猫は液体か? ~猫の日なのでFlexicatの話でもしよう~
2月22日、猫の日――
去年のスーパー猫の日からもう1年、最後のnote投稿は2年前・・・
すっかり戻って来ないのかと思いきやいきなり戻ってきてこんな記事を書く気に急になったのだ。まるで猫のような気まぐれ屋だな――と自分の話は一旦置いておいて……
いきなりここに戻ってきて筆を手に取る気になったのはある汎用プレイングカードについて語るためだ。
汎用プレイングカード
その前に一旦汎用プレイングカード全体の話をしよう。
まずほとんどの汎用プレイングカードはスート×ランクからなる2次元の構成(+α)や、スート×ランク×色の3次元構成等、長方形あるいは直方体(あるいは4次元以上の超直方体,…)にジョーカー等をちょっと足したようなカード構成となっている。
ちょっと具体例を見てみよう。
上の記事ではトランプの4スート13ランクをベースに様々な拡張を行った汎用プレイングカードが紹介されている。中でもK6T以降のインフレは必見だ。
最後のSingularity Deckに至っては1デッキの最大枚数が520枚(※2nd Editionでの枚数)ととんでもない事になっている。
まだ猫が出てきていないがもうすぐで出るので待ってほしい。
さて、上の記事の終盤に出てきたクソデカ汎用プレイングカードは流石に一度に全てのカードを使用する目的で作られていない。
上のリストを見てみよう。ここにはBadger Deck(10スート最大32ランク320枚+αとこれも十分にクソデカな汎用プレイングカードだ。)を用いて遊ぶことができる既存のカードゲームが100種以上ずらっと並んでいる。
このリストに載っているカードゲームはいずれも10スート32ランクの範囲内に収まっているため、必要なだけ抜き出してしまえばそのカードゲームで遊べてしまうっていう訳だ。
つまりクソデカ汎用プレイングカードは、既存・あるいは未だ世に出ていない数多のカードゲームをエミュレート(模倣)するために作られている……と言っても過言ではないと思う。
逆にあらゆるカードゲームに対応させようとした結果ランク数やスート数が双方大きくなり、総枚数が膨大なクソデカ汎用プレイングカードが生まれる・・・と見ることもできる。(なぜクソデカ汎用プレイングカードを作ったかは製作者のみぞ知るところだが)
ところが、総枚数を抑えつつ(108枚!昔のUNOと同じ枚数だ)上で紹介したクソデカ汎用プレイングカードがカバーする範囲と引けを取らない(あるいはそれ以上!?)汎用プレイングカードがWil Su氏により考案されている。
それが冒頭から引きずっている猫が主役の汎用プレイングカード、Flexicatだ。
Flexicat ~可変構成"超"汎用プレイングカード!?~
Flexicatがなぜ以前のクソデカ汎用プレイングカードと並べるほどの対応力を持っているのかの鍵はタイトルが握っている。
Flexi(ble) + cat、つまりまるで液体のような猫の柔軟性をこのFlexicatも持っているのだ。
基本構成 8スートだけど・・・
柔軟性を見る前にまずは基本となるカード構成を見てみよう。
少し変則的な構成だ。
中央の6スート14ランク+上下端の2スート12ランクの計108枚だ。これは必ず108枚全てのカードの左上に書かれている。
0~9,X(ローマ数字の10としても変数xとしてもよい)ランクは両方に存在するが中央のスートにはトランプの絵札と同じJ,Q,K、上下端のスートには絵札でないW(ワイルド)がそれぞれ存在する。それを図に表したのが上の画像だ。今後も似たような図が沢山登場するので慣れておこう。
またそれぞれのスートには上の図のように名称・記号・番号・色が割り振られている。
とりあえず番号とスートの対応だけでも適当に訳すると
0:地, 1:水, 2:心, 3:火, 4:電, 5:花, 6:氷, 7:風 といった所か。
上図に示されているように、番号の和が7となる組のスートは同じ色のグループに属している。また、0~3のスートは色の明度が低く、4~7のスートは明度が高くなっている。
このグループ分けは後の変形で応用されるのでなんとなく覚えておこう。
これがFlexicatで再現可能なカード構成のリストだ
基本を抑えたところでこれからFlexicatがどんな変化をするのかを一覧で見よう。これも画像の引用元の記事から引用・刺身夜行の適当な訳入りだ。
数値システム
基本ランク・スート
通常のトランプ
6スート・14ランク (例: Lost Cities)
8スート・12ランク (例: Coloretto)
4スート・21ランク (例: Diamonds)
第9・第10のスート
小さなランクの重複構成
6スート・5ランク(0~3:3重, 4:2重)
8スート・5ランク(1~3:3重, 4:2重, 5:1重) (例: Hanabi)
4スート・5ランク(0:9重, 1:8重, 2~4:2重)
Flexicatの複(副?)スート
Decktetの基本セットおよび拡張
3次元カード構成
4色・6(副)スート・3ランク(72枚)
非数値システム
Flexicatのカード名称
ライダーウェイト版 タロット
カード名称・役割アイコン (例: Werewolf)
アクションアイコン (例: Battle Line)
文字・単語ゲーム (例: Letter Head)
めちゃくちゃ長いしさり気なく役職を決める必要があるもの・単語ゲームなど完全にトランプの範囲から逸脱したカードゲームまでカバーしてしまっている。 Flexicatを可変構成"超"汎用プレイングカードと呼んだのはこのためだ。
次の節からは実際の変形の例を見ていこう。
基本ランク・スート
通常のトランプ,6スート14ランク
赤・青の4スートから0を抜き、Wをジョーカーとして使用する。
