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【 鑑賞したよ 】 池田慎と泉大の2人展『ラヴレター』 ▶︎ 古民家カフェBOBOBO

要約:
2024年9月、大阪・下河内の古民家カフェBOBOBOで開催された池田慎さんと泉大さんの二人展「ラヴレター」を鑑賞し、トークイベントに参加。

泉さんはダイソーの商品を手作りする作品を展示し、日常への愛が感じられました。池田さんは、既製品を使って視点を変える面白さを表現。

BOBOBOは、みんなが集まれるコミュニティを目指しているようで、穏やかなひとときを過ごせました。

大阪は下河内にある古民家カフェBOBOBO(ボボボ)にて開催された展覧会

池田慎と泉大の2人展
『ラヴレター』

2024年9月
1(日)、7(土)、8(日)、14(土)、15(日)、21(土)、22(日)、28(土)、29(日)

上記展示期間中の9月7日土曜日にトークイベントがあり参加しました。心がゆっくりと満たされ、充実した時間を過ごすことができましたので、

参加した感想をシェア

します。

▼BOBOBOについては以前に記事を書きました。

【 イベント内容 】

池田慎(いけだしん)さんと泉大(いずみだい)さんの2人のアーティストによるトーク(聞き手 ケイティ・ファネルさん)と森田の家さんたちによる出張Bar、マックル食堂さんのカレーの出店がありました。

泉さんとケイティさんはご夫婦でBOBOBOを運営されています。

自然の中、穏やかな気候で心地いい雰囲気
お庭の中央には焚き火!

以前に訪問した時は屋内でしたが、この日はお庭がメイン会場?でした。

母家と離れの間にある庭の中央に焚き火があったり、ドリンクやフードの出店があったり、時間帯が夕方〜夜でしたのでビアガーデンの雰囲気でした。

森田の家さんたちによる出張Bar 照明の雰囲気がcool!
マックル食堂さん
ダル?カレーともう一種と副菜とサラダ 辛さが控えめで美味しかったなあ〜

カフェの雰囲気ではなく、自然をより身近に感じる少しワイルドな感じの夜ボボでした。

離れの一角 母家とは雰囲気が少し違います こちらの方が少しモダン?

母家と離れに展示されていた作品を作者による生解説!を聞きながら鑑賞。コーヒー、梅酢ソーダ、キャロットケーキを注文し、離れでカフェを堪能。夜ご飯にマックル食堂のカレーを美味しくいただきました。

梅酢ソーダとキャロットケーキ

キャロットケーキの厚さ!!!もそうですが、

ケーキを食べて
梅酢ソーダを飲んだときの
エネルギーの充実がすごくて、
体が元気になる

のがひしひしと伝わります。

あくまで個人的な感想ですが、このキャロットケーキはスイーツの枠を超えてランチを食べているような感覚です。

例えると、今採れたばかりの野菜をその場で食べるときの

生命のパワーを感じる

のと似ています。

材料へのこだわりと作る過程の愛情がすばらしいに違いないと勝手に推測しています。

ちなみに

コーヒーは美味しすぎたので
写真を撮ることを忘れました。。。

豊潤な香りはさることながら、雑味がなく後味よく、いつのまにか体に染み渡るようなコーヒーでした。

▼この日のメニュー

【 展示作品 】

泉大さんの作品は

ダイソーにある商品を手作りしたもの

でした。それをダイソーの商品と並べて展示されていました。

上の画像はレザー調の小銭入れです。左がダイソーの商品で右が泉さん自身が猪の皮をなめして作った作品。ロゴもご自身で描かれています。

上記の作品ははちみつを手作りしたもの。(画像右)

それぞれの作品がどういう風な工程を経て作られたのかをまとめた冊子も自由に読むことができました。上の画像ははちみつを作った工程。

時間と手間、労力がものすごくかかっていることが伝わりました。

アジシオの塩を作るのに和歌山まで行き海水を汲む工程からはじまる!!

他にも自家製で作られた作品がたくさんありました。パッケージロゴが緻密に描かれているもまさにアート!

