詩│大海を知らず

1

星に  悪意を見た
森に  愛を見た
海に  冷たさを見た
空に  希望を見た
鳥に  わたしを見た
虫に  弱者を見た

仮に取り消しても
繰り返してしまいそうな
小さな景色


2

黄金こがね虫を背中から拾い上げた。はじめはジタバタとしていたが、人差し指を見つけると無闇な抵抗は止めた。しがみつかれた指から脳へと吹く温かく涼しい風は、凪いだ心を洗うように痛かった。



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