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【中国語】抛锚(劉慈欣《三体II 黒暗森林》)

车刚驶回公路上就抛锚了,后轮轴坏了,只能打电话叫维修救援。
公道に戻るとすぐに車はエンコした。シャフトが故障していて、電話で修理を頼むしかなかった。(p.72)

劉慈欣《三体II 黒暗森林》 (2008)

天文学者・罗辑の回想シーン。本編とどういう関連があるのかはまだ分からないが、自分が創造したフィクショナルな女性とドライブデートをしている場面である。

車がエンコすることを「錨を投げる」と表現するのがおもしろい。「その場に鍵付けになる」というような意味だろうか。

英語では車を停める動作を表すのに pull over とか pull up を使う。子どもの頃はこれがなかなか覚えられず、なぜ「ブレーキを踏む」とか「ブレーキをかける」じゃないんだろうと思っていたが、これはどうやら「馬の手綱を引く」から来ているらしい。

他にも、馬車を意味する coach がバスにも使われることは知っていたが、飛行機のエコノミークラスのことにも使うのは最近知った。

上の引用の場面では「信马由缰」(走る方向を馬に任せる、成り行きに任せる)という成語も使われていて(成語集以外で初めて見た)、中国語にもやはり馬が主要な移動手段だったころの名残がある。

そこへきての「抛锚」である。

由来は分からなかったが、車に、船にまつわる言葉を比喩に使うのは珍しいのかもしれない。

私が運転する車に乗りたくないと言う人に、「大船に乗った気持ちでいろ」なんて言うことは、あるかもしれないけれど。


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