見出し画像

それは、8歳のママだったー『秘密の森の、その向こう』スタッフブログ


映画『秘密の森の、その向こう』

祖母を亡くし、片付けのために父母とともに祖母の家に訪れたネリー。母は思い出の詰まった家の片付けにいたたまれなくなって、祖母の家から出て行った。ネリーは母が子供の頃に遊んでいた森に出掛け、母と同じ名前のマリオンと出逢う・・・

映画『秘密の森の、その向こう』

『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督の最新作。
森の中で出会ったマリオンはネリーと同じ8歳で、マリオンの家に連れていってもらうと、そこはネリーの祖母の家と同じだった。
ネリーはマリオンが幼い頃の母だと確信する。
本編72分と比較的コンパクトな作品ですが、ふわっとしたファンタジーとお互いにちょっとした不安を抱える少女二人の心の交流を描くことで、なんともほっこりした気分に浸ることができます。


ネリーは母が消えた不安を抱え、マリオンには近々行われる手術に不安を感じている。
森の中に子どものころ母が作ったという隠れ家を通して二人は何度か落ち合い、お互い母と娘だということを受け入れながら、この不思議な出逢いを大切にする。
同い年の女の子のキャッキャウフフな感じが眩しく映るのですが、このごく自然な屈託のなさを映像に切り取るキレの良さ、祖母の家に向かう途中でのネリーと母の仲の良さを自然に描写する場面といい、やはり、さすが『燃ゆる女の肖像』の監督らしい細やかさが感じられるところ。

ネリーとマリオンの仲が次第に深まり、祖母の家が片付いてやがて再び別れのときが近づいてくるときの名残惜しさ、この雰囲気にずっと浸っていたい、と思わせる優しい時間の流れが、なんとも愛おしい感じ。
あっというまに本編が終了しても、思い出して思わず頬が緩んでしまうような、大切な作品に出逢ったという充実感がいつまでも続く良作なのでした。

『秘密の森の、その向こう』上映情報

2022/10/14(金)~10/27(木)上映

10/14(金)~10/20(木)まで
①14:00~15:15

10/21(金)~10/27(木)まで
時間未定
決まり次第、シネ・ギャラリー公式HPにて掲載


この記事が参加している募集