上記は池田さんから泉さんに送られたラヴレター。切手でハートマークが形どられていました。貼られた切手の枚数が郵送で届く料金になっているのがおもしろいなあ〜。

母家の方にも作品が展示されていました。

池田さんの作品。ケーブルが編まれていることで、ケーブル自体が電灯の装飾の一部になっています。発想がおもしろく間近でみるとさらにインパクトがすごかったです。

紙を縦に重ねた紙棚

カフェ内に2019年に開催された「池田慎-あしたの品々×日用品の詩学- 」展の図録があり「紙棚」の作品解説がありましたので引用します。

平面と呼ばれる事が多い紙の『平面ではない』部分。それとあわせて『すきま』も気にして作品にしていました。
私達の都合で無いものとして扱っているモノがこちらを窺っている感じです。

「池田慎-あしたの品々×日用品の詩学- 」展 公式図録より引用

紙を重ねた間から玩具の手が出ているのが不気味ですが、平面が重なりあうスキマの存在を伝える意図を感じました。(不気味というのは筆者の勝手な思い込みです…)

【 思ったこと 】

100均で多くのモノが安く簡単に手に入ることは便利だし、その恩恵を受けて暮らしているので安易に否定できません。けれどその反動で日常にあるモノの価値について深く考えないようになってしまった気がします。

泉さんの作品を観て、

身近にあるモノを
手作業で作ろうとしたら
ものすごく手間暇や労力がかかる

ということを改めて気づかされました。

「ダイソーの商品を手作業でコピーした」というユーモアの部分とは別に、見た目は非常に似ているけれど「違うモノ」というところに本質があるような気がします。

突き詰めていくとそれは超弦理論のような振動数の違いになるのかもしれないけれど、モノ、作品を生み出す時の思いや愛情、熱意、気持ちのような

物作りのもっとも根底にある
「目に見えないモノ」の違い

だと思う。

そしてその「目に見えないモノ」は暖かい気がする。

多くのことの速度が速い現代に生きる僕らは何かをする時、何かを考える時に余裕がなくなることが多々あると思う。

そして余裕がない状態で何かを行うと、おそらくその結果生み出されたものの中身は乏しくなりがちだ。

余裕がないことで
気持ちのような
「目に見えない大切な何か」を
いつのまにか失っている

気がする。

誰もが手作業で手間暇をかけてモノを作れるわけではないかもしれない。けれど、

製作者が気持ちを込めて
そのモノを作ったことを
私たちは想像して
「目に見えないモノ」を
汲み取ることはできる

と思う。

そうして意識の中で起こる共鳴のような現象が広がっていけば、きっといろいろな事が穏やかになると思う。

そんなことがふと頭をよぎりました。

池田さんの作品は

独特な視点

が強く印象に残りました。スキマの存在を視覚化した作品「紙棚」がとくに強烈でした。

人のスケールだと紙を重ねた間にはスペースはないと考えますが、ミクロの視点や次元が異なる場所だとその間には壮大な空間が広がっているはずです。

「視点を変える事で生まれるモノ」

の存在に気がつかせてくれた気がします。

「無い」と考えているところに「存在」したり、その逆があったり。例えば小説などで「行間を読む」ということにもつながると感じました。

言葉は書かれていないけれど、読み手にはそこにあるべき言葉がなんとなく伝わるような感覚です。

そしてその言葉は「形のある言葉」ではなく、意識に直接伝わるような「言葉」です。

日々の暮らしの中でも、

視点を変えてものごとを考えたり、
目の前にないけれど、
確かに感じるものを
言葉にしてみたり

すると、いつもと違った感覚を得ることができるかもしれないと思いました。


【 トークショー 】

展覧会を鑑賞し、カフェをしてくつろぎ、カレーを食べてゆっくりしたあと、いよいよお目当てのトークショーが始まりました。

ケイティさんが椅子を用意してくれたので、屋外でしたが座ってゆっくり聴くことができました。(自然に囲まれた場所でしたので、暑くなく過ごしやすかったです)

トークショー 池田慎さん(左)、泉大さん(右)、ケイティ・ファネルさん(中央)

とくに印象に残ったことを書きます。

・・・ラヴレターについて

事前に池田さんから泉さんに送るから保管しといて→何が届くか分からなくてドキドキ→切手で模様が描かれた作品が到着(切手の総額は郵送料ぴったり!)

