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男性のための子育てハック。あるいは育休という名の戦場。


このnoteでは1.5ヶ月の育児休暇を取得した30代男性の私が、初めての産後育児の中で試行錯誤してきた育児の仕組み化やtipsを共有したいと思います。


●赤ちゃんに愛情を注ぐためにも親が機嫌よくいられることが超大事。

●特に産後1ヶ月はあまりにハードなので育児が楽になる施策はどんどんやるべき。

という考えに親和性のある方にとっては、多少なりとも役立つことが共有できるのではないかと思います。

主に男性に向けて書いていますが、性別問わず誰もが孤立しかねない産後育児が少しでも楽になる一助になれば幸いです。



はじめに | 産後育児における夫のポジション

産後育児において夫が果たせる役割は何か?

もしあなたが育休を取得し子育てにフルで時間を使えるのであれば授乳以外はすべて守備範囲というのが答えだ。具体的にはオムツ替えや夜泣き対応はもちろん料理、洗濯、掃除など家事全般を担うユーティリティプレイヤーというのが夫のポジション。

出産直後の母体は激しく消耗しており本来回復に専念すべき時期であるにも関わらず、昼夜問わぬ高頻度授乳が強制的に始まる。ようするに、最も悪いタイミングで最も過酷なミッションに突入するというのが産後育児の仕様だ。

これは人類のバクとしか思えないが、このバクに対処するには「妻は授乳と産後の体力回復に専念、夫はその他全てをカバー」という体制で夫婦2名チームのパフォーマンスを最大化させるのが最も合理的な選択だ。換言すれば、狭く深くが妻の役割、広く浅くが夫の役割とも言える。

念の為言っておくと、僕はフェミニストでもなければ良い妻良い夫像にも全く興味はない。これはイデオロギーベースでの答えではなく単純に負荷配分だけを考えて出した答えだ。

もちろん「授乳以外は全部オレがやってやったぜ」などと言うつもりはなく、妻もたくさんやってくれてます。ありがたや。ただ比重としては夫が出来るかぎり多めにやるとトータルで負荷バランスとれるよねというのが趣旨です。



前置きここまで。

ここからは、具体的に実施した仕組み化やtipsを書いていく。


1. 授乳タスクのルーティン化

産後育児の何が辛いかと言えばとにかく寝れないこと。そして寝れない主要因は昼夜問わず求められる高頻度(3時間毎orそれ以下)の授乳だ。ここが本丸。

「サクッと授乳してスキマ時間でちょこちょこ寝ていけばいいだけでしょ?」と甘い考えでいた過去の自分は、出産後すぐに現実を知ることとなる。

ギャン泣きで飲まない → 飲み途中で寝る → 吐き戻す → 終わったと思ったら次の授乳時間がもうxx分後に…。やがて一日の時間感覚も失い、これが深夜早朝含め最低1ヶ月は毎日続く。

この高頻度授乳地獄を乗り越えるためには、授乳1セットあたりのタスクを夫婦で分担しルーティン化することをオススメする。

具体的には「妻が母乳を飲ませてる間に夫が粉ミルクを調乳」「夫が粉ミルクをあげている間に妻が哺乳瓶を洗う」というように、夫婦が並列でタスクを進め授乳1セットにかかる総時間を最小化することで少しでも睡眠時間が確保できるようにする。参考まで、大まかな授乳1セットあたりのタスクと我が家の分担は以下スライドの通り。

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●最もしんどい高頻度授乳の工程を夫婦二人で並走することは、物理的な負荷軽減だけでなく母親を孤立させないことにも繋がる。真夜中に一人で孤独に起き続けるのと二人で起きるのでは全く負担感が違う。

●この高頻度授乳地獄は産後1ヶ月以上は余裕で続く。自分は当初「育休1週間+時短勤務1ヶ月とればいいや」くらいの安易な考えでいたが、妻から育休1週間では全く足りないと指摘を受け最終的には1.5ヶ月の育休取得とした。今思うと本当にこの指摘は正しかった。


2. 寝床は二ヶ所確保

ただでさえ寝れない中で苦しめられるのが夜泣き。

夫婦共倒れを防ぐためには「夜泣きしたら一人が対応、もう一人はとにかく寝て回復に努める」のが長期戦における鉄則。そして、この鉄則を守るために大事なのが寝床が二ヶ所あることなのだ。

