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95.ツツジが史跡を彩る雲岩公園

 京都府与謝野町の雲岩うんがん公園は、中世に繫栄した岩屋山雲岩うんがん寺(雲厳うんがん寺)があった場所にある公園です。雲岩うんがん寺は1525(大永5)年の兵火によって焼失しました。

雲岩うんがん寺略記より

 雲岩うんがん公園の一帯の山は、花崗岩でできており、アカマツ群落の植生で、コバノミツバツツジが群生していますと言いたいところですが、どうもトウゴクミツバツツジも混ざっていそうです。

雲岩うんがん公園の案内地図より

 2016年4月9日、2019年4月19日、2023年4月14日に訪問しました。
 2016年4月9日、雲岩うんがん公園の駐車場に着きます。広場があって、雲岩うんがん庵という集会場があって、地元の人々が集っています。ツツジが満開の園路を登っていきます。

園路に咲くツツジ

 大岩の上に、懸崖造けんがいづくりの稲荷堂が建っています。

懸崖造りの稲荷堂

 子どもたちも、ツツジを愛でて稲荷堂で遊んでいます。

稲荷堂

 天王堂の周りも満開です。

天王堂

 さらに登ると、鎌倉時代後期に建立された、丹後で最も大きい高さ3.36mの宝篋印塔ほうきょういんとうが建っています。

宝篋印塔ほうきょういんとう

 標高130mの尾根の上に、神の依り代である磐座いわくら雲岩くもいわがあります。雲岩くもいわは、文殊菩薩もんじゅぼさつを守護する毘沙門天びしゃもんてんの乗ってきた雲が、岩になったと伝えられています。

雲岩くもいわ

 雲岩くもいわから園地を見下ろします。

満開のツツジ

 満開のツツジを垣根にして、岩屋集落と田畑が見下ろせます。

岩屋集落の眺望

 地元の若手による雲岩創生塾が、つつじ祭りの準備をしていました。著者のコバノミツバツツジのパンフレットを渡しました。地元を元気にする活動として、当2016年からライトアップまで行うとのことでした。次の群生地も見たいので、雲岩うんがん公園を後にしましたが、戻って夜に見学すればよかったと悔やんでいます。今日の機材ならば、三脚がなくても夜景の撮影ができますが、このときは撮影が厳しいとあきらめていたのです。

 2回目の2019年4月19日は、1回目よりも10日も時期が遅く、ツツジは終盤かと思いましたが、満開の株も多かったです。あずまやまで登ります。

あずまや

 鐘楼後の礎石から、雲岩くもいわを見上げます。

鐘楼後の礎石

 達磨岩です。

達磨岩

 コバノミツバツツジをアップで撮ります。

コバノミツバツツジ

 そして、この接写で気づいたのですが、よく見ると、雌しべの下部に腺毛せんもうの白い粒々がついているトウゴクミツバツツジではないですか。

トウゴクミツバツツジ

 羽アリが集まっている花も、腺毛せんもうがあります。

羽アリが群がるトウゴクミツバツツジ

 若い葉に、裏表とも毛が生えている、トウゴクミツバツツジの特徴があります。植えたのではなく、自生しているのでしょうから、トウゴクミツバツツジが隔離分布している可能性が高いですね。となれば、始めはコバノミツバツツジ、後はトウゴクミツバツツジと、満開の時期がずれているのかもしれません。

トウゴクミツバツツジの若葉の表
トウゴクミツバツツジの若葉の裏

 3度目の2023年4月14日も、腺毛せんもうのあるトウゴクミツバツツジを発見しました。

トウゴクミツバツツジ

 ツツジのトンネルを抜けて登ります。

ツツジのトンネル

 雲岩くもいわです。

雲岩を見上げる

 雲岩うんがん公園は、コバノミツバツツジにトウゴクミツバツツジが混在する群生地でした。そして、地元で、しっかりと草刈りなどの園地の整備をして、ツツジのライトアップまで行うつつじ祭りを行い、地元に愛される史跡公園でした。


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