泉さんがラヴレターを返信したいと思い、ダイソーのレターセットを紙すきしてダンボールを制作し封筒に入れて返信した。

そういう手作りの作品を作りたいと泉さんから池田さんに話をしたところ、

「それは現代社会に対するラヴレターやね」

そして今回の展示作品を見ると、

この場所に対するラヴレター

というのも感じたと池田さんが話されていました。

・・・泉さんの展示作品について

これまでずっと絵を描いていたけど、今の場所に移り住んだら、畑をしたり薪を作ったりして絵を描く時間がない。けれど、

生活に使えるものを作ることにはまった。
そしてそれを作品作りに結びつけたい

と思った。

そういう中で、ダイソーの商品を手作りすることを思いついた。今はそれにハマっているので今後も作品を増やしていきたい。

(泉さん自身)これらの作品がアートだとは思っていないけれど、自分が夢中になって作って、それを見てくれる人がいるなら、こういう作品もありかなと思っている。

もし今回の作品が絵の展示だと、生活にまったく関係のないモードになって精神的にもピリピリしていたと思う。

今の場所に移り住んでから、

半分自給自足の生活を
するようになると
自分が満たされて
絵を描かなくてもよくなった。

だけど、その心境の変化にとまどった。

今回、展示の話があった時に、どういう作品にしようか考えた。

毛糸を作るのに糸紡ぎしたり、猪の皮をなめしたりしてできた作品は、今の自分が表れている。そこには

日常生活への愛があふれている。


・・・池田さんの作品について

既製品を使って作品を作るスタイル

例えば兵庫県西脇市でやった展覧会では

イチジク浣腸を
たくさん使ってシャンデリア

を作った。

ドラッグストアで浣腸を見た時に、その美しさに「これだっ!」と思った。

他にはどん兵衛のふたに古い着物の柄で細かに刺繍した作品があったり。泉さん曰く

池田さんの作品にはユーモアを感じる


【 あとがき 】

アート作品を鑑賞する時に思うのは、

人ぞれぞれに伝わるものは違っている

ということです。作品に触れることで

何か考えるきっかけを得ることができる

と個人的に思います。

今回の展覧会を鑑賞して、

泉さんの作品からは
モノに対する暖かい気持ち(日常生活への愛)、

池田さんの作品からは
モノに対して視点を変えること

を感じました。

またトークショーの中でケイティさんが、BOBOBOを今回のイベントのようにドリンクやフードの出店があり、いろいろな人を巻き込んだ

コミュニティのような場所にしたい

と話されていたことが印象に残りました。

BOBOBOのにわとりたち

あくまでこれは個人的な考えですが、

「生きることを作業としない」

ことにつながる考えだと感じました。

例えば音楽を作る時に曲を作って終わりではなく、その先のことを考えて音楽を生み出したり、食事をしている時に、素材をゆっくりと味わって美味しさを感じたり、街を散策する時に自分とは違う人の佇まいや雰囲気を感じたりすることかもしれません。

いつからか誰かが正解のように流行らせたことを、作業するように模倣するのではなく、

誰に何を思われたとしても、
自分がやりたいこと、
好きなことをする。

それ以外にも、

しんどいとき、つらいとき、
苦しいときは
自分をゆっくり休ませてあげる。

泣きたい時は泣いて、どうしようもない時はそれをそのままの状態でごまかさずに感じる。幸せな時はそれを心から味わう。

そうして自分が自分自身を大切にしていくと、
心に余裕が生まれ、自分を生かして
ようやく本当の意味での人生を
歩んでいくことができる気がします。

そして、自分の心に余裕が生まれると、自分以外の人のことも自然と大切にできると思います。

自分はそういう世界にいたいです。

(もっと自由でぶっとんでいいんだよ←自分への励まし)


今回イベントに参加して、たくさんの気づきと刺激を得ることができて幸せなひとときを過ごせました。

またBOBOBOにカフェしにいくことが楽しみです。

興味のある方はBOBOBOを訪れてみてはいかがでしょうか?

お読みいただいて、ありがとうござました。

眠かったのかな?

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ぼんちゃん
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