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70.大台ヶ原の花木爛漫

 大台ヶ原は、アクセス距離はありますが山頂近くの駐車場まで車で手軽に行けて、標高差があまりない散策路が整備され、咲き乱れる花木が楽しめる日本百名山です。

大台ヶ原ドライブウェイ沿いのトサノミツバツツジ

 三重県松阪市出身の探検家の松浦武四郎(1818~1888年)が、大台ヶ原へは明治18年に最初の登山を行ったあと3年にわたり登っています。本人の遺言に従い、西大台には松浦武四郎の分骨碑が建てられています。
 古川かさむ(1860~1930年)は、1891(明治24)年に初めて大台ヶ原に登って、単独で夏場に100日間、冬場に3ヶ月間滞在して修行を続けました。1893(明治26)年から6年かけて、修験道場の福寿大台教会を完成させました。
 著者が、中学時代の伊吹山の次に、高校時代に登った2番目の百名山です。友達とバスで駐車場まで行って宿泊し、翌日は標高1695mの日出ヶ岳ひのでがだけ山頂を経て大杉谷に降りて、2泊3日の山旅をしました。山頂付近は、1959(昭和34)年の伊勢湾台風で倒れたり立ち枯れた木々が多かったことを覚えています。
 それから1・2度訪れたあと、近年は、トサノミツバツツジ満開の2017年5月15日と、その他の花木を見に2018年6月3日に登りました。200台とめられる駐車場の脇に、ビジターセンターがあります。

ビジターセンター

 ビジターセンターの展示と、散策路の屋外展示が充実しています。ただ、コバノミツバツツジとトサノミツバツツジが咲いていますとは記されていますが、吉野熊野国立公園の北部の低地にコバノミツバツツジが分布しているだけで、確認したところドライブウェイ沿いを含めて大台ヶ原はトサノミツバツツジばかりでした。

ビジターセンター入口の開花情報

 日出ヶ岳ひのでがだけ山頂の展望台からは、360°見渡せます。実は2018年6月3日は、上を向いて歩いていたので、左足を思いっきり杭にぶつけて強打し、親指の骨が曲がってしまう失敗をした場所です。

日出ヶ岳ひのでがだけ山頂の展望台から西を望む
中央の山頂は釈迦ヶ岳   右の山頂は弥山   

 伊勢湾台風で立ち枯れた木々は残っていないようですが、正木峠では、その後も立ち枯れが進んでいます。

正木峠の立ち枯れ

 シカの被害が深刻で、罠を仕掛けて駆除しています。シカとともに様々な要因で森が衰退しており、

説明板に記された大台ケ原の森の状況

「樹木の下枝の高さが揃っているのは、シカが首を伸ばして枝葉をたべたからです。これを『ブラウジングライン』といいます。」「シカがミヤコザサを食べるため、ミヤコザサの背丈はあまり高くなりません。」「シカが樹木の皮をはがした跡がみられます。」と、記されています。もう20年近く前のことですが、下流の大杉谷の山小屋の人から、シカの食害で、山林から下草がなくなり、野鳥も昆虫もいなくなったと聞いたことがあります。

ブラウジングライン

 トウヒの稚樹を守るパッチディフェンスです。ミヤコザサも、食べられていないので、周りと比べると背丈があります。

パッチディフェンス

 2017年5月15日は、一般の散策路を離れて、尾鷲道おわせみちに入りました。ヘッダー写真にも記した、トサノミツバツツジの老木に出会うためです。2018年6月3日にも尾鷲道に入ろうとしたのですが、シカの罠が仕掛けてあるので立入禁止とされていました。

トサノミツバツツジの老木

 満開手前の老木は、癌である天狗巣病にもかかっていますが、懸命に咲いていました。

3本の幹の付け根と右が大きな天狗巣病てんぐすびょうにかかっている

 トサノミツバツツジは、1つの蕾に3つの花を咲かせ、にぎやかです。

トサノミツバツツジの蕾

 上から見ると花枝かへいが赤いのがよくわかります。

上から見たトサノミツバツツジの花

 花を拡大すると、子房に白い腺点せんてんや、1本の雌しべ、7・8本の雄しべが確認できます。四国のトサノミツバツツジは、雄しべが10本で安定していますが、紀伊半島のは雄しべが7・8本が多いです。

トサノミツバツツジの花のアップ

 2018年6月3日は、一般向きの名所の大蛇嵓だいじゃぐらまで行きました。大蛇嵓だいじゃぐらを含めて、大台ヶ原は砂岩でできています。

大蛇嵓だいじゃぐら

 崖の横には、アケボノツツジが咲いています。

アケボノツツジ

 シロヤシオも満開です。

シロヤシオ

 サラサドウダンも満開です。

サラサドウダン

 オオカメノキです。

オオカメノキ

 カマツカです。

カマツカ

 晩春から初夏にかけての大台ヶ原は、花木が爛漫、一般の方におススメの山です。


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