赤ちゃんが「あやし終わったらスパッと泣かなくなる」であれば良いのだが、実際は泣き止んだと思い寝室に連れていくとまた泣き始めてを繰り返す。もし寝床が一つしかないと赤ちゃんをあやしている方の親だけでなく、寝室で寝ていた方の親までも安眠妨害をされてしまう。

我が家はもともと「寝室にダブルベッド + ベビーベッド」という構成だったが、これに気づいてすぐにマットを追加購入し簡易的な寝床をリビングに用意した。From Toで書くと以下のようなイメージ。

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●便宜上赤ちゃんを夫があやしてる図になってますが、妻が対応してくれるパターンも当然あります。ありがたや。

●夜泣きがやまない時以外は基本寝室で寝かせるのが体内時計作りには良いです。簡易寝床はあくまで夜泣き時の避難場所。

●簡易寝床について、新生児と同じマットの上で添い寝は危険なので避けたほうが良いです。大人と赤ちゃんは隣接した別の寝床を用意するのが基本。


ちなみに我が家は以下のマットを購入した。この手のものの中では厚手でしっかり寝れる。見た目が絶望的にダサすぎてこれがリビングにあるだけですべてのインテリアが台無しになるが、産後育児期の睡眠はなにものにも代えがたいのでやむなし。だせぇ。


3. 知識のアウトソース:かかりつけ助産師

もしあなたの家庭が初産であれば(我が家がそうであったように)毎日のように分からないことにぶつかる可能性が高い。

比較対象がないため赤ちゃんにいつもと違う様子があっても、それが適切なバラツキの範囲内なのか異常値なのかの判断がつかない。

・吐き戻し量が普通ではない(気がする)
・うんちが下痢ぎみになってる(気がする)
・体から変な音が聞こえる(気がする)

こうした疑問にぶつかる度に育児書やネットを叩いても良いが、ただでさえ睡眠不足の中で情報収集からスタートしていては時間がいくらあっても足りない。かと言って病院に毎回電話をするわけにもいかない。

解決されない疑問は不安感やモヤモヤを蓄積させる。赤ちゃんの健康のため、なにより親の心の安定のため知識が求められる領域は自分で頑張らずに専門家にアウトソースしたほうが良い

我が家は「nicomama」というサービスを使っている。かかりつけ助産師のマッチング、zoomでのオンライン相談に加え、ちょっとした質問もLINEで回答をしてくれるのがとても助かる。

めちゃくちゃ親身に対応頂けるし知識も豊富でプロの助産師さんはSUGOI。なにより「いざとなったらすぐ相談できる専門家がいる」ということ自体が親の心の安定に繋がるのでサービス使い始めてかなり満足度高い。


4. 食事のアウトソース:宅食

追い詰められ方にもよるが、基本的には自炊する時間があれば睡眠に回したほうが良い

とは言えコンビニ弁当では栄養価が偏るしそもそも外出自体難しい。
また、Uberなどのデリバリーサービスも「探す→選択する→頼む→待つ」のプロセスを毎日行うとなると地味に面倒だし意思力がすり減る。

そこで産後育児期にオススメしたいのが宅食サービスだ。毎日宅配してくれるか、冷凍弁当をまとめて届けてくれるので調理時間はもちろん毎日食事を選ぶという思考プロセスごとゼロにしてくれる

我が家は朝昼は自炊で夜は宅食というパターンにして、「nosh」と「ワタミの宅食」を並行して使っている。

宅食だけだと栄養バランスや量が足りないという方は、自分で超簡単な一品追加もありです。(うちはこのパターン)


5. 育児"以外"の家事はあらかじめ最小化しておく

はい、当たり前公式です。

総負荷 = 育児 + 家事 (+ 仕事)

逆説的だがどれだけ育児を楽にできるかは、育児以外の負荷をどれだけ減らせるかにかかっている

産後育児しながらマニュアルで家事をやり切るとか不可能なので、ドラム洗濯機と食洗機の二つは最低限買っておくことを推奨する。
予算があれば、ロボット掃除機、ヘルシオ、ホットクックも揃えておきたい。(以前書いた以下のnoteでこれらの自動化家電を紹介してるので良ければ参考にして下さい)

なお、これら自動化家電は赤ちゃんが生まれる前に出来るかぎり用意しておいた方が良い。産後育児に突入した後だと、恐らく家電を選んで買って初期設定するという気力は削がれている。



