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14-3.【成長株の上昇パターン】ダブルボトム (Double Bottom) の徹底解説


ダブルボトムは、CANSLIM戦略において重要なブレイクアウトパターンの1つであり、株価が下落から反転して上昇トレンドに入る前兆を示します。このパターンは、投資家心理や機関投資家の動きを反映し、高い成功確率を持つトレードシグナルとして広く認知されています。ここでは、ダブルボトムの構造、成功条件、失敗を避けるためのポイントなどを詳しく解説します。

【注意!】CANSLIMにおけるダブルボトムは、下落局面からトレンドを転換させる一般的なダブルボトムではなく、既存の上昇トレンド内で一時的な調整を経て次の上昇段階に移行するパターンとして参照されます。

1. ダブルボトムの基本構造

W字型の形状

  • ダブルボトムは、その名の通り、株価が2回の底値を形成して反発し、W字型のチャートパターンを描きます。

  • 第一の底: 株価が下落し、売り圧力が一時的に減少して底を形成する。

  • 反発: 買いが一時的に増加し、株価が上昇するが、完全な回復には至らない。

  • 第二の底: 再び下落して底を形成する。この底が第一の底とほぼ同水準、もしくはわずかに低い位置にあることが理想的。

  • ネックライン(抵抗ライン): W字型の中間点(第一底と第二底の間の高値)が抵抗ラインとなる。このラインを突破することでブレイクアウトが発生。

形成期間

  • 典型的な期間: 通常、ダブルボトムは7~12週間かけて形成されることが多い。

  • 短すぎる場合、パターンとしての信頼性が低下し、長すぎる場合はトレンドの勢いが失われることがあります。

2. ダブルボトム形成の背景にある投資家心理

  • 第一の底: 株価の下落局面では、悲観的な投資家が売却することで売り圧力が強まります。この時点で一部の強気な投資家が買い始めることで底が形成されます。

  • 反発局面: 一時的な楽観ムードにより買いが優勢となりますが、まだ市場全体の信頼感が回復していないため、抵抗ライン付近で再び売りが優勢となります。

  • 第二の底: 市場が再度底を試す動き。ここで売り圧力が減少し、買いが徐々に増加していくと、反転の兆しが見えます。

  • ネックライン突破: 抵抗ラインを突破することで、多くの投資家が強気に転じ、新規買いが増加します。この局面では、特に機関投資家の買いが株価上昇を後押しします。

3. 成功しやすいダブルボトムの条件

1. 第二の底が第一の底と同水準、またはやや低い

 振るい落とし (Shakeout)

  • 第2の底が第1の底より低いことで、多くの弱気投資家が「さらなる下落の兆候」と判断し、パニック的に売りを出します。この動きが振るい落としとして機能します。

    • 目的: 弱気な投資家や短期トレーダーが市場から退場し、売り圧力を減少させること。

    • 効果: 残った投資家は強気であり、市場の回復に必要な安定した基盤を築けます。

機関投資家の買い増し

  • 株価が第1の底を割り込むことで「割安感」が強まり、機関投資家にとって買い増しの好機となります。

  • 機関投資家はこのタイミングで大口買いを仕掛けることが多く、底を固める重要な役割を果たします。

投資家心理のリセット

  • 第2の底が第1の底を下回ることで、投資家心理が一度完全にリセットされます。このリセットにより、株価が上昇に転じた際に新しい買い手が市場に参入しやすくなります。

2. ネックライン突破時の出来高増加

  • ネックライン(中間の高値)を突破する際に出来高が急増することが理想的です。

    • 出来高が通常時の1.5~2倍になると、機関投資家の関与が疑われ、信頼性が増します。

3. 形成期間が適切である

  • 7~12週間という適度な期間で形成されることが理想。短すぎるとパターンが未熟、長すぎるとトレンドの勢いが弱まります。

4. 前提となる上昇トレンド

  • ダブルボトムは通常、上昇トレンド中に発生する調整局面で見られるパターンです。形成前の上昇が25%以上であれば、成功率が高くなります。

5. 第二の底での出来高減少

  • 第二の底形成時に出来高が減少している場合、売り圧力が弱まり、買い勢力が台頭している兆候と考えられます。

4. 失敗しやすいパターンと要因

1. ネックライン突破時に出来高が伴わない

  • 出来高が増加しない場合、ブレイクアウトの信頼性が低く、騙し(False Breakout)の可能性が高まります。

2. 第二の底が第一の底より大きく低い

  • この場合、市場全体が弱気に傾いており、株価が反発しないリスクが高まります。

3. 形成期間が短すぎる

  • 短期間でW字型を形成した場合、投資家心理が十分に変化しておらず、反発力が不足する傾向があります。

4. 全体的なトレンドが弱い

  • ダブルボトムは上昇トレンドの調整局面で発生することが多いため、トレンドが弱い銘柄では成功しにくいです。

5. ダブルボトムのトレード戦略

1. ネックライン突破でエントリー

  • ネックラインを突破したタイミングでエントリーするのが基本戦略です。突破時に出来高が増加しているかを確認することが重要です。

*CANSLIMにおけるブレイクアウトは週足を基準に考えるのが基本です。これは、ウィリアム・オニールの戦略が長期的なトレンドを重視しており、短期的なノイズを排除するためです。

2. エントリーポイントの明確化

  • ネックライン付近で待機し、株価がこのラインを明確に超えた後に買い注文を出します。

3. リスク管理

  • 損切りポイントは、ネックラインの少し下(例: 3~5%程度の下落)に設定します。これにより、騙しにあった場合の損失を最小限に抑えられます。

4. ファンダメンタルズとの併用

  • CANSLIM戦略では、チャートパターンだけでなく、企業の収益成長率や売上高などのファンダメンタルズを併せて確認することが成功の鍵です。

6. ダブルボトムが示すCANSLIM戦略の本質

CANSLIM戦略は、「成長し、さらに成長する株」を見極めることを目的としています。ダブルボトムは、この戦略において調整局面を経た株が次の上昇段階に入るサインとして極めて重要な役割を果たします。このパターンを正しく理解し、ファンダメンタルズや出来高などと組み合わせて分析することで、高い精度でリスクを管理しながらリターンを狙うことが可能です。

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