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82.地元で愛される石川県の鞍掛山
石川県小松市と加賀市にまたがる標高478mの鞍掛山は、白山から日本海まで眺望に優れた花の山です。麓や日本海から見ると、双耳峰の馬の鞍のような形をしているので、鞍掛山と名付けられました。江戸時代は、北前船の航海の目印になったので、舟見岳と言われていました。
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2022年4月29日に、北側の小松市滝ヶ原町からアクセスしました。滝ヶ原町には、江戸末期から滝ヶ原石が採掘された巨大な石切り場跡がありました。滝ヶ原石は、目が細かい火山灰が固まった灰緑色の凝灰岩で、軽くて加工しやすい上に耐久性があり、金沢城や小松城の石垣、石橋を始め、各種建材に利用されてきました。
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鞍掛山は、デイサイト・流紋岩の山です。300mぐらいまではコナラ群落、それ以上はクリーミズナラ群落です。第1駐車場に車をとめて、西ノ谷登山道を登ります。植物の名札がたくさんあります。ユキワリソウやササユリも保護されています。麓は、ユキグニミツバツツジの花は終わり、葉だけでした。
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登っていくと、ユキグニミツバツツジが咲いています。4月下旬から5月上旬、北陸では、羽アリがユキグニミツバツツジに群がるのを、他所でも見ていますが、ここのはすごい。
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山頂へ到着すると、木を組んだ鞍掛山方位盤が置かれています。
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雲を抱いた白山が見えます。
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日本海を望みます。
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先に進んで後山との間の鞍部に、元々あった鞍掛山避難小屋と、2020年に増設した「山の学校 鞍掛山」があります。ベンチなども整備されているちょっとした避難小屋前の広場です。
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山の学校の建物の中には、各種の展示物が並べてあります。春の花や眺望の紹介がありました。500mに満たない低山で避難小屋があって、しっかりとした展示がある例は、他所で見たことがないです。
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後山山頂です。
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下りは、とのお送電線登山道を降ります。ユキグニミツバツツジには、ハチが忙しく、密を吸いに回っています。
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他のミツバツツジのように、密集して咲いてはいませんが、桃紅色の花が並んで咲いているのは、清々しさを感じます。
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2台しかなかった自動車が、20台近くに増えています。昼から土砂降りになるという天気予報でも、地元の方に愛されて登られている山でした。
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滝ケ原町鞍掛山を愛する会が1997年に発足して、山の学校を含めて、精力的に山を整備していました。鞍掛山の名は、低山では城山、高山だと駒ヶ岳の次ぐらいに、どこにでもありそうな山名です。同会では、全国の21の鞍掛山を巡って、全国鞍掛山交流登山を行ってきました。ネットに公開されている「鞍掛山を楽しむ『自然と文化』」2022には、53ページにわたって、登山路、史跡、動植物、活動の経緯などが記されています。地域で里山保全の活動を行う上で、同会の活動に学ぶべき点が多いです。
【参考文献】
真栄隆昭・山下豊編、里山自然学校こまつ滝ヶ原・滝ヶ原町鞍掛山を愛する会発行「鞍掛山を楽しむ『自然と文化』」2022