HATE AND LOVE
「あなたの考え方はとても、極端。大袈裟なのよ。」
「まるであなたが着ている服そのまま。」
カウンセラーが私のセーターを見て言う。
「なぜ、それを選んできたの?」
HATE & LOVE の文字が全面に織り込まれているセーターを私はわざわざ選んできたのだ。その言葉の意味を知りながら、白と黒という、色もトーンも極端な、真逆の組み合わせを選んできた。
平穏無事より、波乱万丈が良かったし。
決める時も、0か100。
やると決めたらやる、それ以外は全くやらない。
人や物に対してもそう、好き か 嫌い。
勝つか、負けるか。
なんでも 選択は2択のみにしてきた。
どっちかだけ。
曖昧が嫌いだったから。
ハッキリしない立場を取るのも、ストレートにものを言わず、歯に物がつっまったような言い草も嫌い。
カウンセラー「どうして、そんなに極端に生きてるのかしら?」
だから、負けない。常に勝つしかなかった。
だって、恥ずかしい娘だって思われたくなかったから。
だって、一番上の子がしっかりしてたら、下の子は黙ってても育つって。
だって、弱いから強くなりなさいって。逃げてはダメだって言われてたから。
だから、私は強くなきゃいけない。
だから、私は負けてはいけない。
だって、1番じゃないといけない。
だから、私は走り続けなければいけない。
だって、私には人並みの価値はないから。
足りてないから。
常に人一倍努力して、相応しい人間になっていないと、
私には価値がないの。
「極端」に隠れていたのは
自分には価値がないと思い込んでいた辛い気持ちだった
もう、ここまできたら大泣き。
恐怖と強迫観念で、過呼吸になるのが今までのお決まりのパターン。
信頼してるカウンセラーが目の前にいることで、
ここまで吐き出せて泣くことができる。
一人だと、泣いているのかどうかさえ、
もう自分ではわからくなっていたから。
ギリギリ、生きてるのだ。
露呈してきた心の奥に秘めてた悲しさ、私には価値がない。
そう言われたから、そう言われて育ってきたから。
親が悪い。先生が悪い。周りの大人が悪い。
そう思ってていいんです。
今、「私には価値がないって」言葉が体から出てきて、
涙が出るほど辛いんなら。
人のせいにしてていい。
人のせいにすることによって、自分が壊れてしまうのを、
今まで防いできたんだから。
心は頑張ってきた。
壊れてしまわないように、自分を守ろうとしてきた、ずっとずっと。
そして今もこんなにボロボロになった私を、守ろうとしてくれている。
今まで口にもしてこなかった。気づこうともしてこなかった。
辛い。という感情。
人のせいにして、言葉にして、涙にして、体の外に出せるなら。
出していいんです。思いっきり出して、とにかく、出し切る。
そのためにカウンセラーの先生がいる。
相性のいいカウンセラーと出会えたら信頼関係を築ける。
この人は私のことを責めない、傷つけない。
そう感じられたら、初めて心の扉が開き始める。
出していい。
辛いのも、苦しいのも、汚い言葉も、情けない自分も、
ただ助けっていうSOSも、否定してきたことも、矛盾していても、
かっこ悪くても、弱音も泣き言も。
大丈夫。もう、どんな自分でも。もう、責めなくていい。