、影山多栄子と永井健一が、宮沢賢治の詩「春と修羅」をテーマに創作した4点の作品を紹介する。  自由な想像と創造の世界。両作家の感性を具現化する力には圧倒される。それぞれの個性にふれて、賢治の詩の世界にひたりたい。  気高さの中に反骨心を秘めた挑むようなまなざし。仕立ての良い服は身分の高さと揺るがない個性を示している。作家が「春と修羅」の詩から創り出したのは、意志の強さと繊細さが同居する孤高の王子。  表情に滲む余裕は、まだ本当の意味で世界を知らない恐れ知らず

二人展《空はシトリン》|影山多栄子|白く、やさしい幻想

 日常を生きていて、ふと「ここにはいない誰かさん」を思うことがある。  その「誰かさん」がほんとうに存在するのか、何者なのか——そういった問いはたぶん、あまり意味がない。でも、小さいとき「誰かさん」はいつも側にいて、もっと身近に実感していた気がする。  宮沢賢治『小岩井農場 パート9』は、こうした精神世界の友だちを唄った詩ではないかとわたしは思う。  影山多栄子氏はこの詩に現れる「ともだち」ユリアとペムペルを、人形作品としてみごとに表現されている。初夏に差し掛かる頃に降る

二人展《空はシトリン》|DAY 2

本記事はオンライン展覧会《空はシトリン》DAY 2の配信記録です。明日8/2は配信お休みとなります。 Text霧とリボン  酷暑が続いていますが、皆様、お健やかにお過ごしでしょうか。水分補給をされながら、どうぞくれぐれもお気をつけてお暮らし下さいませ。  私たちの「観て読む」夏フェス、影山多栄子 & 永井健一 二人展DAY 2——本日も麗しのシトリン団が堂々と菫色のステージを飾りました。オンライン展覧会をお楽しみ下さいました皆様に深く感謝申し上げます。  本日最初のス

二人展《空はシトリン》|永井健一&影山多栄子|夜汽車の希求

 「青森挽歌」の対照的な2つの声、亡妹トシへの願いと遺された者の哀嘆が、永井さまの2作に響き渡ります。影山さまの人形1点は、私たちをトシの無邪気な面影へと誘います。  夜の静けさが、遠くから聞こえるさまざまな声を総動員して、心にのしかかってくる。風景がびゅんびゅんと通りすぎる汽車の中、トシの姿が詩人の頭の中に往来する。  水族館のように光る窓は、焦点を集めるように降り注ぐ光として描かれている。苹果の香気が漂うガラスに閉じ込められているのは「わたし」。  たおやかな花咲く

二人展《空はシトリン》|DAY 3

本記事はオンライン展覧会《空はシトリン》DAY 3の配信記録です。明日8/4最終日は最終日となります。 Text霧とリボン  一日のお休みをはさみ、夏フェスの後半が本日よりスタートしました。  影山多栄子 & 永井健一 二人展DAY 3をお楽しみ下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。菫色の小部屋を翔るシトリン旋風、宮沢賢治『春と修羅』と出会った新しい風を感じて頂けましたら幸いです。  盛夏の遠雷のように、夜汽車の走る音が聞こえてきました。  本日最初のご紹介は、詩人・

二人展《空はシトリン》|影山多栄子&永井健一|青い明滅――人も山猫もこっぱのこも

 宮沢賢治が生前唯一出版した詩集『春と修羅』の序詩として、賢治の詩観のみならず宇宙観をも示した作品「序」が、遊び心の溢れる2作品として新たな灯をきらめかせます。  むっつりしたり、微笑んだり、重なったりと、楽し気に弾けている。黄水晶(シトリン)色の小さな人形たちが8体!   それぞれ見た目は違っても、「あらゆる透明な幽霊の複合体」として存在している。現次元も別次元の世界も行き来できる不思議な力を秘めていそうな「こっぱのこ」たちは、「現象」として捉えられる「わたし」を具現化

二人展《空はシトリン》|影山多栄子|穏やかな肯定

 本記事では、『春と修羅』の世界を縦横無尽に読み解きながらも、詩にとらわれすぎることなく、作家独自の視点が優しくきらめく4作品を紹介する。  どうやら丁寧に育まれた作品のひとつひとつから、また新しい物語が生まれているようだ。ちょっとだけ、覗いてみてみよう。  詩の世界からこの世に降り立ったのは、気高きナチラナトラのひいさま。二本のとがった耳と優美な羽根をもち、ふわりくるりと不思議へ誘う。  しゅっと真っ直ぐに伸びた脚もうるわしい。うっとりと浸っているうちに、夢の中に招か

二人展《空はシトリン》|影山多栄子&永井健一&Du Vert au Violet|架空のシトリン・ソーダ

 夏フェスの終幕を迎えた菫色の小部屋に、シュワシュワと明滅する架空の炭酸水が運ばれてきました。『春と修羅』の詩情が、しずかに発泡しています。  本展「空はシトリン」のエッセンスを蒸留して標本壜に封印した、限定版コラボレーション作品をご紹介致します。  本展タイトル「そらは黄水晶」が登場する、「青い槍の葉(mental sketch modified)」の一節から着想した三組の作品——影山多栄子さまの布人形、永井健一さまの絵画プリント(手彩色)、Du Vert au Vio

二人展《空はシトリン》|DAY 4

本記事はオンライン展覧会《空はシトリン》DAY 4最終日の配信記録です。 Text霧とリボン  私たちの「観て読む」夏フェス、影山多栄子&永井健一 二人展は、本日をもって4日間の会期を無事終了致しました。  菫色のステージを鮮やかに過ったシトリン色の新しい風。お楽しみ頂けましたでしょうか。  フロントロウから、あるいは遠くからこっそりと、絵画と人形、エッセイが明滅する舞台をご高覧下さいました皆様に心より深く御礼申し上げます。皆様の静かな熱狂がここMAUVE CABINE

影山多栄子 & 永井健一二人展《空はシトリン》 |展覧会のご案内

オンライン開催 at MAUVE CABINET * 霧とリボン実店舗は休業中のため ご入場頂くことはできません  無国籍な美意識と民芸の伝統が交差する人形作家・影山多栄子さまと、鉱物的感性で人物や事象を夢想する画家・永井健一さま。宮沢賢治『春と修羅』から着想した、具象と抽象が明滅するふたりの作品世界をお届けします。  人形作品全20点、絵画作品全16点に加えて、ポプリブランド・Du Vert au Violetを交えた3組のコラボレーション作品1種(限定数販売)をお披露

影山多栄子 & 永井健一二人展《空はシトリン》 |開催方法と作品販売

オンライン開催 at MAUVE CABINET 霧とリボン実店舗は休業中のため ご入場頂くことはできません 霧とリボン 実店舗「Private Cabinet」に作品を展示、会場の様子や各作品の紹介を写真と文章で、会期中、ここMAUVE CABINET(note)にてオンライン配信、アーティスト作品を順番にご紹介します(8/2休)。尚、配信予定の事前告知は行っておりません。会期当日、霧とリボン ツイッターにてお知らせします。 [お昼頃]霧とリボン ツイッターにてその日