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言葉のチカラ


だれひとり繋がっている知り合いがいないnoteなので書く話。

noteっていいよね。
SNSと違ってDMもないし、リア充気取らなくていいし。
Facebookのように基本友人で成り立ってるような場所では言えない事も結構書けちゃったりする。

おっさんも半世紀くらい生きてるとそれなりにEXPつんだりしてるけど、自分語りや武勇伝とかは話すのも聞くのも結構しんどい。
中年オヤジの武勇伝なんてほぼ絶対つまらないし、頷きながら聞いたりしてても内心しょーもなっ!って思ってるし。

だから、おっさんの話が面白いかどうかは正直わからない。
たぶん他のオジ様達と比べるとちょっとだけ違った話はできるだろうけど、○○な薬の話なんかはやっぱりここでも喋れないと思うので。


おっさんは以前、とある夜の街で働いていた。
とは言っても本業は大学生だったし、カジュアル風なバーのバーテンだからどっぷり浸かっていたわけじゃない。
夜はカウンターでお客さんにカクテルを出し、昼間は大学にもろくに行かずバンド活動に明け暮れていた。
それでもいちおう夜の街なので風俗関係のお客さんもよく来たし、何か勘違いされてヤクザにボコられたりして刺激には事欠かなかった。

おっさんはバーテンをしながら酔客や女性客との接し方を学んだ。
他にも接客業やバイトの掛け持ちをしていたけれど、シェイカーを振ったり目の前の常連客にオリジナルのカクテルを出すのは楽しかった。

おっさんのモテ期が来たのはちょうどその頃で、わりとイケメンのバーテンがいるという噂を聞いて店にやってくる女性客が少しずつ増えていた。

おっさんがモテてたとか言うとやっぱり武勇伝なんて思われちゃうかもだけど、これ前提にしないと話が進まないのでマジごめんなさい。
いまではその辺にいるオヤジと一緒なんで。

店でお客さんから電話番号を渡されたり閉店後飲みに誘われたりするうち、だんだん『そっち』の経験値も上がっていく。

大学を何とか卒業して社会人になっても、彼女がいる時を除くと大体いつも複数の女性と過ごしていたと思う。
言い訳するとそれは過去のトラウマが影響してたんだけど、今は割愛する。
どっちにしろ褒められたことじゃないのは当時もわかってたし。

ある日、そんな女性のひとりから、唐突にこう言われた。

あなたって冷たいひとね

彼女はその理由を言わなかった。おっさんも敢えて聞こうとはしなかった。
でもその言葉はずしりと自分の中に落ち込んできた。彼女が正しいからだ。

おっさんは女性に対して自分から誘うことは絶対しなかったし、別れる時もひきとめなんてしなかった。
プライドというのもあるけど、実は単に無責任でズルいだけだったというのを彼女のひとことで改めて気付かされた。
優しそうなマスクを被って引き寄せて、やがて鬱陶しくなると能面のようになって人が変わってしまう。
君のほうから来たんだからしょうがないよね、っていう逃げ道をいつも確保していたんだと。

それからしばらくして、その女性とサヨナラするのと同じころ、おっさんのモテ期も終焉を迎える。

最後に彼女へどんな言葉をかけたのかは覚えていない。
何を言えば正解だったのかも未だにわからない。
きっとその時かけた言葉が、ふたりのリアルだったんだろう。

いま、おっさんはモテてもいないしカッコよくもない。
だから何の問題もないんだけれど、彼女のおかげで少しは自分に責任を持てるようになったのかもしれない。
おっさんにかかわる全ての人たちや猫たちに対しても。

彼女の言葉に感謝をこめて。



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