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銀河帝国に学ぶ自由主義の殺し方

トランプが罷免を免れて、造反議員に粛清をはじめたという。ふと、スターウォーズのワンシーンがフラッシュバックして、頭から離れない。政治には触れたくないが、書かないと消化不良になるので仕方がない。万が一炎上したら凹むなぁ。

スターウォーズ

スターウォーズシリーズは、魅力的なキャラクターや迫力ある映像はもちろん、SFの中に、ふんだんに東洋思想を盛り込んでいるところも新鮮だった(エピソード7以降についてはノーコメント)。ジェダイはサムライを意識してると思われるし、マスターたちの名言の多くが、禅仏教を彷彿とさせる。エピソード1~3は、恐怖独裁の「銀河帝国」成立と、正義の主人公が世紀の悪役「ダース・ベイダー」に堕ちるまでを描いている(故に悲劇)。よって、政治色もそれなりに濃いと僕は思っている。

「自由は死んだわ。万雷の拍手の中で」

スターウォーズ・エピソード3の終盤、ヒロイン、パドメの台詞。
共和国議長、パルパティーンが「共和国を解体、再編し、銀河帝国を設立、自らを皇帝とすること、議会を半永久的に解散すること」を宣言した。それに対して、議場の議員たちは、万雷の拍手で応えた。
だが、パルパティーンの裏の顔は、「シスの暗黒卿」(後編のラスボス)であり、主人公アナキンを暗黒面に引き込んだ張本人。時代背景にあった、「分離主義者」たちの銀河共和国への反乱と政治的混乱、ジェダイの反乱なども、パルパティーンが黒幕として画策、偽装したものであった・・・

このときのパドメの台詞の原文は以下の通り。

So this is how liberty dies, with thunderous applause.

邦訳では"So this is how"の部分を省略してしまったように見受けられる。また、原文では"dies"であって、"is dead"ではない。僕としてはこう訳したい。

こうやって万雷の拍手の中で、自由は死ぬのね。

現代の国際社会も・・・

アメリカの世論調査では、いまだ半数かそれ以上の国民が、トランプを支持しているという。イギリスもEU離脱を決めたというし、日本では、ヘラヘラしながら、スキャンダルの証拠隠滅を公然と続ける与党が、相変わらず支持を集めている。問題なのは、彼らが何をしているか、よりも、「支持されているという事実」なのだ。
民主主義では、独裁者は「流星の如く」現れるものではない。有権者たちが、彼を押し上げ、彼に権利と権限を献上するのだ。ナチスですら、選挙によって選ばれた。民主主義的手続きを経て、独裁者は誕生する。僕はこれを「民主主義の自殺機能」と呼んでいる。

ちなみに、多分だが、投票率を上げることは、自殺機能を制止することにはつながらないと思う。むしろ加速するかもしれない。こういう時期は、大勢の国民が社会に問題を感じていて、それを政治でなんとかして欲しいと願っているはずであり、全く平和な時期よりも投票率は元々高くなるはずだから。短絡的に「なにかやってくれそうな」政治家に人気が集まるのは避けられないのはないか。

さて、悲観的な観測ばかり述べたが、僕個人としては、人生に悲観しているわけではない。人類の歴史は、困難の時代と、それに続く短い平和の繰り返しだ。どんな時代であろうとも、ひとりの人間にできることは、精一杯生きる、それだけであることに違いはない。願わくば、悲劇が最小限でありますよう・・・


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