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「#おいしいはたのしい」漫才ネタ

食べることが大好きなアラフォー男子2人のゆるいおしゃべり。はじまりはじまり~


大石氏                               ふっくら体型でマイペースの愛すべきおとぼけ野郎。

多野氏
                               なんでもズケズケ言ってしまう性格だが根は優しい。和食派。

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大石「今日は『おいしいはたのしい』というテーマでしゃべりますか」

多野「うん。大石くんは『おいしいはたのしい』という言葉で何を思い浮かべる?」

大石「そうだなー。ぱっと思い浮かぶのは、やはり子ども時代の思い出だね」

多野「そうそう。子どもの頃の食べ物の記憶ってすごいよく覚えてるよね。やっぱり思い出すのは母の手料理かな」

大石「それに尽きるよね。寒い冬の日に、お袋が注文してくれた宅配ピザがホント美味しかったな~」

多野「いや、手料理じゃないよ、それ。電話しただけだろ」

大石「あとはお寿司とか、かつ丼とかも、頼んでくれたな~」

多野「もはや出前の思い出話になってるけど」

大石「いやいや、寿司桶とかさ、丼とかさ、家の外に置いとけばちゃんと持ってってくれたんだもん、ほんと感謝してるんだよ」

多野「誰に感謝してんだよ。ま、確かにありがたいけどさ」

大石(ゆっくりと改まった感じで)「暑い日も寒い日も、雨の日も風の日も」

多野「ん?お母さん今までありがとう的な感じになってない?」

大石「僕が、熱を出して寝込んでしまったあの夜も」

多野「卒業式かよ」

大石「丼を下げてくれてありがとう」

多野「やっぱそっちかよ」

大石「中3の受験シーズン、名門校に入りたくて夜な夜なガリ勉していましたが、そんな時お腹が空いてしまうと・・・(鼻をすする。泣きそう)、おいしいピザを配達してくれました」

多野「バイトのお兄さんがね。まあ泣くほどのことじゃない。」

大石「あなたは、注文を受けて30分以内にピザを届けようといつも一生懸命でした」

多野「まあそれが仕事だから」

大石「お客様のためには信号無視も辞さない熱血漢でした」

多野「いや、危ないよ。捕まるよ」

大石「ホントかっこよかったなあ。タイヤ泣かせてコーナー攻めて」

多野「レーサーかよ」

大石「僕もピザ配達人になりたいって憧れちゃったよね」

多野「間違ってんだろ」

大石「そんなお兄さんの作ったピザは最高でした」

多野「いや、そいつ作ってないよ。配達してるだけで」

大石「受験勉強の途中でしたが、お父さんやお母さんも一緒にピザをつまんで気付けば酒盛りになっていました」

多野「勉強の邪魔してんじゃん。」

大石「その時に食べたピッツァマルゲリータと、最高に楽しい時間が今でも忘れられません」

多野「お!ここでようやく『おいしいはたのしい』話になった!」

大石「それ以来両親が宅配ピザにハマっちゃって、夜な夜な我が家でピザパーティーが繰り広げられてさ」

多野「楽しそうだけど、受験シーズンにはやめろよ」

大石「でも受かったからいいじゃん」

多野「それはよかったね!」

大石「うん、ピザ屋のバイト」

多野「名門校どうなったんだよ」

大石「夜な夜なピザパーティーしてる奴が入れるような学校じゃないんだよ」

多野「やっぱ落ちたのかよ」

大石「でも美味しくって楽しかったから後悔はありません」

多野「なんか出前の話になってるけど、そもそも母の手料理っていう話じゃなかったっけ?」

大石「はいはい。やっぱり母の味っていうのは忘れられないものだよね」

多野「そうそう。俺は、お袋が作るカレーが大好きでね」

大石「あー、いいね!本格的なインドカレーだ」

多野「いやいや、普通の家庭のカレーライスだよ」

大石「まずはホールスパイスの香りを油に移して、それから玉ねぎを炒めるんだよね」

多野「いやいや、ただのカレールウ入れたやつですよ」

大石「鶏肉は皮を取り除いて水洗いして使うんでしょ?」

多野「いや・・、鶏の皮も入っていますよ」

大石「そもそもチキンカレーの具はチキンだけで、ジャガイモとか人参とかあれこれ入っていないんだよね」

多野「いや・・・、色々、入ってるよ・・」

大石「あ~、仕上げにテンパリングしたオイルで香りを・・」

多野(途中でさえぎって)「うるさいよ!ただの田舎の主婦のどうってことないカレーだよ!」

大石「・・・まあ、家庭のカレーってそんなもんだよね・・」

多野「懐かしい母の味の話をしてたのに、なんか馬鹿にされたような気がするな・・」

大石「ごめん、決してそんなつもりじゃ」

多野(怒りつつ)「で、大石君の『懐かしい母の味』っていうと?」

大石「母の味ね・・。やっぱり母乳ですかね」

多野「覚えてんのかよ!そりゃ文字通り母の味かも知れないけど」

大石「まあ覚えてないけど、お袋が言ってたよ。僕が小さい時はそれを毎日リクエストしてたって」

多野「他に選択肢ないからな!」

大石「よっぽどハマってたみたいだね」

多野「いや、そういうのじゃなくてさ、お母さんの手料理よ。今言ったやつは料理というよりお母さんそのものみたいな感じでしょ」

大石「そう。包丁も鍋もお皿も必要としません」

多野「そうじゃなくって、包丁も鍋も使うような料理だよ」

大石「はいはい。となると、やっぱりラーメンですよ」

多野「いいねー」

大石「まあ袋麺のさ、特にこだわりがあるラーメンじゃないんだけど」

多野「もちろん、ウチもそうだったよ。チャーシューの代わりにハムとかカマボコとか乗ってたなー」

大石「そうそう。チャーシューあったら万々歳だよね」

多野「あ、大石くんちもそうだった?」

大石「うん。寒い日によくお袋が、ラーメンの出前取ってくれたんだよね」

多野「出前かよ!しかも袋麺の!チャーシューあったら万々歳って、どんな店だよ」

大石「出前は早かったよ」

多野「そりゃこだわりないんだから作るのも早いだろ」

大石「迅速に配達することにこだわってたんだよ」

多野「別のとここだわれよ」

大石「そこのオヤジもお客様にラーメンを熱々で届けたいってんで、信号無視も辞さなかったよね」

多野「危ないよ。ピザ屋の兄ちゃんも、ラーメン屋のオヤジも」

大石「彼らの情熱は赤信号でも止められないんだよ」

多野「うるさいよ。そんな配達の仕方してたら、30分どころか永遠に届きませんでした、なんてことになっちゃうよ」

大石「え?!交通事故になっちゃうってこと?」

多野「そうだよ」

大石「ごめんなさい、オヤジさん。俺が電話口で『1秒でも早く届けろ』なんて言ったもんだから・・・」

多野「お前のせいかよ!プレッシャー与えてんじゃねえよ。おかげでオヤジさん、信号無視して車にはねられちまったじゃねえか」

大石「ごめんなさい。病院にピザの出前届けさせます」

多野「いや、出前もういいよ。ピザの兄ちゃんもはねられるわ」

大石「でも、オヤジさんも救急車に乗れて良かったよね」

多野「え?なんでよ」

大石「堂々と信号無視できるからさ」

多野「ふざけんな!もういいよ」

                                 終

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