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2023年10月の記事一覧
親切な暗殺 #毎週ショートショートnote
「今日のターゲットは?」
ビルの屋上。いつものように淡々と準備をする俺の後ろから、問いかけが聞こえてきた。
「ねーえー。無視しないでよ」
放置しすぎれば、面倒なことになるのがわかっている俺は、嫌そうな素振りを振りまきながら徐ろに声のする方へ振り返った。
「仕事中は話しかけるなと言ってるだろう」
「いいじゃない、誰もいないわよこんなとこ。それで、誰なの?」
金髪碧眼で、真っ白なワンピースを着た
忍者ラブレター #毎週ショートショートnote
「私の初恋はねぇ、忍者が相手なんだ」
休日。妻と二人で他愛もない話をしていると、彼女の初恋の思い出話になった。
夏休み、母の実家の方へ遊びに来た彼女が森で探索をしていると、森の中で木々を跳ね回る特訓をしている黒ずくめの小さな忍者を見かけたんだという。
毎日陰から見守るだけだったというが、どんどん軽やかになっていく身のこなしと、努力する姿を見て、恋に落ちたんだそうだ。
「ラブレターも書いた
数学ダージリン #毎週ショートショートnote
「先生! 合格でした!」
僕が人生最大の喜びを最初に伝えた相手は、家庭教師をしてくれていた大学生のマリ先生だった。
「おめでとう。頑張ったね」
電話越しに、いつものように優しい声で、先生は僕を労ってくれた。
「先生のおかげです。本当にありがとうございました」
僕は本心から感謝を告げた。実際、彼女に見てもらった1年半で、どん底だった僕の成績も志望校を狙えるところまで成長したのだから。
どの
秋の空時計 #毎週ショートショートnote
「こら! 窓の外ばっかり見てないで、授業に集中!」
出席簿でバシッと頭を叩かれた俺は、「すみません」と頭を下げて、前を向き直した。もう一度、ちらりと窓の外に目をやると、宙に浮かぶ半透明の巨大な砂時計が時を刻み続けていた。
三年前の夏。ある日突然、その砂時計は姿を現した。当時は空前絶後の大騒動となり、付近に住む住民の避難や自衛隊の出動など、非日常の光景が繰り広げられた。
その後、砂時計の謎は
なるべく動物園 #毎週ショートショートnote
親たちの言い合いが聞こえてきて、僕はおもちゃを手にしたままひっそりと息を潜め、耳を澄ました。
「仕事ばっかりじゃあの子達が……」
いつもの通り、お母さんがお父さんに小言を言っているようだ。
「わかってるさ、次の日曜はなるべく動物園にでも……」
動物園!その単語を耳にして、僕は踊る心を抑えるのに必死だった。僕は眼の前でお人形遊びをしている妹にも教えてあげなければ、という使命感に燃えた。
僕