書評 買って頂く技術「顧客ケア」とは
この記事は、顧客窓口の方、営業マンかその効果を発揮させたい管理者の方、データ活用した販促を考える方、CSR全般を考える方向けの記事です。
土台とする書籍は『売る技術を超える顧客ケアの方法』です。
顧客はどんな振る舞い・思想を持っているか
顧客は常に、自分にとって心地よいか、安い・便利か。
大きく識別すると、この2点で判断することになる。
現在、多くの企業が行う施策
①RFM分析(Recency / Frequency / Money):有料顧客を抽出する仕組み
②ABC分析:パレートの法則、一定期間での売上順の顧客を並べる
③絞り込み分析:上位500名のうち、女性でバック購入者にDMを・・
④データマイニング分析:さらに高度な分析(ここでは割愛)
上記をもろっと「データベース・マーケティング」といいます。
ここで問題は、ランク(セル)は1年間の分析の都度、かなり大きく入れ替わる点にあります。この本の著者の経験では、有料顧客の40%が入れ替わるようです。
そうなると、何が問題か。そう、その入れ替わる層へ、DMを送っても成果に結ばれない可能性が40%あるということになります。
(すでに今年たくさん買ったのであれば、当然ですね。)
また絞り込み分析も悪くはないのですが、一度バックを買った方に、常に売り込みのDMを送り続けることになり疎まれます。
時代は移って、売る時代から顧客ケアへ
これまで多くの企業が極めてきた手法は、人・物・金を集積し、生産性・商品の品質・サービスの品質を最高峰に高めて勝負してきました。
ただこれは、「商品を中心にした施策=売るための施策」です。
他にも、ブランディング・デザイン・昨日・広告・陳列(ディスプレイ)・売れ筋/死に筋把握・効率的な販売員教育・・・
これらも全て「売るための施策」です。
顧客感動も、ファン化のためにはもちろん重要です。
ただ、感動はその喜びは高く、冷めるのも早い。
(3年前に感動した映画を、その情操をありありと思い出せますか?)
だからと言って感動の連発は、経費に合わない。臭くなってくる。
その分、顧客ケアは持続可能といえます。
小さなケアで結構です、それが信頼を生み、深い感動を与え続けることになり、LTVが上がるでしょう。
加えて、その方法を可視化しても、全てがうまくいくとは限らない。
ある企業が営業の進捗プロセスと製造プロセスの一貫を夢見ましたが、
それは売る方が考えたプロセスで、実際の顧客心理はもっと複雑で、
計画は頓挫いたしました。
営業プロセスの管理(「良い打者は1日一時間打撃練習をする」という小言)でなく、顧客ケアの手法(「良い打者は、このようにヒットを打つ」というアドバイス)が有効なのは明白です。
今後の戦略に、人物金、ここに顧客を合わせる必要があります。
では、どのように「ケア」していくか・・① 時期
LTVと書きました。Life本来は生涯ですが、ここではその期間を4つに分け、それぞれのケアと期間の長さを、業態によって決めていくことが必要です。
シャツ屋さんの場合・・・
①長期(8年以上):65歳の定年まで見据えた、幅広い着用シーンでの装いの提案
②中期(3年〜8年):自身の個性や職種に合わせたコーデの提案とものづくりの背景
③短期(1年〜2年):洋装着用技術の大切な考え方の教授と、最初に揃えるべきアイテムの紹介
④一回
では、どのように「ケア」していくか・・② 全体図
顧客ケアの全体は、以下の3つから構成されます。
関係ケア 上記で設定した生涯にわたる関係ケアのプロセス
商品ケア 上記で設定した生涯にわたる商品ケアのプロセス
適切なサービス提案ができるMD政策(前職の私!)
仕組み 理論に基づいた対応ができている(場当たりでない)
corporate identityとして顧客ケアが全従業員に浸透している等
では、どのように「ケア」していくか③成功のための9ヶ条
①定期的
②長期的かつ計画的 この顧客と定めた方へ、シナリオを持って臨む(後述)
③心地よさを与える
④信頼される手法
⑤ケアを感じさせる気配りあるケア
⑥待ち望む・期待度を高めるケアも必要
⑦情 心に訴える
⑧理 理解していただく
⑨利 得すると理解していただく
では、どのように「ケア」していくか④ 4つの必要な準備
・「顧客ケア・マーケティング」の理論
・情報システム
・コンサルティング:必要な知識と能力は割愛
・WEBメディアの知識
・「顧客ケア・マーケティング」理論
1 ケアするべき対象顧客を見つけ出す【顧客ターゲティング・プロセス】
原則として、ポテンシャルのある顧客を対象とする
知恵と情報システムの腕の見せ所
2 ケアする顔を決める
今回販売して、今後も販売する人が、ケアするのが一番良い
3 シナリオ・ライター
5W2H(How much)を満たすシナリオを書く必要がある。
ツールとコンテンツを決める。
※日本人、欧州人、アメリカ人、など民族性を加味したシナリオを用意
では、どのように「ケア」していくか⑤ 攻略法紹介
・4軸で攻略する(driverとしての4軸)
まずは、情を縦軸・理を横軸に、その面積を拡大していく。
その後、質問を重ね(本当はどう思っているか?他社はどうか?)、はじめてクロージングに向かうことができる。
この4軸をdriverに、yes/noが進行していく。
・2通りの方法
ターゲティングした顧客に、顧客ケアを行っていくが、その方法は、
① 買い物を起点としたケア
② 買い物でなく、誕生日・新商品などこちら発信のケア
顧客の育成には、可視化できるステップを用意する必要がある。
その何段目にいるか、施策の結果何段目に上がったかがわかる形です。
それでも成果が出ない時は、ターゲティング・シナリオ・ツール(メール・手紙・電話など)のどこかが間違っています。
ちなみに、シナリオはうまく動かない時も想定し、特別なケアも用意します。
・GR分析(gredeとrecency)
gradeは顧客の累計購入金額。
その特徴は、下位に落ちないこと。ただrecencyは上下するので、ケアによる活性化が必要となる。
※編集者ノート
gradeを設けて、その中にステップを用意し、上がっていただく施策をケアとする。ここまでは了解。
ここまで書いての疑問:ターゲットはポテンシャルの有無、とあるがどのように見極めるか?
これまでの販売実績に基づくデータからと、想像を用いた知恵で判断していくと思う。
では、どのように「ケア」していくか⑤育成シナリオの紹介
・準優良顧客の中からポテンシャルのある方を見出し、優良顧客へのケア。
近未来に優良顧客になり得る若年層を早期に発見し、ケアを維持し、育成していく。
※クラスター分析殻、育成顧客を抽出する。
・いかに良い商品をご購入されたか(「顧客学習促進」)は、重要な購買後の関係深化アクション
※編集者ノート
シナリオには、知る段階から〜買った後まで網羅する必要がある。
取り急ぎ以上が紹介となります。
ありがとうございました!
佐々木真吾
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