私の唾液

硝子容器に入った柚子ジャムを見ている。昨日、知人に1瓶プレゼントしたので、残りは5瓶である。砂糖と林檎酢を多めに入れたので、1カ月以上持つだろう。

ジャム瓶を見つめているうちに、サンメリーに行きたくなった。アップルパイを買うためと、出来立てほやほやの食パンを買うためである。

運転席に座る。スマホPAYPAYの残額を確認すると、278円しか残っていない。エンジンボタンを押す前に、10,000円チャージをした。

拙宅からサンメリーまでは3キロ足らずである。千住真理子のバイオリン曲を聴きながら車のステアリングを回す。10分足らずでサンメリーについた。既に先客の車が駐車場に並んでいる。私は、マルチビューカメラを見ながら丁寧に車寄せをした。

店内はパンの香りが充満している。先客が、菓子パン、調理パンをトレーに乗せる。それを一瞥して、アップルパイのある所に直行して、店員に声をかける。
「アップルパイを箱に入れてください。」

箱に入れてもらっている間に、食パン3枚を選ぶ。その袋には30円引きシールが貼ってあった。シールの隅に「穴あき」と控えめに書いてある。よく見ると、直径5ミリほどの穴があった。

1,209円を支払って店を出る。僅か5分以内の買い物である。

こうして書いている間、私はアップルパイの箱に上に乗った食パンを見ている。唾液が増える。このところ、唾液量が減る傾向にあったので、（きょうは、いい調子だ）と心でつぶやく。

なんだか我慢出来ないようだ。
これから食パン１枚だけグリルプレートで軽く焼いて、自家製柚子ジャムをたっぷりつけて食べようかな。

そう思った瞬間、唾液がさらに溢れてきた。唾液をゴクンと飲み込む。

そうしてグリルプレートの上に食パンを乗せた。