孫誕生|緊急事態宣言中の出産~30代でおばあちゃんになりました~
ゴールデンウィークの手前、孫は誕生した。
その頃はコロナ感染予防対策による緊急事態宣言真っただ中。
緊急事態宣言中の総合病院はピリピリとしている中にも、先生や看護師さん等がとても優しくて行くたびに安心させてくれた。
病院には相談員さんもいて、サポートをしてくれた。
帝王切開が決まった娘に、いろいろな検査が行われた。
元々怪しげだった心電図にもひっかかり、再検査などとなったりした。
何度も通院するのも、コロナ感染リスクがあって冷や冷やしていた。
妊婦検診はなるべく午後の最後の予約者にしてもらっていたようだった。
先生は娘にわかる言葉でゆっくりと説明してくださった。
皆がこの子が母親となれるよう、支えてくれている。
私もしっかりしなければ。
そう思いながらも、周囲から何度もかけられる「お母さんがしっかり支えてあげて」「お母さんがいるから大丈夫」の言葉にプレッシャーを感じることもありつつ・・・
手術の二日前に入院。
コロナ感染予防対策のため、付き添いは荷物もちとして病棟の手前まで。
そこからはクラークさんが荷物を運んでくれた。
入院中はもう来れないので、大荷物だ。
娘は未成年なので、保護者として説明を聞いたりサインをしたりした。
2時間ほどで終わるかと思ったら、お昼を挟んで5時間もかかった。
「では、がんばって!」
ひとりで入院じゃない。赤ちゃんが一緒だよ。
心配で胸が張り裂けそうな私自身にもそう言って聞かせていた。
「お腹の張りが強いので、緊急帝王切開になるかもしれません。」
そんな連絡がきた。
えーーーーー!
もう、そんなことを言われたら余計に眠れない!
面会はできないが、LINEができた。
本人と連絡が取れるのは安心!
なんとかもって、手術当日。
朝イチで私は待機&諸々書類にサインなどする。
コロナ感染予防対策で、本人には会えない。
家族待合室のような場所でそわそわと待ちつづける。
私もここで出産をした。
母もここでそわそわして待っていたのだろう。
心配と不安で泣きそうなのをこらえながら、母にLINEした。
「今から手術です」
「いよいよやね!」
すぐに返事が来た。すぐに繋がれる世の中に感謝だ。
主治医の先生がわざわざ来てくださった。
だいたいの流れとそれにかかる時間を教えてくれた。
先生は手術前とは思えない程おだやかで、安心感を与えてくれた。
「では行ってきまーす!」
明るくベテランな助産師さんが、遠まきに娘に会わせてくれた。
「がんばって!」
もう、わたしは涙が出そうだ。
がんばれがんばれがんばれ
大丈夫大丈夫大丈夫
何度も、何千回も唱えた。
予定では、先に赤ちゃんが保育器に入ってここに来てくれるらしい。
聞いていたよりも15分程遅い。
はぁ~~~息が苦しい!大丈夫かなぁ・・・
コロナ感染予防対策で開け放たれた窓から見える山の木々を、きっと全部数えきったくらいだ。
「は~~い!うまれましたよぉ~~!」
先ほどの明るい声が聞こえてきた。
元気に泣いている!
五体満足!
あらあら、保育器の中でおしっこしちゃった!
もう、涙はとまらない。
よくがんばったね!えらいぞ!
「ありがとうございます!」何度も言っていた。
2メートル以上離れたところから、10秒ほど面会させてもらって孫は去っていった。
身体測定などをする際に、看護師さんが私のスマホで写真を撮ってくださった。
体重もまぁまぁあって、元気そう。
本当によかった。
孫の写真を眺めながら、今度は娘を待つ。
娘より先に、主治医の先生が来てくださった。
「無事に手術はおわりました。赤ちゃんも元気でよかったです!
これからですね。これから、お母さんとして育っていかなければならない。
入院中はしっかりフォローしますね。」
先生は、ちょっと散歩をしてきたかのようなさわやかな笑顔で話してくださった。
お医者さん・・すご・・
ほどなくして、ベッドごと娘が運ばれてきた。
「はぁ~い帰ってきましたよ~~!」
元気な助産師さんの声がした。
今度は5メートル以上離れないといけないらしい。
ちらりと顔が見えた。
「赤ちゃん元気だったよ!」
そう、声をかけた。
やっと、私の力が抜けた。
助産師さんに早口で状態を説明され、
「それじゃあ、おつかれさまでした~!」とあっけなく病室に運ばれていった。
まぁ、いいか。回復したらLINEをもらおう。
手術後しばらくして、出生証明のための確認があった。
誕生日、住所、名前、等々・・・
産む前後はこんなに色々と手続きがあるのかぁ。
私のときも、主人や母が対応してくれていたのだろう。
出産はお母さんだけが大変じゃないんだと、やっと思えた。
いやぁ、すごい。
私の母も同じ思いだったのだろうか・・・
子を産んで親のありがたみを知るとはよく聞くが、
私は自分の子の出産で親のありがたみを感じた。
よくも私を信じてくれていた。
母・・すごいや。
娘よ、出産おめでとう!
孫よ、ようこそ我が家へ!
私に
「おばあちゃん」という肩書が増えました。