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思いつくまま、気の向くまま
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2019年3月の記事一覧

焚べる

砂を焚べろ 花を焚べろ

星の光に届くよう

かっかともやせ、たきぎを焼べろ

焼べろ、焼べろ、命を焼べろ

砂糖菓子が溶けるほど、涙が銀に変わるほど

命を焼べろ、祈りを焼べろ、

おまえの涙が尽きるまで

焼べろ、焼べろ、すっかり焼べろ

つきのまなこ

つきのまなこはあまねくとどく

ろじでしにかけるこじきにも

ごうていでうまれたばかりのあかごにも

つきのひかりはあまねくそそぐ

うえてしにかけるみどりごに

こえてあせをかくろうじんに

ぎんのひとみはあまねくみわたし

ぎんのひかりはあまねくそそぐ

つきにわけへだてはありもせず

あまねくこのよにふりそそぎ

けっしてすくうことはない

さえたびぼう、はくぎんのひめ

うつくしき、みちる

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瞬き

きぃら きぃら

わらうようにほしがまたたく

あれはきみのわらいごえ

ぼくのよぞらはいくせんのほほえみでつくられる

きぃら きぃら

ほしがほほえめば ぼくもわらう

きぃの きぃの

ほしがなくならば ぼくもなこう

ほしのまたたきは きみのこえ

きみのうたごえ、きみのかなしみ、きみのよろこび

ぼくのたましいのやすらぎ

きぃら きぃら

ほしがわらう

ほしがわらう

流れ星

流れ星おちた

流れ星おちた

神様のお宮から

流れて落ちた

流れて落ちた

流れ流れてどこいった

海に落ちては夜光虫。

浜辺におちては真っ赤なひとで

陸に落ちれば蛍石

きらきらきらきらかがやいて

夜の灯になり申す

流れ星落ちた

流れ星落ちた

真っ暗闇にべそをかく

小さなお前のために降りてきた

午睡

花びらの寝床に身をおろし、泡沫に微睡む

神々の黄昏は遠い神話

荒々しい雪解け水の雄叫びは

幽谷にかそけく響く

甘き眠りにまどろむ

歩き疲れた足を休め

穏やかな午睡に魂を養う

翠玉の湖の畔、石英の乙女が唄う

子守唄は 炉に投じた蛍石の煌めき

リー、ィウェン、リゥ、エーレイラ、リー、ィウェン

歌声は幽谷にかそけくひびき

ついに旅程を終えようとする 彼の人の胸に還る

リー、ィウェ

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憧憬

三月は花の憧憬

霜のように咲き初める桜

雪の名残のように咲き積もる萩

土瀝青(あすふぁると)を彩る白梅

三月は雪の憧憬

冬の名残を花々が歌う 

雪の名残の白雲が 

空に積もって層をなす

雪解けの水は

氷を恋しがってしんと冷たい

三月は冬の憧憬

春に塗り替えられる冬の

絶命の声が骨に染む

三月は花の憧憬

雪のように咲き初める花の

冬を恋う憧憬

さむさ

うめられないさびしさに

うずくまって

めをつぶる

足先から凍えるような

感覚の剥離

うずめられない後悔に

うずくまって

めをえぐる

腸までしみとおる

悪寒の強さ

さむい

さむい

さむい

どこにいるの 「  」

しゅーくりーむ

しゅーくりーむ

いちごがはいったのがすき

しゅーくりーむ

まっちゃのはいったのがすき

しゅーくりーむ

しゅーくりーむ

かすたーどとほいっぷ

しゅーくりーむ

さくらあんとまっちゃくりーむ

くりとさつまいものくりーむ

ちいさなはこにいーっぱい

きみとわけっこしてたべる

きみとわけっこしてたべる

きみがとなりに

いてくれたら

いかり

くち、くちがうごかない

いかりでくちがうごかない

にいさん 

にいさん

いかり いかりが

縫いつける

縫いつける、口を

口を縫い付けて

怒鳴り声

怒鳴り声

怒鳴り声!

兄さん

できないの

あめ あめ みたことないの
あめ あめ みたことないの
ゆきのくにのおおかみさん
あめ あめ みたことないの
つきでうまれたのっぽのこ
やせっぽっちののっぽのこ
いつまでまてばいけるだろ
あおいおほしにいけるだろ
あめ あめ みたことないの
ほし ほし いけるのいつか
ほし ほし 
あめ あめ
あめ

ふき

ふき

ふき

ふき

裏庭に生えたふき

どうやってたべてやろ

つくだににしようか

すーぷにしようか

ふき

ふき

ふき

つみにいったら、かわいかった

あさつゆできかざっってやんの

ふき

ふき

ふき

たべんのはやめとこってきめたつぎのひ

となりのおばさんにくわれちゃった

ふき

がれっと

おまえが

たましいをなくしたというので

わたしはガレットをやいて

おまえのしんぞうにうめてやった

おまえのたましいから

べーこんとくりーむちーずのにおいがするように

みかづき

みかづき

みかづき

みかづき

かけたつき、かけたつき

はらをすかせたこどもらに、

おまえはおまえをくわせてしまった

ちにくをさいて、かわきとうえをいやしてやった

みかづき

みかづき

みかづき

きえてなくなるしろいつき

もいちどあえるというけれど

それはおまえじゃ、ないのだよ

ひとくい

人をくったようなかおで

からからからから嘘ばかり

からからからから嘘ばかり

人をくったような顔で

からからからから

からからからから

嘘ばかり

嘘ばかり