6. ながら育児

産後1ヶ月は基本的に「授乳してるか、おむつかえてるか、泣くのあやしてるか」だけで一日が終わる。

どれほど赤ちゃんが可愛くても24時間それ以外何もできないという状況は心をすさませるので精神安定のためにもながら育児はどんどんやるべきだ。特に音声コンテンツはオススメしたい。目は赤ちゃんの様子を見ていられるし移動もしやすい。

自分はミルクをあげる際や夜泣きをあやす際はだいたい片耳だけイヤホンをつけ、podcast、voicy、audible、youtubeの流し聞きをしていた。

夜泣きをあやすための真夜中の1時間が、気分転換の1時間に変わる。長期にわたり赤ちゃんへの愛情を継続させるためには親の精神が摩耗しないことが大切なので、ながら育児に罪悪感を感じる必要は1ミリもない。


蛇足だが、これから赤ちゃんを育てる人に圧倒的におすすめしたいのが、人気podcastコテンラジオの以下リンクの回。

ホモサピエンスは両親が子どもを育てるものではない。

という圧倒的パンチラインから始まる26:00くらいからだけでも聞いておくと育児への気持ちが楽になる。

ホモサピエンスは歴史の大部分において共同体で子育てをしており、親だけで子育てというのは「この数十年の」「日本での」当たり前であってそもそも無理ゲーなんだということが理解できる。いやこの無理ゲーに取り組んでるだけで子育て世代全員偉すぎの花丸100点でしょ。




7. 便利グッズには即課金

ここからは、産後育児の際にあると捗るなと思ったアイテム類を羅列していく。

なお、ベビーメーカーが販売しているいわゆる育児グッズはほぼ全て妻が選んでくれており私自身に深い知見はないので、ここでは「育児グッズのカテゴリ外だけど育児に役立ったアイテム」を中心に紹介していく。


●Alexa (音声アシスタント)

1ヶ月検診までは授乳回数や排泄回数などの記録をつけるよう指導される産院も多い。記録できるスマホアプリは世にあるものの、新生児育児の大部分は両手がふさがった状態になってしまうため、一通り赤ちゃんの面倒を見終えた後の記録となり手間もかかるし入力を忘れやすい。

オススメはAlexaなどの音声アシスタントを使って声で入力することだ。

我が家は「ぴよログ」というアプリを使っているが、これと家にあるAmazon echoを連携させて声で記録をとっている。例えばオムツを替えながら「Alexa、ぴよログでうんち記録して。」と言えば同時並行で記録まで取れる。

ぴよログとAlexaの連携には初期設定が必要です。詳細はググったら出てきます。


●スマートウォッチ

一定時間毎の授乳のような定期タスクは予めアラームを設定して管理すると脳内メモリを浪費せずにすむ。

我が家は最初の1ヶ月は夫婦でスマートウォッチをつけて0:00→3:00→6:00→9:00→…というように3時間おきにアラームを設定し授乳を進めた。

もちろんスマホのアラームでも良いけど、毎日何度も鳴るので手元だとなにかと楽。コスパの良さで有名なXiaomiのこれをうちも使ってる。



●電気ポット

粉ミルクを使う家庭であれば電気ポットもしくは保温機能付き電気ケトルは購入しておいたほうが良い。

保温機能がついていないケトルだと毎回お湯を沸かす手間がかかりすぎる。

我が家は以下を購入した。見た目のスッキリ感に加え、保温が70℃と90℃で選べるので粉ミルク作りにむいている。


●人感センサつきライト

夜中にキッチンに立ち粉ミルクを作ろうとキッチンの電気をつけてしまうと、明るさで覚醒してしまい授乳終わったあとの寝付きが悪くなる。

こういう時は人感センサつきのライトをキッチンに1つ貼り付けておくと、ぎりぎり粉ミルク作れる程度の小さい光量をキッチンに立った時だけ出してくれるので捗る。地味なお役立ちアイテム。

Anker様が3個でこの値段と安すぎてSUGOIです。(残った2つはトイレと洗面台あたりにつけておくと夜間の尿意でも明るい照明をつける必要がなく覚醒防げるのでおすすめ)


