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小さい組織の運営には結局何が必要なのか|「東大卒、農家の右腕になる」の読書メモ

こんにちは、さるこじといいます。

Twitter上で話題になっている書籍
「東大卒、農家の右腕になる」
を読みました。

鬱で休職していた著者の佐川さんが、ふとしたきっかけで「阿部農園」という梨の個人農家に入り、そこで「農家の右腕」として経営改善をしていった記録を本にまとめたもので、「なぜ東大卒が梨農園に入り、何をしたかの物語」と「経営改善の中身の解説」という二部構成になっています。
「経営改善の中身の解説」はビジネスに必要なことが広範囲に網羅されつつも、その中から本当に現場で必要なエッセンスのみ抽出されています。
そのためビジネス書としても有用なのですが、何より「なぜ東大卒が梨農園に入り、何をしたかの物語」の部分に阿部農園代表の阿部さんと佐川さんの圧倒的熱量がこもっており、読み物としても非常に読みごたえがありました。
ビジネス書を読んで目頭が熱くなったのは初めてです。

「経営改善の中身の解説」の部分は「阿部農園の知恵袋」として、農家の方々の手助けになるようにネット上でも公開されているのですが、この中には農家さんだけでなく、「組織」を運営するうえで必要な要素が詰まっているなと感じました。

そこで、著者の佐川さんが農家さんのために噛み砕いて噛み砕いて超具体的にしたものを、あえて一段階抽象化して小さな組織を運営していくのに本当に必要なことは何なのか考えてみました。

小さい「組織」の運営に本当に必要なこと

組織の運営に携わる、という機会は思っている以上に多いはずです。
会社での役職が上がればチーム、課、部をまとめなければいけないでしょうし、仕事以外でも趣味のコミュニティや、PTA、子供の習い事の集まりから家庭まで、すべて小さくとも「組織」です。

組織の運営に必要なのは、突き詰めれば
「ヒト・モノ・カネのリソースをどのように集め、どう配分するか」
だと思います。
そしてそれを効率よく実行するための手段として、
・ビジョン・ミッション・バリュー
・財務/会計
・人事/労務
・PDCA
が最低限必要なのではないかと思います。
各項目について順番に説明していきます。

ビジョン・ミッション・バリュー

ミッション・ビジョン・バリューというと、非常に抽象的でわかりにくいもののように聞こえますが、要はその組織が存在する「目的」であり、目指すべき「目標」です。
特に趣味のコミュニティーや家庭ではこれらが意識されないことも多いかと思いますが、やはり目的・目標はすべての事柄の「判断基準」になります。
判断基準が明確であれば、組織全体が同じ方向を向きやすいですし、決定に対して個々人からの納得も得られやすくなります。

財務/会計

法人に必ず必要な要素として、
人事、労務、税務、法務、財務/会計
のいわゆるバックオフィス機能があります。
会社の規模・業種を問わず、法人であれば本来はすべて網羅されてないといけない内容ですが、大企業では各部門にスペシャリストがいるように一つ一つが非常に複雑です。
強いて優先順位をつけるとすれば、財務/会計と人事/労務を優先してやるべきだと思います。
税務、法務ももちろん重要なのですが、これらはどちらかというと法人の責務を全うするために必要な要素で、業務改善をしたから業績が2倍、3倍になるということは考えずらいです。

一方、財務/会計は「カネ」、人事/労務は「ヒト」と、どちらも組織の重要なリソースに関わることですので、改善することで組織のパフォーマンスに直結する可能性が高いです。

財務/会計は「カネの出入りを記録し、適切なところへ配分をする」ことを目的としています。
(細かいことを言うと会計と財務は似て非なるものなのですが…それはまた別の機会に)
そのために必要なのは、フローとストックをそれぞれ把握することです。
フローは企業の会計で言えばP/Lつまり収支の記録、ストックはB/Sつまり資産の記録です。
家計簿など、フローを記録している組織は多いかと思いますが、意外にストックの記録を取っていない場合が多々あります。
資産と負債、そして資産から負債を引いた純資産はいくらあるのか把握することは「カネ」の配分を決めるうえで、フロー以上に重要です。
ぜひ、家庭などでもストックの記録をつけてみてください。

人事/労務

人事/労務も、「ヒトというリソースの出入りを管理し、適切なところへ配分する」ことを目的としています。
ただ「カネ」とは違い、意思を持った人間に関わる部分なのでより複雑で難しい分野ですが、組織の最大のリソースは「ヒト」ですので避けては通れません。
実際に「東大卒、農家の右腕になる」でも経営改善の100項目の内、20項目が人事/労務に関わる項目でした。

PDCAを回す

PDCAを回すことは、組織を効率よく成長させるのに必要不可欠です。
しかし、実際にはPDCAをきちんと回すための要素がそろっていないことが多々あります。

PDCAのエッセンスは
・仮説(Plan)
・実行の記録(Do)
・振り返り(Check)
です。
個人的には振り返りのステップが一番の肝だと思っており、仮説と実行の記録は振り返りをするための手段だと考えているのですが、
そもそも「実行の記録」がなく、振り返りができないという事態はよく発生しているのではないでしょうか。

振り返りをするには、「東大卒、農家の右腕になる」でも取り上げられていますが「KPT」というフレームワークが便利です。
KeepとProblemが「Check」、Tryが「Action」になります。

PDCAの簡単な回し方についてはこちらの投稿で詳しく紹介しています。

また実際にPDCAを回していく際にはToDoの管理が必要不可欠になりますが、「東大卒、農家の右腕になる」では少しだけGTD(Getting Things Done)というタスク管理方法に触れられています。
やるべきことを管理していくうえで非常に有用な方法論ですので、ぜひ一度学んでみてください。

まとめ

以上4つの
・ビジョン・ミッション・バリュー
・財務/会計
・人事/労務
・PDCA
が小さな組織を回していくうえでの必須要素だと思います。

マーケティングやプロダクト管理も収益をあげなければならない法人では必須ですが、趣味のコミュニティや家庭では優先順位が下がるので今回は省略しました。

では。


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