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あっち側にいて欲しい人になる
何事にも、こっち側とあっち側があります。
例えば、ビジネスには売る側と買う側、教育では教える側と教わる側、などなど。
今、サラリーマン、町内会役員、PTA会長と3つの役割を担っている中で、最近たびたび思うのは、「あっち側」に「こっち側」の気持ちの分かる人がいてくれると「とっても有難い」ということ。
町内会では絶賛、組織見直しの議論中です。
発足から50年と少し経ちますが、基本的にはずっと同じ「支部」「班」という形態で運営されてきました。
50年の間に土地開発が進んで居住人口も増えたため、新しい支部や班ができたことはありますが、支部の枠組みを変えたり、班を減らしたり、という従来の流れと異なる形の見直しは行われてきませんでした。
しかしここへ来て「少子高齢化」の影響が出始めており、いよいよ運営形態を見直さざるを得なくなってきました。
私の住む地域は東京都内のいわゆるベッドタウンであり、都心までは30分強、市の人口はほぼ横ばいをキープしているところですが、他の地域同様に、高齢化は進んでいます。
高齢化が進むと町内会はどうなるか。
支部長や班長の担い手がいなくなってきます。
支部長も班長も1年交代ですが、その決め方は「順番制」です。
お隣が今年担っていたら、来年はうちね、そういうルールの下に、10~20年に一度、班長が廻ってくるという仕組みです。
ちょっと脱線しますが、個人的にはこの仕組みは悪くないと思います。
平均して15年ほどに1度くらいは班長が廻ってくることで、町内会の活動に対する理解が深まったり、町内会費の集金やお祭りの手伝いなどを通じて近隣の方々と顔見知りになれる、というメリットがあります。
今のような関係が希薄な時代だからこそ、隣近所に住む人たちのことを知り、お互いに挨拶をし合える関係であることが、例えば大地震などの災害の発生時にはとても力を発揮すると思っています。
話を元に戻すと、基本は一度やったら10年以上は役回りが廻ってこないハズなのですが、高齢化が進むと「班長をやるのが難しい」という家庭が増えてきます。
そのため、17世帯あるのに、班長の担い手が5世帯しかなく、5年に一度班長が廻ってきてしまう、という班も生じてきてしまっているのです。
そのような背景から、町内会発足以来となる支部、班の編制見直しを進めているところです。
この議論、実は数年前にも発生していたようで(その頃は町内会役員ではなかったので知らなかったのですが)、そのときは色々と議論を重ねた結果、「現状維持」に落ち着いてしまったようです。
今回の基本的なスタンスは、担い手の少ない隣接班同士を統合して両班の班長担い手不足を解消しよう、という単純なものであり、当初は「誰も反対しないだろう」と高をくくって考えていましたが、意外と簡単ではない。
例えばある班は、「うちは担い手は少ないけど、その代わりにみんな顔見知りだから特段困ってない。むしろ隣の班と一緒になる方が、知らない人とやり取りしないとならなくなるので大変」という感じで統合を拒否しています。
数年前の議論の際も、同じような意見があり編成見直しを断念したようです。
しかし、この問題、先送りしても良いことはありません。
むしろ先に行けば行くほど、高齢化が進んでしまい、将来について考えようという人が減っていってしまいます。
そんなときに、とても心強い存在が、あっち側(見直し対象の班)にいながら、こっち側(町内会本部)の気持ちを理解して行動してくださる方です。
あっち側の中では、当事者の一人としての発言権を有しています。
当事者はどうしても自分のところの個別最適を優先しがちになりますが、そんな中で全体最適を考えて行動してくださる方が一人でもいらっしゃると、その場の流れが大きく変わることがあります。
実際に、今回も多数が統合に反対している班の中で、唯一、現班長さんだけは「10年後のことを考えて行動しましょう」とおっしゃってくださっています。
当事者ではないこっち側から「10年後のことを考えてください」と言っても、それはむしろ反発を生むのみですが、10年後のことを自分事として考え、また将来に責任を取れる方が、こっち側の意図を汲んで発言してくださると、あっち側の他の方々もあまり強くは言えず、そのうち、一人、二人とこっち側の案になびいてくださる方が出てきました。
結果、統合できる方向で話が進んでいます。
仕事においても同様だと思います。
例えばお客様に新しい仕組みを提案しようとしたとき、お客様側にこちらの提案に強く賛同してくださる方がいるのといないのとでは、商談成立はもちろん、仕組みを導入した後の定着にも大きな影響があります。
翻って、自分自身が誰かに何かを依頼されるとき、果たしてあっち側の意図や気持ちを理解して行動しようと努められているか、、、
もちろん、盲目的に相手の言うことを信じろ、というつもりなどありません。
ですが、まずは相手の提案を受け止め、相手の気持ちや立場になって物事を捉えてみる、そういうスタンスで臨むことができたら、大概のケースではその仕事が仮に上手くいかなかったとしても、その後も良好な関係を継続し続けることに繋がる可能性が高まると思います。
そのような気持ちを持ちながら、仕事も地域活動も、そして家庭でも、「あっち側にいて欲しい人」になれるように努力していきたいと思います。
※イラストはChatGPTに作成してもらいました