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君の値段

君の値段

「――俺の命を、十億円で買ってくれないか。」

 目の前の彼がそう言いだした時、ついに頭のねじ外れたかと思った。そのあとで、あ、こいつ元々ネジなんぞはいってなかったわ、スポット溶接してるんだったわ。と謎の完結を見せたのが二秒後だった。

 窓を見れば、外では雪がしんしんと音もなく降り積もっている。

「そんな金、あると思うのか。」

「思わないが。」

「だったら聞くなよ。くだらない。――っていう

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