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14-2.【最強の上昇パターン】カップ・ウィズ・ハンドル完全解説

CANSLIM戦略における鍵となるチャートパターン

カップ・ウィズ・ハンドルは、CANSLIM戦略において「次の成長段階に入る株」を見極めるための代表的なチャートパターンです。投資家心理や機関投資家の動向を反映し、適切なタイミングでの投資判断を支える重要な役割を果たします。
しかし、ただ単に形だけをみているだけでは失敗する確率が高いです。
以下では、このパターンの構造や成功要因、失敗を避けるための注意点について、網羅的に解説します。

取っ手付きカップ

1. カップ・ウィズ・ハンドルの基本構造と形成期間

基本構造

  1. カップ部分

    • 緩やかに下落した株価が底を形成し、再び上昇して最初の高値付近まで回復する形状を描きます。

    • 高値から12〜33%で反転する

    • この過程で投資家の利益確定売りが進み、買い手が徐々に優勢となります。

  2. ハンドル部分

    • カップの右肩で短期間の調整が発生し、小さな「足場」を固めた後にブレイクアウトします。

    • ハンドル部分の高値から8〜12%の下落

    • ハンドルはカップの高値から底値までの価格幅の半分以上の高さで形成されることが理想です。

  3. ブレイクアウト

    • ハンドル部分の高値(ピボットポイント)を明確に突破することで、次の上昇トレンドがスタートします。


理想的な形成期間

  • カップ部分: 通常7~65週間かけて形成されます。短すぎる場合、十分な底固めがされていない可能性があります。

  • ハンドル部分: 長すぎるハンドルは上昇の勢いを削ぐ場合があります。

2. 投資家心理と市場の動き

カップ形成中の心理

  • 株価が緩やかに下落する過程では、利益確定売りが進む一方で、一部の長期投資家は保持を続けます。この段階は「市場の健康的な調整」と見なされます。

  • 底を形成して再上昇する局面では、新しい買い手が入り始め、市場の信頼感が回復していきます。

ハンドル形成中の心理

  • ハンドル部分では、一部の投資家が慎重な様子を見せ、短期間の売りが発生します。

  • 機関投資家が静かにポジションを積み増す動きが見られることが多く、これはブレイクアウト後の上昇を支える重要な要因となります。

3. 成功しやすいパターンと条件

1. ハンドルの位置

  • ハンドルはカップの価格幅(高値-安値)の半分より上の位置で形成されることが理想です。

    • 例: カップの高値が100ドル、安値が80ドルの場合、ハンドルは90ドル以上の位置で形成されるべき。

  • この位置は、買い手が市場をコントロールしている状態を示し、ブレイクアウトの信頼性を高めます。

2. 移動平均線との関係

  • ハンドル部分が主要な移動平均線(10日線や50日線)の上で形成されることが成功の鍵です。移動平均線の下で形成される場合、上昇モメンタムが不足している可能性があります。

3. 出来高の動向

  • カップ部分では、出来高が徐々に減少することが重要です。これは売り圧力の低下を意味し、株価が安定している兆候です。

  • ハンドル形成中も出来高が減少し、ピボットポイント突破時に出来高が急増することが成功の典型パターンです。

4. ブレイクアウトの条件

  • ピボットポイント突破時には、通常時の1.5~2倍の出来高が伴うことが理想です。これは機関投資家の大規模な買いが入っている証拠であり、上昇の持続性を高めます。


5. 形成前のトレンド

  • カップ・ウィズ・ハンドルは、形成前に強い上昇トレンドがある銘柄に限定して使用するべきです。過去3~6ヶ月間で25%以上の上昇が確認できる銘柄が理想的です。

4. 失敗しやすいパターンと要因

1. ハンドルが低すぎる

  • ハンドルがカップの半分より下で形成される場合、投資家心理がネガティブであり、買い勢力が弱い状態を示します。

2. 出来高が伴わない

  • ピボットポイント突破時に出来高が増加しない場合、買いが十分に集中していないため、ブレイクアウト後に失速する可能性が高いです。

3. カップの底が深すぎる

  • カップの底が深く、30%以上の下落を伴う場合、強い売り圧力や市場の不信感を反映しているため、成功率が低くなります。

4. 形成期間が短すぎる

  • カップ部分が2~3週間程度で形成される場合、十分な底固めがされておらず、信頼性に欠けます。

5. 形成前の上昇トレンドがない

  • カップ・ウィズ・ハンドルは「成長株の次の段階」を示すパターンであり、形成前にトレンドが弱い場合、その後の上昇につながらないことが多いです。

5. 投資における実践的なポイント

  1. パターンの確認

    • パターンが理想的な条件を満たしているかを確認する。特に、ハンドルの位置や出来高の動向を重視。

  2. ピボットポイントでのエントリー

    • ピボットポイントを突破したタイミングでエントリー。出来高を確認して信頼性を判断。

  3. リスク管理

    • ピボットポイント付近でエントリーすることで、株価が再度調整した場合でも損失を最小限に抑えられる。

  4. ファンダメンタルズとの併用

    • CANSLIM戦略では、チャートパターンだけでなく、成長率や収益性などのファンダメンタルズも重視することが成功のカギ。

カップ・ウィズ・ハンドルは、投資家心理や市場のダイナミクスを反映した高度なチャートパターンです。正確に理解し、条件を満たした銘柄を選定することで、リスクを抑えながら高いリターンを狙うことが可能になります。

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