17. 退院、そして手続きなど
はじめに体調が悪くなったのは元旦だった。それから3ヶ月間 調子の悪さを感じ、入院したのが 3月10日。これまで書いてきたように、がんは除去できなかったものの抗がん剤治療継続となり退院は 7月8日。病院と多くの関係者の皆様のおかげで退院に至った。関係者に感謝すると共に、休職中の多くのトラブルを引き継いでくださった皆様には、大変申し訳ないと思っている。
入院中に死を覚悟したし、さて、予想以上に短くなったであろう この世での生活をどうしたものかと思う。とりあえず、つれあいが困らないような段取りはせにゃなるまいなとか、まあ、慌ててもしゃあないかとか、気持ちは揺れる。どうやって祈ったらいいのかわからない。そんなときには、ただただ、無心に主の祈りを口にした。
北の国からの純と蛍のように、祈るのに余計なことは口にしない。自分の浅はかさに かまってる暇もなかったのだ。そうすると自分の心も癒えた。
退院は、あっさりと終わった。なんだかよく覚えていない。荷物は何日かかけてひとまとめにして運びやすいように算段していた。やたら説明書やら同意書控えやら書類が溜まっていたので、いるものといらないものを分けて、思い切って廃棄もした。つれあいとラインで書類を写真共有しながら費用を精算してもらって、はれて退院。治療続行なので心はくもりである。でも、同じような景色しか見ていなかったので、帰宅途中の移りゆく車窓がとても新鮮だった。
非常に大雑把に医療費の事を書く。
僕は収入が低く、協会けんぽの限度額適用認定は「区分エ」なので、保険適用部分は57,600円が限度額となる。また、限度額適用は4ヶ月目になると更に安くなり、44,400円となる。例えば、一番多い月の保険適用医療費は、1,778,500円。この月は、4ヶ月目にあたっていたので44,400円で済む勘定となる。 この他に食事等で54,170円。差額室料等で166,683円。あと安いものだが病衣等は業者へ別払いとなる。6月の病院からの個人への請求金額は 総じて262,923円。自分で選択した部屋代は大きいものだが、長期療養に近いのであれば、個室は入院暮らしの中でメリットが大きいのでやむを得なかった。これを支払うためにも入院時の保証のある生命保険は役に立った。それでも通算の保険料負担の方が随分大きいのはしょうがないですが。これはひと月の金額であり、今回は4ヶ月入院した。人それぞれで、治療や手術、健康保険の形態、任意加入の保険も違うので人の請求を見てもあまり意味はない。
あらためて見直して、入院中に関しては他の医療機関も関わらず薬局も院内なので請求書の計算に間違いはないだろうと思っていたら、4ヶ月目の限度額なのに安くなっていなかった。協会けんぽに申請して差額の13,200円を取り戻すことにした。
今、自宅療養中なので申請の類を自分でやっている。毎月、高額療養費の払いすぎた部分の申請。これは入金まで3ヶ月以上はかかる。それから、傷病手当の申請。これも毎月、根拠となる医師の証明がいるので病院に作成依頼から必要。相当スムーズにいって一ヶ月で支給となるが、書類が揃って申請に至るまでが遅くなってしまいがちだ。
もう一点話題にしておこう。高額療養費の申請で、事業所別に当てはまるかどうかを判定するのだが、一つの区分で21,000円を超えるものしか限度額適用されない。大雑把に言うと、保険適用部分は、合計がひと月44,400円で済むわけではなく、決められた請求の区分ごとに21,000円を超えている必要がある。そうすれば44,400円を超えた部分は返金になる。みんな超えていれば良い。訪問診療に関して言えば薬局の代金も合算するので余裕で超える。化学療法が主体で、その受診周辺は44,400円定額となり、訪問診療やそれにかかる薬局の分も全て限度額超え扱いで一旦支払うが、三ヶ月後?くらいにはまるまる返金になるはず。
「ところが」である。訪問看護も入っているが、訪問診療の病院とは別の事業所から来てもらっている。単独事業所となり区分が分かれる。指示書は病院から出ているのだから同じ区分に含めてくれればよいのだが、協会けんぽによると別の区分になる。訪問看護は月2回程度を予定するもののカレンダーにより月3回になると一万円を超えてくる。21,000円には到底届かない。21,000円を超えられれば一旦手出しをするが、限度額適用区分になり、後にまるまる返金になるのだ。だから回数を絞らない方がかえって自己負担額は安くなる事に気づいた。まあでも、必要性があってのサービスだから組まれたままでお願いしている。毎月一万円近くが戻ってこないとなると年間だとかなりな金額になる。
この辺りを知ってて組むのと、全く意識しないで組むのとでは結果としての自己負担額に大きな開きが出るなあと言うのが正直な感想。そこまで病院もSWも考えていられないだろう。収支が合わなければ絞ることはあり得るだろうけれども。
一年生きるかどうかは、また別として。
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