少数与党の意味
過半数を超えれば、安定与党と言う。反対に過半数を割れば、少数与党と言う。石破さんは、総裁になる前は、「早期解散はない」と言い切り、総裁になった翌日には「早期解散」を言明した。それが、過半数を獲得する仕掛けと見たのだろう。が、選挙に素人の私は、その仕掛けが壊れそうな仕掛けに見えた。私の考えはこうである。
すでに国民生活はデフレからインフレに振れていた。にもかかわらず、自民党議員は「デフレ脱却」と紋切り用語を連呼していた。実態経済を見ないで、マスコミデータのみを見ているから、紋切り型になるのだろう。
昨年の今頃、私はイオンで米を買った。値段は1,880円だった。今年8月下旬に農家直送米10キロ6,700円で買った。2倍の値上がりである。私の年金は横ばいだから、インフレものである。これは米に限らない。野菜、魚などの生鮮食料品はすべて値上がりしている。実際、スーパーで買い物しているお客さんの節約志向は肌で感じる。
こうした実態を調べることなしに増税を繰り返したのは岸田前総理だった。支持率もどんどん低下していた。石破さんは、岸田自民党が何をしてきたか、その分析をしていない。岸田負の遺産を等閑に付し、早期解散に打って出た時点で、すでに負けていた。
多くの識者は、選挙期間中の非公認議員に対する2000万円送金が惨敗の要因と唱えた。それもあるだろう。が、この2000万円問題が暴露されなくとも、石破自民党は惨敗していた、というのが私の見立てである。
自民党支持層の何割かの人が投票を棄権していた。それが低投票率につながった。自民党支持層の中でも怒った人は、自民党から国民民主などの野党に投票した人がかなりいるだろう。無党派層は、国民民主などの野党に投じただろう。
10/17の開票では、自公合わせて64減らした。惨敗であった。これは国民生活にとっては、少し希望が持てる数字である。
過半数獲得した場合の与党は、国民の信任を得たと吹聴して、何でもできると思い込む。強行採決、閣議決定を連発する。これは、独裁的手続きで悪手なのだが、それを振り返る謙虚さは微塵もない。
翻って、失われた30年は政権与党の悪政の結果である。若い人の年収はこの30年ほどんど上がっいない。経済実態はインフレなのに、増税している。これでは、国民は食べるものを節約して、生命を削っている状態と言っても過言ではない。
自民党は191議席、これでは強行採決は出来ない。予算案も通らない。公明党24を合わせてもである。
これは与党独裁を許さないいい塩梅の数字だ。これを神の手で得られた数字と言う人もいる。神の手を得るには、やはり国民は怒るべき時に怒らないといけない。おとなしいことは、時に傲慢者を一層傲慢にする。
「少数与党、イバラの道」、こう書いた記事が多い。が、それは違うと思う。私なら、「少数与党、政策調整のチャンス」と書くだろう。
本来、民主政治は野党を支持した国民の声にも耳を傾け、調整することを含む概念だ。なぜなら、野党に投じた票の総数は、与党に投じた票を上回るからである。
驕ってはいけない所以である。