田舎町にひとり出版社をつくる
私は本が好きです。
いろんなジャンルの本を読みます。
一番読むのは小説ですが、関心のある農業の技術書や、教育にまつわる本はもちろん、ジャンル問わず幅広く読みます。
これまで過ごしてきて、本があったからこそ、救われた感情や、生まれた想いや、新しい行動がありました。
本は、読まなくとも、その物質としても好きで、本そのものを持っているだけで安心感があります。
用事がなくとも、本屋に行って、ずっとその空間に居ることができるという感覚を持っている人は自分だけではないと思います。
遡ること、たぶん半年くらい前の冬のこと。
私は、出版社ではなく、本屋を始めようと思いました。
農業の傍ら、自分が好きな本も販売しよう。
畑の横に使っていない小屋があるから、そこを自分で改装して、本屋さんをつくろうと思いました。
せっせと、小屋を仕切っていた壁を壊していきました。
壁を壊し終わった頃、改装には時間がかかるから、まずはオンラインの一人本屋さんから始めようと思いました。
店舗なき本屋さんで、本の仕入れ方や、販売の仕方を学んでみようと思ったのです。
そして、実際に、本を10冊ほど仕入れてみました。
その時に、ある妄想をしました。
とある晴れた夏の日、あるイベントの会場で、自分がつくった野菜と、本を、並べて販売する自分を想像してみました。
想像し始めた時は、すごくうまくいっていました。
うまくいっていたというのは、たくさん売れたとかではなくて、それを販売している自分が心地よさを感じていました。
しかしながら、次第に疑問が浮かび上がってきました。
「野菜は、自分で、種をまいて、育てて、お客さんの手元に届くまでの成長を全部知っている。でも、本はどうやってつくっているんだろう。」
そんな経緯からも、本をつくり始めました。
あくまでも数多あるうちの一つの理由で、別の視点からも、本をつくることになった経緯を改めて書いてみたいと思います。
そして、実際に『生 = 創 × 稼 × 暮』という書籍タイトルの本をつくり、かくれんぼパブリッシングを、北海道森町という田舎町に立ち上げました。