経営理念浸透の3つの流れ『経営理念の浸透』- ①
理念浸透について考えるにあたり、何冊か関連図書に手を出したのですが、最も学びが深かった『経営理念の浸透』について数回にわたって紹介します。
今回は本論に入る前の所謂先行研究の整理パートですが、理念浸透について考えるうえでとてもよい整理になるのでここからスタートします。
1. 構造主義的組織文化論の影響
好業績を上げる企業の一つの特徴として「強い」文化を持っていることが掲げられ、その中で理念浸透がフューチャーされる、という潮流です。
この潮流の中では経営者が強いリーダーシップのもとに組織全体に理念を浸透させていくことが念頭に置かれ、組織全体を対象とした理念浸透のプロセスが注目されます。
2.個人の能動的主体性の強調
1が組織全体に注目したアプローチなのに対し、ミドルマネージャーなどがミクロ的にどのような行動を取り、理念浸透の一旦を担っているのかに注目しているのがこちらです。
1の持つマクロ的な観点を前提とし、そこを補う形でミクロ的な浸透プロセスを捉えたものと理解できます。
3. 組織視点と個人視点の統合
1と2のミクロ・マクロのアプローチを統合し、理念浸透を組織全体と個人の両者の視点からとらえようとするアプローチが生まれます。筆者の先行研究が紹介され、本書もこの流れに沿ったものであることが言及されます。
実践への含蓄
多くの組織で理念やMVVの浸透の重要性が叫ばれるものの、その正しい浸透プロセスをはっきりと説明することは極めて難しいです。
その中でも間違いないのは組織理念の浸透には組織を全体として捉えた意図的なアプローチとミドルマネージャーを中心とする個々人のミクロな振舞いが共に重要な役割を担っていることです。
全社的にどのように組織文化を浸透させればいいのか、その中でも私個人はどのような振舞いをするのが望ましいのか、組織文化論や理念浸透についてはこの2つの視点で捉えることが欠かせません。
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