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63.美しい村のトウゴクミツバツツジ

 八ヶ岳の西山麓の長野県原村の八ヶ岳自然文化園と別荘地の、トウゴクミツバツツジを紹介します。原村は八ヶ岳のなだらかな裾野に位置しています。標高1100mあたりを南北にエコーラインと呼ぶ道路が通っており、これより東の標高1600mの間に別荘地があります。この中央の標高1300mあたりに、16haの八ヶ岳自然文化園が立地しています。
 原村は、縄文遺跡が残っていますが、諏訪大社の神野こうやとされた御狩場とされて、中世には、村や田畑がない場所でした。1610(慶長15)年から新田開発が進み、江戸時代に8つの新田村が誕生しました。1875(明治8)年に、この8村が合併して原村となり、今日まで続いています。1975(昭和40)年から本格的な観光開発、別荘地開発が始まり、今日に至っています。

左:1910年                 右:現在
                        「今昔マップ on the web」@谷謙二より

 1910年の地形図を見ると、雀森山(現 雀ヶ森)とその北側は、針葉樹の林になっていますが、現 八ヶ岳自然文化園を始め、別荘地の大半は草地になっています。現在の地図では、八ヶ岳自然文化園や別荘地を除くと、針葉樹の林に変わっています。
 エコーラインより上に、村花のレンゲツツジが多いですが、ヤマツツジ、トウゴクミツバツツジなどが分布しています。

紅紫色がトウゴクミツバツツジ  橙色がヤマツツジ   2022年5月14日

 著者が、八ヶ岳自然文化園を訪問したのは、2022年5月14日、2024年5月19日、2024年11月12日の3回です。八ヶ岳自然文化園内の建物は、プラネタリウムや展示室がある自然観察科学館です。園内には、シラカバやカラマツが多く、パターゴルフ、ドッグラン、アスレチックの施設があります。2022年5月14日には、愛犬家が多く集まる催しが開かれていました。

愛犬家が集まっている   2022年5月14日

 トウゴクミツバツツジの春と秋を比べてみます。

トウゴクミツバツツジの花   2024年5月19日

 同じ道路脇の株を、秋に違う角度から撮った写真です。

秋のトウゴクミツバツツジ   2024年11月12日

 前の記事でも紹介した蓼科高原や、原村を含む諏訪盆地全体は、標高が高いので平均気温は低いですが、日照時間が長く、乾燥しています。蓼科高原の森の中に囲まれた別荘では、周りが苔むしていて、乾燥しているとは思いませんでしたが、少し明るく開けた場所にあるトウゴクミツバツツジの紅葉した葉は、11月になると縮れていて驚きました。そして、自然観察科学館やその駐車場の周りの開けた場所にあるトウゴクミツバツツジの葉は、乾燥によってほとんど縮れていました。このような葉は、他のミツバツツジでは見たことがないので、今後、他の地域でも調べてみます。乾燥しているから、江戸末期から諏訪地方では天然寒天がつくられているのですね。

トウゴクミツバツツジの蒴果さくか、冬芽、縮れた葉   2024年11月12日

 別荘地の中にもトウゴクミツバツツジがありますが、蓼科高原と同様に、下部はシカに食べられていました。

別荘地のトウゴクミツバツツジ   2024年5月19日

 「日本で最も美しい村」連合に加盟している原村は、名のとおり美しい村でした。滋賀の自宅近辺のコバノミツバツツジと、信州の別荘近辺のトウゴクミツバツツジを比較すると、面白い発見ができます。

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