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作物の持つ力を最大限に発揮するために。丹念に作られるお野菜に込められた想いをお伝えします。

今回は、篠来たるでお送りする、お野菜についてお送りします。
(読了目安 約5分)


まるで別物?!中末さんのお野菜

まず初めに。これは何の野菜かわかりますか?

 正解はモロヘイヤです!
ネバネバ野菜で栄養価が高く有名ですが、個人的には葉の裏のザラザラが若干苦手で、たまに納豆に混ぜて食べるくらいでした。

しかし、中末さんのモロヘイヤは見ての通り、葉が分厚く色が濃い!
そして生で食べても、モロヘイヤ独特のえぐみも葉の裏のザラつきもなく、感じるのは噛んだ時のトロっとした食感だけ。
なんと茎まで食べられて(しかも筋感全くなし)とにかく美味しくて、まるまる一株、生でいただきました!

 このお野菜をつくっているのが、中末農園の中末 智己さんです。
丹波篠山で23年間、有機のお野菜をつくられています。

中末さんのお野菜は、細胞が元気で一週間では全然しなびないそうです。
(私は1週間も待てずに中末さんのお野菜をいただきましたが、たしかに葉物は青々とし、パリっとしたままでした。)
食べたらわかる、大大大納得のお野菜です。

中末さんが有機農法を始めるまで

 中末さんは姫路出身。農業を始める前はゴルフ場で働いていらっしゃいました。自然が好きで、樹木の管理や排水工事、2級土木造園などの国家資格をいくつも習得。樹木や自然が好きでしたが、
芝生や排水工事のために、肥料や農薬をまく事がどうやら土の力を最大限に発揮していないなと思い始めたんですよね」
その後、ゴルフ場の仕事を続けながら、造園のプロを目指し、仕事が休みの日には造園に修行へ。農薬の勉強や、土に関わり続けているうちに、「本当にいい食べ物、野菜を食べられるようになりたいし、色んな人にも食べてもらいたい」と思い、農業を始めることに決められました。まだ、「有機農法」という言葉が浸透していない約20年前のことです。

 出身の兵庫県で自分の理想の農業ができる土地を探して、丹波篠山の土地に落ち着かれました。そこから農業を始めて23年間、農薬を全く使用せず、30種類ほどの野菜を育てていらっしゃいます。管理を徹底し、蚊取り線香ですらも有機農法の認定を受けるのに禁止薬物が入っていないものを選びます。作物への影響が少なく、且つ最大限に野菜の力を発揮させるために、周りの空気や環境をとても大切にされています。

 しかし、そのお世話が最初から順調にきたわけではありません。

中末さんのお野菜が有機でできるまでとその信念

 丹波篠山の土は粘土質で保水性が高く、米や豆を育てるのに向いています。土に保水性があるということは、逆に言うと排水がしにくく、水はけが悪い。そうすると、根が酸欠になり病気になりやすいのです。

 紹介してもらった土地はその土質に加えて、耕作放置地でした。
村の人は「野菜を育てるには、この土地はどうかなぁ」と不安げに言ったが、中末さんは直感で「ここだ」と思い、農業をスタートされました。

しかし放置された土地を、もう一度再生するのは想像以上に大変なことです。草刈りからスタートし雑草との闘い。毎日広大な土地の草刈りをされました。それに加え、水はけも野生動物の対策も全てを考えなければいけませんが、幸い中末さんには排水工事や造園の知識と技術をお持ちでした。

 やっと作物を作り始めたら、次はまったく物が育たないという危機に面されます。そこからさらに試行錯誤の日々が続きました。
「農業を始めて3年間は、毎日辞めたいと思っていました」

農業は教科書どおりにやっても決してうまくいきません。
科学、化学、微生物学、生物、排水、気象、、、農業にはありとあらゆる学問が複雑にからみあいます。
肥料が足らないと判明し、分量どおりやっても、やりすぎた事になり作物が病気になります。

「失敗していると自分が情けないとというか、みじめに思えるくらいうまくいかなかった。だけど、実はそれは今になってみると、『その経験があるから今がある。』と言える。そういう失敗経験がないと、自分の確固たる土台ができなかったと思う。」


 近年は特に異常気象に悩まされています。暑さが長引くと、土の微生物や栄養素に影響が残り、翌年の作物の出来に悪影響が残ってしまいます。その例がキュウリです。

「これB級品なんです」と詰められるキュウリ、曲がったり大きすぎたり傷があったりしても、
トゲが多く艶やかで見るからに美味しそう。

今年の夏、キュウリが例年より高値だなぁと思われませんでしたか。
 実は、去年の夏の暑さが涼しくなるはずの秋まで続いたため、土に悪影響が残り、苗を植えたら、すぐに病気が蔓延。出荷できない状況になり、不作になったのです。

 病気になったら対処はどうするんですか?と聞いてみると
「待つしかない」というシンプルな答え。

有機農法は、容易に殺虫剤をまくわけにはいきません。肥料のミネラルの配合を絶妙に加減し、光合成の能力を高める事で、本来のキュウリの力を強くする。そうすることで、異常気象に負けない強い野菜にすることができる。とのことです。

知識だけでなく、観察力が大事。最初が大変やったからこそ、今は少々の異常気象でも対応できるようになった。一度うまくいったからといってそれが通用するとは限らない。ダメになっても再生して蘇る。失敗してもくよくよ悩まず、一晩寝たら次の日またやる。自然界も、災害あってもまた復活するでしょ。そういう感じです。」

‐そう思えるようになるまでは、相当な経験がいりますね。
「そうですね。人間ってピンチになったときに、ヤバい!ってなるじゃないですか。でもヤバいっていうときが一番チャンスで。何かを学んだり、吸収したり覚えたりとか、経験したりできるチャンスなんです。環境がすごく変化している今、しっかりと観察力をもって対応する、勉強するチャンスなんです。当然、それでも失敗することはあるが、やっぱりいい経験をできる。学べるというのを持ってやっていく。それが大事。」

「仕事をできる喜びとかワクワクドキドキする感覚を味わえるからすごく楽しい。野菜作りにおいて『ワクワクドキドキ』することはとても大切なんです。生産者の考えや気持ちが直に作物に伝わると思っています。イヤイヤやると野菜も美味しくなくなる。自分が好きでやっていると1日過ぎるのがすごく早く感じる。美味しいものを作る生産者はたぶん皆さん気づかれているんじゃないかな。」

中末さんが食べる人に届けたい想い

-食べる人にどんなことを感じてほしいですか。

「僕らの仕事っていうのは、ただ単に食べ物を提供することじゃなくて、
それプラス、身体の細胞が喜ぶような美味しい野菜を作る事。今の世の中はネガティブなニュースやストレスが多い。
だけど、本当に美味しい食べ物を食べると自然と元気になっていくじゃないですか。
そういう意識が芽生えて健康になってもらえるように意識して野菜を作っています

というか、
『自分が作っている』というよりは、『作物の力を最大限に発揮するためにお世話をしている』という感じです。
そういう食べ物を食べる人が増えていけば、世の中もいい方向になっていくと思っています。」

シンプルで雑味のないまっすぐな中末さんの信念。まさにお野菜の味と似ているように思います。


蜘蛛などの虫が害虫を退治してくれる
モロヘイヤの脇に生えている細長い植物は雑草でなく、緑肥。
下に根が張ることで微生物が増え、土が柔らかくする役目がある

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