詩│忘れていた


ぼくは小さい頃
食べものとおもちゃの違いがわからなかった
それらは見るからに同じで
心踊るものはみんなおもちゃだった
「食べもので遊んじゃいけません」
とお母さんには言われていたけど
本当にわからなかったんだ

どうやら美味しいものが食べものらしいと学んでからは
牛乳や
鼻水や
中指は
みんな食べものだった
薬指はばっちぃの
小指もまあまあだけど、おっぱいなのは中指

ある日きれいなビーズを食べた時
お母さんに怒られて心配された
何で怒られたのかわからなかったけど
ビーズを食べるのはやめようって思った
あと中指もばっちぃからやめなさいって
そうなんだ

なるほど
ぼくは大きな勘違いをしていたようで
どうやら美味しくっても
お食事に出てこないものは食べものじゃないらしい
ほんとだ
食事って「食べものの事」って書くんだね
そう気づいてからぼくはめっぽうお行儀が良くなった

ほら例えば
「さがら」のお子様ランチが好きだった
好きなメニューがたくさん入っているから
おいしいおいしいと言いながら食べてたっけ

でも今日さ
道端の葉っぱをちぎって食べたらさ
これが予想以上に美味しくってさ
ぼくは何やら大きな勘違いをしてないか



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?