詩│赤い提灯


海の底
光の届かぬ深海に
赤い提灯
屋台のたこ焼き
2つ買って
食べた石段

柔らかな肌と
角張った骨では
物足りず
腕の中
意味のない
寝返り
久々に感じたい

時の流れに
身体は
海面へと
引き揚げられ
眼の下
靴の先
2列並んだ
赤い提灯
あの頃の
僕たちが
石段で
肌を寄せ合っている

「冬には布団を買わなきゃね」
耳に届く2人の会話に
もはや入る隙はなく
流れに任せて
浮かび上がるだけ

海の底にも雪は降る
最後に花火でもしておけばよかったな



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?