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14-4.【成長株の上昇チャートパターン】フラットベース (Flat Base) の徹底解説
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フラットベース (Flat Base) は、CANSLIM戦略における重要なチャートパターンの1つであり、株価が狭いレンジで横ばいを続けた後、急上昇に転じる兆候を示します。このパターンは、強い上昇トレンドを持つ銘柄が一時的な調整を経て次の上昇段階に移行する際に現れるもので、非常に信頼性の高いシグナルとして知られています。
1. フラットベースの基本構造
形状
株価が狭いレンジで横ばいを続け、ほぼ水平な動きを示します。
上昇トレンドの調整局面で形成され、高値から10~15%以内の範囲で推移するのが特徴です。
ネックライン(抵抗ライン): ベースの上限値を形成する抵抗ライン。ここを突破すると、ブレイクアウトが発生します。
形成期間
通常、5~6週間で形成されます。短すぎる場合はノイズとして扱われ、長すぎる場合はトレンドの勢いが低下する可能性があります。
2. フラットベース形成の背景にある投資家心理
1. 上昇後の一時的な利益確定
フラットベースは、強い上昇トレンドを経た銘柄が利益確定売りを吸収し、調整を行う過程で現れます。
この調整により、過熱感が冷却され、次の上昇に備える「足場」となります。
2. 機関投資家の静かな買い増し
狭いレンジでの横ばいは、機関投資家が静かにポジションを積み増している兆候です。大きな出来高を伴わずに買い増しが行われるため、株価が安定します。
3. 振るい落としの不在
他のパターン(ダブルボトムやカップ・ウィズ・ハンドル)に見られるような明確な振るい落としはなく、強気な投資家が多く残っている状態です。
3. 成功しやすいフラットベースの条件
1. 狭いレンジでの横ばい
株価が直近の高値から10~15%以内で推移することが理想的です。レンジが広すぎる場合、パターンの信頼性が低下します。
2. 出来高の減少
フラットベース形成中は出来高が減少していることが重要です。これは、売り圧力が弱まり、株価が安定していることを示します。
3. ピボットポイントの突破
フラットベースの上限値(ネックライン)を突破する際に、出来高が通常時の1.5~2倍に急増することが成功の鍵です。
4. 形成期間が適切
5~6週間で形成されることが理想的です。それ以上の期間では、上昇モメンタムが失われる可能性があります。
5. 前提となる上昇トレンド
フラットベースは、既存の上昇トレンドが強い銘柄に現れるパターンです。形成前のトレンドが弱い場合、このパターンの成功率は低下します。
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4. フラットベースが示す市場の力学
強気市場の休息: フラットベースは、株価が休息を取りながらも強気市場が継続していることを示します。
供給と需要のバランス: 出来高が減少する中で価格が横ばいを続けることで、買い手と売り手のバランスが取れていることを示します。このバランスが崩れると、次の上昇が始まります。
新しい買い手の参入準備: 横ばい期間中に新たな買い手が市場に入りやすくなることで、次のブレイクアウトの勢いが強まります。
5. フラットベースの失敗要因
1. 出来高が伴わないブレイクアウト
出来高が増加しない場合、買いの勢いが不足しており、ブレイクアウト後に失速する可能性が高いです。
2. ベースのレンジが広すぎる
横ばい期間中に株価が10~15%以上変動する場合、フラットベースとはみなされず、パターンの信頼性が低下します。
3. 前提となるトレンドの弱さ
フラットベースは強い上昇トレンド内で現れるパターンのため、形成前にトレンドがない銘柄では成功しにくいです。
4. 横ばい期間が長すぎる
ベースが6週間以上続く場合、上昇モメンタムが失われ、次のトレンドが期待できなくなる可能性があります。
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6. フラットベースのトレード戦略
1. ピボットポイントでエントリー
フラットベースの上限値(ネックライン)を突破したタイミングでエントリーします。この際、出来高の急増を確認することが重要です。
2. 損切りラインの設定
ネックラインから3~5%下の位置に損切りラインを設定することで、ブレイクアウト失敗時のリスクを最小限に抑えます。
3. ファンダメンタルズの確認
CANSLIM戦略では、チャートだけでなく企業の収益成長率や売上高の増加を確認し、フラットベース形成中にファンダメンタルズが悪化していないことを確認する必要があります。
7. フラットベースがCANSLIM戦略で重要な理由
フラットベースは、成長株が短期間の調整を経て新たな上昇段階に移行する際に現れるパターンです。このパターンが示すのは、強い銘柄が休息を取りながらも成長を続けている状態であり、成功率の高い投資タイミングを提供します。
CANSLIM戦略では、ファンダメンタルズとテクニカル分析を組み合わせて、フラットベースが形成された銘柄を効率的にスクリーニングすることで、高いリターンを狙うことが可能になります。
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