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81.翠巒にツツジ爛漫 袈裟丸山

 晴れ渡る晩春の袈裟丸山けさまるやまは、翠巒すいらんと呼ぶにふさわしい緑が映える山並みに、朱赤、紅紫、純白のツツジが咲き乱れます。袈裟丸山けさまるやまは、群馬県みどり市、沼田市と、栃木県日光市にまたがる連峰です。最高標高は1961mの奥袈裟丸山けさまるやまですが、一般的に登るのは標高1878 mの前袈裟丸山けさまるやまです。

簡易な案内板の地図

 2021年5月30日快晴、7時にみどり市の標高1200m付近の折場登山口に着くと、駐車場は早満杯で、林道脇にとめます。袈裟丸山けさまるやまの山体は、おおむね安山岩・玄武岩質安山岩でできてますが、山麓の一部はジュラ紀付加体の混在岩です。植生図によると、登山路の登り口付近はクリ-ミズナラ群落、1350mからはカラマツ植林で、南東に伸びる稜線と出会う1550mからコメツガ群落とされています。
 1350mぐらいまでのトウゴクミツバツツジは既に散っており、ヤマツツジが咲いていました。

ヤマツツジの路

 カラマツ植林の多くは既に伐採されており、見通しのよい笹原が広がり、山頂がよく見えます。

笹原から前袈裟丸山を望む

 笹原の縁や、登山路沿いには、シロヤシオが目立ちます。

シロヤシオが満開

  そして、1550mからは、シラカバやダケカンバの林の中に、トウゴクミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジが競うように咲いており、野生ツツジのパラダイスです。既に散ったアカヤシオ、これから咲くレンゲツツジも点在しています。

トウゴクミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジの競演

 石が転がっている賽の河原は、安山岩質で、風が強い脊梁尾根なので、樹木が育たない場所です。弘法大師が経を読んで赤鬼青鬼を退治した場所だと伝えられています。また、弘法大師が袈裟けさまを丸めた山から、袈裟丸山けさまるやまと名付けられたと伝えられています。

賽の河原

 賽の河原を過ぎると、ヤマツツジは姿を消して、トウゴクミツバツツジが多くなります。

登山路のトウゴクミツバツツジ

 新緑のカラマツ林の中の紅紫のトウゴクミツバツツジも、紅一点の輝きを放ちます。

カラマツ林のトウゴクミツバツツジ

 そして、トウゴクミツバツツジの気品は、花柱根本の腺毛という小さな粒々の姿です。

トウゴクミツバツツジのアップ

 1676mの小丸山に至りました。多くの登山客でにぎわっています。ここから引き返す人も多い場所です。

小丸山

 袈裟丸山連峰が望めます。左から、曇の影の前袈裟丸山、後袈裟丸山、中袈裟丸山、奥袈裟丸山と並び、一番右奥が皇海山すかいさんです。

袈裟丸山連峰

 皇海山すかいさんの右が庚申山こうしんざん、その間の奥が日光白根山、右奥が男体山です。

左から皇海山すかいさん、日光白根山、庚申山こうしんざん、男体山

 少し進むと、シラカバやダケカンバの林の中に、ドーム型の避難小屋とトイレがあります。

ドーム型の避難小屋

 ここまではなだらかな登りですが、ここから前袈裟丸山けさまるやままでは急登で、笹薮やロープがあります。他のツツジは見られなくなり、アズマシャクナゲとムシカリが主役になります。

アズマシャクナゲとムシカリ

 一等三角点のある山頂にも、アズマシャクナゲが群生していました。

アズマシャクナゲ越しに北を望む

 登ってきた反対側の西斜面を見下ろすと、トウゴクミツバツツジの紅紫が見えます。

前袈裟丸山の西斜面

 開けて眺望良し、冴えた若葉の中に色とりどりのツツジ三昧と、晩春には抜群の山旅でした。


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