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苦しみが ぐるぐるめぐる ルサンチマン【フランス語】ressentiment

西研(東京医科大学哲学教室教授)「自分の中でうじうじと繰り返しちゃう、これが 『”ル“サンチマン』、『ル』、『ル』がついてますから。苦しみが、こう、自分の中で、こう、繰り返しちゃうんですね。あ〜こんなことしなければよかったのに〜」
堀尾正明(キャスター)「……という意味ですか〜」
西「はい」

100分de名著 ニーチェ“ツァラトゥストラ“第1回「ルサンチマンを克服せよ」
(2011年3月30日放送)

NHKオンデマンドで観ていたら、聞き捨てならない発言があった。

「ルサンチマン」が苦しみを繰り返すという意味なのは、「ル」がついているから?

「ルサンチマン」はフランス語で le sentiment だから、「ル」はただの定冠詞では?

と思って調べてみたら、ressentiment (憤り・嫉妬)だった。

私もだいぶいい加減だ。

確かに接頭辞 re- には「繰り返す」の意味がある。

西先生は、「ルサンチマン」という耳慣れない用語を、語学の知識をもとに、親しみやすく覚えやすく、教えてくださっていたのだ。

そしてこの後、お笑いコンビ・カリカによるコント『ルサンチ"リーマン"』が披露される。自分の不遇に恨みつらみを言い続けるサラリーマンを描いた寸劇だ。

さすがNHK、至れり尽くせりだ。

しかしちょっと調べてみると、お笑いコンビに「ルサンチマン」(2004 - 2014)(現在はピンの速読芸人・ルサンチマン浅川)がおり、青年漫画『ルサンチマン』(2004 -2005)があり、ロックバンド・ルサンチマン(2018 - )(英語表記はRUSANTI-MAN)がいるから、現代の若者にとっては、意味を知っているかどうかはともかく、「ゲシュタルト崩壊」や「アウフヘーベン」なみに耳慣れた言葉なのかもしれない。

なおウィキペディアによると、

「ル」をフランス語の定冠詞 le と誤解して「ル・サンチマン」と表記されることがあるが、誤りである(le sentimentでは単なる「感情」の意味になる)。

とのことで、ひとり私の勘違いというわけでもないらしい。

ちなみに、埼玉にはルサンティモン(le sentiment)というフレンチレストランが存在する。店名の意味は「思いやり・愛情」なのだそうだ。

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