DICKENS|墓地の誘惑 ディケンズが惹かれた「嫌悪の魅力」
Text| Megumi Kumagai
ディケンズほどロンドンの墓地を愛した作家もめずらしい。
ロンドン旧市内にいくつもお気に入りの墓地を持っていたディケンズは、その抗えない魅力を作品に書き残している。
1860年代に掲載されたエッセイやスケッチをまとめた『無商旅人』は、商用目的ではなく「非商用」の旅人である語り手(ディケンズであってディケンズではない)が旅をしてそこで見聞きしたものを綴るという構成になっている。ディケンズのペルソナである語り手の旅人が扱うのは「フ