小学生の保護者の教科書〜小学生の子どもを持つ親が知っておきたい55のこと 【国語編】
2023年2月にKADOKAWAから「(仮)小学生の保護者の教科書〜小学生の子どもを持つ親が知っておきたい55のこと」という本を出します。これは小学生の子ども持つ親が知っておきたい、さまざまな情報を現役の小学校教員目線で面白おかしく書いた一冊です。試験的に本編からいくつかのチャプターをnoteで公開します。
国語力をつけるために〜子どもは日本語のネイティブ〜
この本を手に取ってくださっている方の多くは、日本にお住まいで日本語をご家庭で話されていることと思います。ということは、皆さんのお子様は日本語のネイティブ環境で育っていることになります。当たり前のことのように感じますが、これは極めて重要なことなのです。
学校で国語という教科は、どの学年においても最も多く配当されており、最重要視されています。そこで、さまざまな物語文や説明文を読んだり、漢字の学習をしたりし、日本語を学んでいくわけです。
しかし、この立場で言うのもなんですが、学校で学ぶ日本語は子どもの国語力形成の1割にも満たないのではないかと感じています。肌感覚ですが、その9割は学校の授業以外で獲得されています。幼少期から日本語のシャワーを浴びながら、子どもは育ってきています。その日本語のシャワーの量と質が子どもの国語力形成に決定的な要因になるのです。日々の会話の中で豊かな日本語のシャワーを浴びせてあげてください。
愛情を持ってできるだけ丁寧で、正しい言葉で。
読む子は育つ
とある先生がこんなことをおっしゃっていました。「いくら素晴らしい国語の授業の実践をしていても、クラスの子どもが本を読む習慣がついていないなら意味がない」と言うものです。これは本当に的を射ていると感じます。
どんな質の高い国語の授業も、子どもが日々読書をして得る国語力には敵わないと言うことを示唆しています。
やはり、本を読む子どもは学力が高く、学力の高い子どもは本を読んでいます。すなわち、できるだけ早い段階で子ども達が自力で本を読む習慣をつけさせてあげることが国語力形成へ向け何よりも大切なのです。
そう、読む子は育つのです。
そのための第一歩は、たくさんの読み聞かせをしてあげることです。別に子どもが大きくなっていても大丈夫です。私が尊敬するとある女性教員の方は、6年生の担任でも日々子どもたちに読み聞かせをしています。
本を与えることは未来への投資
筑波大学の博士であり、メディアクリエイターでもある落合陽一氏はこんなことを述べています。
幼少期の読書体験は、そのまま子どもの未来での活躍に直結すると考えます。すなわち、我が子に本を与えることは未来への投資と言えるのです。
では、どんな本を買い与えれば良いのでしょうか。
よく聞く話として
「子どもが本に興味を持たない」と言うそもそも論です。
一つのアプローチとして、知っている話の本を読むという方法です。
例えばアニメを文庫本化したような本は、読書嫌いの子どももスッと入れるケースが多いです。ストーリーを前もって知っているためとっつきやすいのです。小さい子どもが何度も何度も同じアニメを見たりしますよね。知っていると言う安心感が意外と大事だったりします。
またオススメの選書として、小学校の教科書に載っている物語です。
スイミー、モチモチの木、やまなしなど、昔から教科書に載っている本には流行に左右されない魅力があります。
家庭ですでに読んだことがある、しかも何度も読み込んでいるような物語が教科書で出てきたら、「これ知ってる!」と、授業でも得意げに学びに向かう姿が見られるかもしれません。
また同じ作家さんの本をどんどん読んでいくというのもおすすめです。
低学年の担任をした時には、物語の学習に入る前から同じ作家さんの本を事前に教室に置いておくということもしていました。