国境と民族、難民
前回、世界には国籍のない人がいると書いたね。“ナニジン“でもない人たち。
なぜそんな人たちがいるのか?
どこかの国に住んでいるんだからそこの国の人じゃないの?
今回は「国境と民族」、「難民」について説明していこう。これを読んでそれらの言葉を理解して、自分にできることを考えてみてほしい。
国境はこうなっている。
世界にはたくさんの民族がいる。民族というのは、簡単にいうと肌の色や骨格、言葉、文化などが同じ人たちのこと。
同じ民族は、基本的にはかたまって、グループを作りながら生活してきた。それがだんだんと国になっていったんだね。
そうすると、自然の地形にそって国のさかい目(国境)ができるのが自然だよね。
同じグループなのに、大きな山や海を越えて一緒に生活するのは大変だからね。
ここで、世界地図をみてほしいんだけれど、さかい目が真っ直ぐなところがある。特にアフリカの国々に多い。山や海、川が真っ直ぐに進んでいることはないのに、どうしてだろう。
理由は昔、土地を侵略しようとしてよその民族が住んでいる土地に勝手に線を引いてしまった人達がいたからなんだ。
そんなことをすると、それまで住んでいた民族の人達は同じグループなのに別々の国に無理やり分けられてしまう。
国を失った人々
グループを作って生活していたのに、知らない人たちと急に今日から同じ国の人だよと言われても、怖くて仲良くはできない人の方が多い。
クラスに急に他の学校の子が入って来たり、他の学校に行ってしまう子がいたりして、今日から仲良くしようと言われても何だか緊張するよね。
転校生が1人来るのとはちょっと違う。
そうなると、悲しいことだけれど、人数の少ない人たちがいじめられるような状況になる。
今も世界中にたくさんいる「少数民族」と呼ばれる人たち。
そういう人たちは、国のメンバーとして認められないし、自分たちもその国のメンバーだとは思っていない。
だから国際社会からは国として認められない(もしくは、一部の国しか認めていない)「自治区」という国のようなものを作る。
聞いたことがあるかな?
自治区は世界中にたくさんある。
ニュースでよく聞くのは、
新疆(しんきょう)ウイグル自治区
チベット自治区
パレスチナ自治区
などかな。他にも本当にたくさん「ぼくたちは一つの国だよ!!」と声をあげている人たちがいる。
さて、迫害(いじめられるようなこと)を受けた人たちは、その国から逃げ出せばいいんじゃない?と思うだろう。
でも、パスポートを持っていない。その国の人じゃないからね。そうすると、どこの国に行くにしても、ルール違反をするしかない。勝手に別の国に行くということだね。
元のグループである同じ民族の国に助けを求めたり、第三国(元の民族がいる国でもなく、今住んでいる国でもない別の国)に助けを求めたり。
そうして逃げて助けを求めることを「亡命(ぼうめい)」
逃げてきた少数民族の人たちのことを「難民(なんみん)」
というんだ。
難民が抱える問題に向き合う
さて、情報はいろいろな面から見ないといけないと言ったね。難民の人たちはかわいそうだなと思った人たちに一つ追加の問題があることもお話ししておこう。
こんな本がある。
「そうだ難民しよう! はすみとしこの世界」
本当に困っている人たちの中に、助けてくれる人たちの気持ちを利用してしまう人もいる。
助けてもらう人、助ける人に必要な事って何だろうか。
ぼくは自分の答えとして以下のように考えているし、これからも考え続けていくつもり。
それぞれが意思をもつこと。
助けたいと思う人は、その人のなにを助けたいのか。
募金をすることは良いことだと思うけれど、そのお金が何に使われているのか。誰にいくら届いたのかまで確認したいとぼくは思う。
命の危機を感じて逃げた難民の人たちに希望をもってもらうことが本当の支援だと思う。
ただ生きるためだけのお金を渡すのはちょっと傲慢(ごうまん“えらそうな態度のこと“)だと思う。そんなふうにしても難民の人たちに本当の希望は見えてこない。
これは、難民に限ったことではないけれど、
困っている人が本当に前向きになれるようにするにはどうしたら良いのだろう。
もし、自分が本当に困った状況になったらどのようにして助けてほしいだろう。
まずはそこを考えるだけでも、支援の一歩なのかもね。