新潮文庫 安部公房『箱男』&映画『箱男』感想
序 わたしはあまり小説は好まないのだが、人に勧められて手に取ったこの作品は思いのほか読みやすく、最後まで楽しく読み進めることができた。『箱男』は実験的な構成をしていて、話の展開を追うのが大変な作品であるため、いまいち理解しきれていない部分もあるだろうが、まずは現時点での印象や思ったことを、あくまで感想として残しておくことにする。
安部公房の作品は、過去に『砂の女』を読み切れずに諦めて以降全く触れてこなかったのだが、いま改めて『笑う月』やこの『箱男』を読んで、実はかなり自分