人感センサがついていない「授乳ライト」と呼ばれる夜間用照明もあり我が家も授乳時に使っているが、スイッチを押すワンアクションが必要なので粉ミルク作りのような「短時間手元だけ照らしたい」というユースケースでは個人的に人感ライトがオススメ。



●電動ハイローチェア

電動でゆらゆら揺らしてうまいこと赤ちゃんを寝させてくれる夢のマシン。四萬円也。THE・課金。

寝るかどうかは個人差あるようですが、我が家はyoutubeとかでホワイトノイズを流した状態でこれに乗せて揺らすとわりと寝てくれて助かります。

こういうのはヒット率50%とかでも十分助かるタイプのアイテムなので、自分は課金したほうが良いと思う派。(ただ課金優先順位的には先にドラム洗濯機とか食洗機です、マジで。)

買おうかレンタルするか迷っていたタイミングで友人夫婦から連絡がきて譲り受けました。圧倒的感謝&土下座。



おわりに | Why 育休?

かなり長いnoteになってしまったが、最後に主に男性に向けて「育休はいいよ」ということを書いて終わりたいと思う。


●家族へのオンボード

仕事であろうと育児であろうと、集団での活動にスムーズに入っていくためには最初のオンボードプロセスが重要だ。集団活動に入る最初のキッカケを失うとその後入りづらくなる。

「仕事終わって家に返ったら子どもは寝ていてすれ違い。自分を親だと認識していない。」

「自分が抱こうとすると嫌がる。迷惑がかかるので更にやらなくなってしまう。」

という話を聞くことがあるが、これはまさに最初のオンボードが上手く行かずその後なかなか入りづらくなってしまっているケースに見える。家族といえど最も近い他人である以上、その関係性は所与のものではなく主体的な関与で育んでいくものだ。

育休をとって産後育児にコミットするというのは、子どもとの関係性をつくりながら親として最低限のスキル(抱きかかえ方、ミルクの作り方、泣いた時の対応etc)を身に着けていくオンボードプロセスでもある。


●自分のキャリアにも役立つ

今回自分が育休に入る前に複数の人(男性)から「ゆっくり休んで下さい」「家族サービスしてきて下さい」という言葉を頂いた。

もちろん他意なく純粋な気遣いで頂いた言葉なのでとてもありがたく素直に受けとめているが、こういうサラッと出る言葉から未だに育休は休暇であり、男性の育児参加はサービスと捉えられているのだなと感じる。(このnoteで触れてきたよう、実際には産後育児は戦場だし男性は育児の主体者のはずだ。)

日本社会の構造を考えれば近い将来男性の育休取得は当たり前となる。その時に男性育児に対する価値観をアップデートできていなければ我々世代の後輩が育休を取ろうとした時に同じ目線に立つことはできない。

育休をとったことがあり、そのしんどさをリアリティを持って理解できるというのは、短期間の職場離脱を補って余りあるほど自身のキャリアにとってもメリットがある


●ただただ最高 of 最高

何より純粋に赤ちゃんは最高に可愛く新生児期の日々変化していく様を間近で見られることは理屈ぬきに最高 of 最高なのである。子どもが全く好きではなかった(むしろ苦手だった)自分が言うのだから多分間違いない。

昨日できなかったことが今日できる。

その瞬間に立ち会える。

人生に意味など求める必要はないと思っているが、あえて意味があるとすればこういう瞬間なのかもしれない。

恐ろしく眠くて、ひたすらしんどいけど、それでも出会える深い喜びは育休取得の特権だ。




最後に。

この1.5ヶ月間、産後育児にフル参加して強く感じたことは「夫婦二人でこんだけしんどいのに、ワンオペの産後育児はどれだけ孤独で辛いか」ということだ。

このnoteは誰かを攻撃したいわけではないし、ましてジェンダーの文脈で男女の分断を生みたいわけでは絶対にない。それでも、世のワンオペ育児の大半が母親によるものであるという非対称性が現実として存在する以上、ここに触れないことは消極的な肯定になる。

ワンオペは当たり前ではない。「みんなやってるから」は正しさの証明にはならない。

男性がより主体的に産後育児に参加する方法論が共有されることで、父親も母親もともに性的役割から解放され非対称性が改善されていくごくごく小さな一助にこのnoteがなれば嬉しい。



将来の父親候補に向けて改めて伝えたい。


「育休はいいよ。」











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nobuhisa sasaki
読んで頂きありがとうございました!