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”Quality Learning For All”の軌跡
皆さまこんにちは。副代表の川崎です。
9月8日は「国際識字デー」です。
私たちサルタックは、この9月8日を創設記念日としており、先日それを記念してウェビナーを開催させていただきました。60名を超える方々にご参加を頂き、心より感謝申し上げます。
さて、当団体サルタックですが、ネパールの姉妹団体Sarthak Shikshaとの連携のもと、団体が目指す”Quality Learning For All”の実現に向けた実践をネパールで行っております。今年で活動も8年が過ぎ、ここまで数多くの会員やご寄付を頂いた皆様、インターンやボランティアの方々に支えられながら、活動を継続出来てきましたことを改めて感謝申し上げます。
現地ネパールのSarthak Shikshaより、この8年の活動の成果を振り返る報告が届いております。
是非サルタック(日本)を応援いただいている皆さまにもご覧いただきたく、noteに転載いたしました。皆様のご支援が、こうして形になっていくところをお見せできるのが、何よりもうれしく、また誇りに思います。
なお、現在国際識字デー、サルタック創立の日に寄せたクラウドファンディングキャンペーンを実行中ですので、是非ご支援を頂ければ幸いです。
加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により更なる挑戦が求められる中、今後の展開に向けた検討も開始しておりますので、ご期待ください。
1.Sarthak Shikshaの活動コンセプト
Sarthak Shikshaでは、すべての子供がジェンダーや人種、社会的な地位によらず、質の高い学びを得られるネパール社会を創造することを目指しています。質の高い学びは、子供たちの自己実現を支援し、ネパール社会の発展にも寄与すると信じています。活動のコンセプトとしては、子供を対象とするだけでなく、子供を取り巻く共同体、家族、学校も対象にすることや、活動を通した実践に基づいたアドボカシーにも取り組んでいます。活動は主に”Sathi"と呼ぶ学生ボランティアやインターンによって担われており、さらにサルタック(日本)をはじめ、様々なネパール内外の団体に支えられながら活動を行っています。
2.これまでの活動
(1)Human Resource Development
Quality Learning for Allを実現するためには質の高い人材が要となることから、人材育成活動として、研修や、技術支援、研究、実践、取り組みの中での学びを取り入れ、これまでに350人を超える人々に学びの機会を提供してきました。その中には”Sathi”と呼ばれる学生ボランティアや、インターン、現役教師、子供クラブのメンバーなどが含まれます。
(2)Sarthak Reading Class (SRC)
小学校1年生から5年生の間に習得すべき読書の習慣や能力を子供たちに身に付けてもらうべく、放課後に読書クラスを開催してきました。これまでに5つの学校で延べ1000日以上のクラスを開催しています。
(3)Sarthak Reading Camp
SRCを郊外にも広げ、多くの子供やその親たちに読書の重要性や楽しさ、読書習慣の意義を伝えるべく、Sarthak Reading Campを実施しました。本の音読や読み聞かせ、ゲームなどを取り入れ、これまでに延べ2000人以上の子供たち、その親、教師を巻き込んだ取り組みとなっています。
(4)Self Employment Education Program (SEEP)
女性のグループに対し、職業支援に合わせて識字能力向上のプログラムを提供してきました。2度のセッションを実施し、約40名の女性や母親がプログラムを卒業しています。
(5)Sarthak Learning Center (SLC)
SEEPに参加する母親たちのために、放課後に子供たちが補習などを受けられるようにする学習センターを設置しました。1日あたり2時間の補習で、様々な学習活動を支援しています。これまで延べ145人の子供たちが利用しています。
(6)Sarthak Reading Time (SRT)
子供たちに読書の習慣を身に付けてもらうために、小学校1年生から3年生の子供たちには、学校の授業が始まる前に15分の絵本を読む時間を設定してもらうようにしました。200人以上の子供たちがこのプログラムを通して絵本や読書に慣れ親しんでくれています。
(7)Sarthak Learning Camp
学校の長期休暇に際し、子供たちに様々な生活のコツや社会性を学んでもらうことを目的に、学習キャンプを開催しました。学校の授業とは異なる学びを体験してもらうことを目的としており、70人の子供たちがこれまで参加してくれています。
(8)Research Program
サルタックでは、自身の活動を対象に研究を進めることで、そこからの学びを次の活動や、アドボカシー活動などの更なる展開に生かすことを目指しています。また、現地ならびに日本からのインターンによる研究などもサポートしています。例えば、活動地域であるLalitpur市において、ECD(Early Childhood Development)に関する研究発表を行った実績があります(研究タイトル:”Are Children Developmentally on Track? Assessment of Age 4 Children in Lalitpur Metropolitan City”)。
(9)Self-Learning Initiative
新型コロナウイルス感染症の拡大はネパールの教育にも多大な影響を与えています。学校閉鎖等により学びの機会が失われることを懸念し、Sarthak Shikshaでは、SLCで培った学習教材の活用のノウハウを生かし、4歳から8歳の子供たちを対象として、自主学習用の教材を作成し、公開しています。教材の作成には、サルタック(日本)のインターンも関わり、日本の教材をネパール語にして発信するなどしています。これまでに約1000の自主学習用教材を作成し、インターネット(Facebookや団体のHP)で発信しています。
(10)Material Distribution Program
Self-Learning Initiativeで作成した教材を、インターネットへのアクセスがない子供たちにも届けるべく、学習教材を印刷・製本し、文房具とともに配布しました。これまでにLalitpur市に180セット、Bagmati県に1680セットを提供しており、今後さらに増刷の予定です。
(11)Virtual Story Telling
絵本の読み聞かせはSarthak Shikshaが大切にしている活動の一つです。新型コロナウイルス感染症で行動制限がある中でも子供たちに絵本に親しんでもらいたいと、ボランティアやインターンによる絵本の読み聞かせを動画配信するプログラムを実施しています。これまで21の絵本読み聞かせ動画を公開しています。
(12)Consultation Program
Sarthak Shikshaの活動にかかわる80を超える様々な国際NGOや政府機関、民間機関等とともに、ネパールのNational Child Rights Council (NCRC) に対し、National Rights Policy 2078 (draft) におけるEarly Childhood Developmentについての提言を行っています。これまでの活動をネパール全体に展開するべく、各機関との協力を図っていきます。
3.まとめ
以上、Sarthak Shikshaがこれまでの8年間で取り組んできた活動につきご紹介をさせていただきました。Sarthak Shikshaでは、これまでに1500人を超える子供たちを巻き込み多くの活動手法を通して、ネパールにおける"Quality Learning for All"の実現に貢献してきました。
この新型コロナウイルス感染症の影響のなかで、どう子供たちに質の高い学びの機会を届けていくかは決して容易な課題ではありませんが、今後もサルタック(日本)は、現地Sarthak Shikshaとともに、ネパールの、ひいては世界の"Quality Learning for All"を目指して活動していきたいと思いますので、ご支援を頂ければ幸いです。