0を抜かなかったり黄色2スートを足したりして6スート14ランク(+ジョーカー2枚)まで拡張することもできる。
8スート12ランク
全てのJ, Qを取り除き、KとWを同じランクとみなす。
4スート21ランク
全てのスートを色ごとに纏め、絵札・W・明度が低いスートのXを取り除き、明度が高いスートのカードは全てのランクが+10されるとみなす。
第9・第10のスート
いきなりランクの値を10増やす特殊処置が入ってきたが、これからは一部のカードをひっくり返す等、特殊処置が本格化していく。
ここで新たなスートの登場だ。
このスートを使うには図のようにJ, Q, K, Wの右下に書かれているものが読めるようにひっくり返す必要がある。
10スート・10ランク,1-100の連番,10段ピラミッド
図で見ると追加スートの色がぐちゃぐちゃで規則性が無さそうに見えるが・・・
実は魔方陣の構成となっている。
さらにスート番号をそのまま十の位として読めば0-99、あるいは1-100の連番のカードと見ることもできる。
さらにさらにそこから不要な分を取り除けばピラミッド型(1が1重,2が2重,…と数字と重複数が同じカード構成)が10段まで得られる。
小さなランクの重複構成
ここからは数札もひっくり返したり開く向きを変えたり色々なところを見たりする必要がある。カードに書かれているもの全てに意味があるのだ。
数札にも左下にはローマ数字の副ランクが書かれている。ローマ数字が書かれる範囲はI~IVまでで1スートあたりI~III:3重,IV:2重となっている。ちなみにランク0, Xは必ず副ランクIVになっている。それ以外では各ランクの全スートでの副ランク合計値が一定になるように副ランクが振り分けられている。
6スート・5ランク(0~3:3重, 4:2重)
緑スート未使用で絵札は副ランクゼロとみなす。
8スート・5ランク(1~3:3重, 4:2重, 5:1重)
K, Wを同一視してさらに副ランクV(5)とみなす。
4スート・5ランク(0:9重, 1:8重, 2~4:2重)
今度は右上の英単語の下にある小さな丸に目を向ける。
小さな丸は0~3の範囲で、色ごとに纏めると同じ重複数となる。
やっぱりK, Wを同じ追加ランクとみなす。
Flexicatの複(副)スート
Flexicatのほとんど(ランク0以外!)のカードにはメインとなるスート、ランクの下に2番目以降のスートが描かれている。残念ながら完全性はここで失われるが、この複スート(あるいは副スートとも言えるか)によりさらにカード構成の幅が広がる。
Decktet
なんでこの構成なんやって聞かれても自分もDecktetをよく知らなかった。ごめん。
3次元カード構成
ついに平面の世界を飛び出す・・・と言ってもカードは平面のままだけど。
4色・6(副)スート・3ランク(72枚)
とりあえずランク1~9を取り出してひっくり返して使えば3次元カード構成を扱っていることになる。それにしてもよくこんなに綺麗にハマったもんだな・・・
Flexicatのカード名称
既に何度かカードを見ているうちに気づいていると思うが、絵札とW以外の全てのカードには英単語ほぼ1つのカード名称が付けられている。
特にスート0,7はタロットの大アルカナの引用だ。
ライダーウェイト版タロット
通常のトランプ構成から0とか緑スートとか増やす。理論上は6スート+大アルカナの多分誰も見たことないタロットも構成可能。
カード名称・役割アイコン
ちなみに色ごと・ランクごと(厳密にはスートの明度の高低でさらに分割される)にテーマが決められてあり、なるべくそれに沿う意味の英単語が選ばれている・・・と思う・・・多分。
正直これの活用はプレイヤー次第といった所か。
アクションアイコン
ここで今まで目を向けて来なかったカード左下のマークを見てみよう。
実はこれも先程の英単語選出に使われたテーマが継承されている(らしい)。
単語ゲーム
そしてこれが最後の大仕掛け、英単語の中に1つだけ含まれる太字だ。
なんとこの太字、スクラブル等の他の英単語ゲームのようにアルファベットの出現頻度とだいたい沿っている構成となっており、各色ごとに近い出現頻度(≒得点)のアルファベットがなるべく均等に散らばるようになっている。
頭文字等に固定している訳ではないので幾分かは楽かもしれないがそれでもかなり凄まじい努力が必要だろう・・・
・・・とまぁ散々Flexicatでできることとかすごいこととかを語っていたわけだが
ここで一つ残念なお知らせがある。もう既に購入のリンクを貼っていてもいいと思っているがそれがない。実はFlexicatは今も未発売なのだ。
やはり1-100の連番は読みづら過ぎるしひっくり返すシステムは煩雑だし英単語の太字の位置がバラバラなのも気に入らないし――とWil Su氏はさらなる高みを目指してEverdeckへと名前を変えて開発を続けた。結果複スートやアイコンの廃止、猫のテーマから動物全般のテーマに移ることによる全体の猫の生息数の減少などの犠牲はあったが何やかんやで可変構成汎用プレイングカードのエッセンスを残したままEverdeckは完成し、今もDriveThruCardsで購入できるようになっている。
刺身夜行も最近Everdeckを2デックも買ってしまったので勢いに乗じてEverdeckの語りもするかもしれないし、しないのかもしれない。
ただ1つ思うのはFlexicatもいつか手にできる日がくると嬉しいなぁ
Decktetもいつか買いたいなぁ
あと(以下略)と猫の日の今日もいつもと同じく思うのだった。
あ!Singularity Deck 3rd Editionも買わなきゃ!!!
Everdeck編につづく・・・?
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